15 / 55
滅びの運命
しおりを挟む
しーん。
耳が痛くなるほどの静けさが、あたりを包む。
女神は笑顔のまま、うんうんと頷いた。
しょうがない、しょうがない。
フルオープン女神モードの威光の前では、人の子は普通に喋れなくなっちゃうんだよね。みんなにどっかんどっかんウケなかったのはちょっぴり寂しいけど、しょうがないよね。
さて。
「愛しのユースレス様」
吸い込まれそうな深緑の瞳に見つめられ、ユースレスは口をぽっかり開け、へたり込んだまま、アヘアへと意味のない声を漏らす。女神は気にせず、白い歯を見せて微笑んだ。
「あなたってば本当に素晴らしい王子様ね!ついにわたしが何者か看破するなんて、なかなか出来ることじゃないわ!さすがに処刑なんてキーワードが出てきたら、わたしもウソをつき通せないもの!やるじゃない!」
女神はえいえい!とユースレスを突っつくようなジェスチャーをした。めちゃくちゃフレンドリーだ。
「でも、ちょっとガッカリ~!もし正体がバレなければ、こっそりお嫁さんになっちゃうつもりだったのに!なんちゃって!えへへ」
そんな。女神だと教えてくれてたら自分だって。そう言いたかったのに、ユースレスの口から言葉は出ない。
女神は次にイルミテラを見た。この数分で随分やつれたように見える。顔色は青を通り越して白く、ガクガクと震える身体をなんとか壁によりかからせている。
「聖女イルミテラ!」と、明るく女神に呼ばれ、イルミテラは恐怖で失禁しそうになったがギリギリ耐えた。
「あ、ごめんなさい、大きな声出しちゃって!」と、女神は申し訳なさそうに口を覆った。
「びっくりした?ねえ、そんなに怖がらないで!あなたには感謝してるのよ!隣国から帰ってきてくれて本当によかったわ!セーフって感じ!」
女神は、「セーフ!」のところで、両手を大きく水平に滑らせた。
「実はね、この国ってとっくの昔に滅ぶ予定だったの!でも、せっかくわたしを信仰してくれてるからなんとか存続させたくて、主神に内緒でアレコレ手出ししてたのよ!今回は特に大きい災いが連続してやってくるから、人間に交じって守護させてもらってたってわけ!」
耳が痛くなるほどの静けさが、あたりを包む。
女神は笑顔のまま、うんうんと頷いた。
しょうがない、しょうがない。
フルオープン女神モードの威光の前では、人の子は普通に喋れなくなっちゃうんだよね。みんなにどっかんどっかんウケなかったのはちょっぴり寂しいけど、しょうがないよね。
さて。
「愛しのユースレス様」
吸い込まれそうな深緑の瞳に見つめられ、ユースレスは口をぽっかり開け、へたり込んだまま、アヘアへと意味のない声を漏らす。女神は気にせず、白い歯を見せて微笑んだ。
「あなたってば本当に素晴らしい王子様ね!ついにわたしが何者か看破するなんて、なかなか出来ることじゃないわ!さすがに処刑なんてキーワードが出てきたら、わたしもウソをつき通せないもの!やるじゃない!」
女神はえいえい!とユースレスを突っつくようなジェスチャーをした。めちゃくちゃフレンドリーだ。
「でも、ちょっとガッカリ~!もし正体がバレなければ、こっそりお嫁さんになっちゃうつもりだったのに!なんちゃって!えへへ」
そんな。女神だと教えてくれてたら自分だって。そう言いたかったのに、ユースレスの口から言葉は出ない。
女神は次にイルミテラを見た。この数分で随分やつれたように見える。顔色は青を通り越して白く、ガクガクと震える身体をなんとか壁によりかからせている。
「聖女イルミテラ!」と、明るく女神に呼ばれ、イルミテラは恐怖で失禁しそうになったがギリギリ耐えた。
「あ、ごめんなさい、大きな声出しちゃって!」と、女神は申し訳なさそうに口を覆った。
「びっくりした?ねえ、そんなに怖がらないで!あなたには感謝してるのよ!隣国から帰ってきてくれて本当によかったわ!セーフって感じ!」
女神は、「セーフ!」のところで、両手を大きく水平に滑らせた。
「実はね、この国ってとっくの昔に滅ぶ予定だったの!でも、せっかくわたしを信仰してくれてるからなんとか存続させたくて、主神に内緒でアレコレ手出ししてたのよ!今回は特に大きい災いが連続してやってくるから、人間に交じって守護させてもらってたってわけ!」
661
お気に入りに追加
1,067
あなたにおすすめの小説
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
姉妹差別の末路
京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します!
妹嫌悪。ゆるゆる設定
※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済
逆行転生って胎児から!?
章槻雅希
ファンタジー
冤罪によって処刑されたログス公爵令嬢シャンセ。母の命と引き換えに生まれた彼女は冷遇され、その膨大な魔力を国のために有効に利用する目的で王太子の婚約者として王家に縛られていた。家族に冷遇され王家に酷使された彼女は言われるままに動くマリオネットと化していた。
そんな彼女を疎んだ王太子による冤罪で彼女は処刑されたのだが、気づけば時を遡っていた。
そう、胎児にまで。
別の連載ものを書いてる最中にふと思いついて書いた1時間クオリティ。
長編予定にしていたけど、プロローグ的な部分を書いているつもりで、これだけでも短編として成り立つかなと、一先ずショートショートで投稿。長編化するなら、後半の国王・王妃とのあれこれは無くなる予定。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる