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真の聖女イルミテラ

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会場が揺れたと勘違いしそうなくらい、大きなざわめきが広がる。

ユースレスが「静まれ」と一喝した。

「イルミテラは長い間隣国へ留学していた。それは、みんな知っているな。ところが、先日帰国した際、ずっと受けられずにいた祝福の儀式を行ったところ『聖女』であると判明したのだ。これを見よ!」

イルミテラが白い手袋を外し、左手の甲をかざす。

「おお!」と声が上がった。

そこには聖女の印がはっきり浮かび上がっていた。
草花を編んだ王冠を思わせる紋章が、まるで金継ぎのように黄金に輝いて、イルミテラの白い手を彩っている。

「この聖女の印は、間違いなく本物。それは教会にも確認している。そして、ディアの手にある印が偽物だということも既に分かっている」

王子の赤い瞳が、鋭くディアを睨みつける。

「ディア!教会にいた侍女たちから聞いている!貴様は風呂や着替えに誰も付き添わせないらしいな!その印が偽物だと分からないようにするためだろう!近くで見た者が、貴様の印は入れ墨にそっくりだと証言している!侍女だけでなく、貴様から治療を受けていた貴族や平民も同じ意見だ!」

「ち、ちがいます……!お風呂や着替えは誰も手伝ってくださらないだけで!この印だって、ちゃんと本物で」 

狼狽えながらもなんとか言葉を返すディアを、ユースレスは怒鳴りつけた。

「黙れッ!!まだ嘘を重ねるつもりか!言うに事欠いて、王家から遣わせた召使を愚弄するとはなんたることだ!王族への侮辱に他ならない!不敬だぞ!」

「ええ!?そ、そんなつもりは」

ディアは助けを求めるように、おろおろと周りを見た。
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