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始まりの街ゴスル
いざ!!ランキング狩り!!②
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森を抜けて砂漠に睡月は来ていた。
木々が生い茂っていた森とは違い、見晴らしのいい解放感のある乾いた風邪が睡月の長い髪をなびかせる。
数年間家に閉じこもった後、外の風に当たった時の気持ちよさのような感覚に睡月は気分よく獲物を探す。
マップに示された位置は大体ここら辺だ。
もちろん睡月が移動している間に相手も移動する。
何度も起きてマップを確認しながら移動してきた睡月は、若干不機嫌だ。
やはり参加するべきではなかったと少し後悔しながらも、始めてしまった以上最後までやらなければモヤモヤする。
睡月はため息をつくと、【睡拳】を使い移動し始めた。
距離にして200m、睡月の獲物がそこに居た。
睡月は大きく迂回しながら背後を取るように獲物に近づいていく。
イベントが始まる前に師匠である塩田に色々と助言を聞いてきた。
元々参加するつもりは無かったが念の為に聞いておいたのだ。
「まず、一体多数の場合は人数を減らすことを意識するのじゃ。当たり前だと思うだろうが、案外これが出来ない連中が多くてな。一発逆転の一手なんぞそうそうない。相手の戦力を確実に削りながら、数的不利な状況から脱出するのじゃ。そのために必要なのは、いかに先制攻撃で相手に損害を負わせるかじゃ。初撃で最低でも1人は倒したい。今回お主が参加するイベントは対人戦じゃろ?対人戦で重要なのはいかに相手の意表を突いて何もさせずに勝つことじゃ。タイマンでワシとほぼ互角に戦えるお主なら簡単じゃぞ。そうだな.......これなら恐らく誰であろうと一撃で倒せる。それは─────」
「裏に回って首をボキッてね」
【睡拳】を使っている睡月に意識はない。
寝言のようにポツリと呟いた。
音もなく静かに近づく。
相手は全く気づく気配はなく、のんびり歩いていた。
魔の手が後ろから迫り、1人の視界を上下反転させる。
相手はここで睡月に気づいたがもう遅い。
懐に素早く入ると鳩尾に掌底を捻りながら撃ち込む。
【睡拳】を使用している状態で睡月の一撃をまともに受けきれるのは、VITとHPに大きくステータスを割いているタンク職だけだ。
VIT、HPにさほどステータスを振っていない魔法職のプレイヤーには耐えきることは不可能だった。
一瞬でHPが消し飛び、ポリゴンになって消えていく。
これで残り3人。
最初にヒーラーを倒しているため、回復されることは無い。
次に睡月のターゲットになったのはモンクの男。
武器を一切持たず拳で戦う近接戦闘特化のプレイヤーだ。
男は肉弾戦なら負けないと思っていた。
事実、お互いステゴロの状態で闘って負けたことは無い。
男は最初に自分を倒すべきだったなと思いながら睡月に向かって正拳突きを放った。
が、拳は睡月を捕らえるどころか、虚しく空を切る。
素早く振った拳の風を切る音だけが男の耳に残り、視界が逆さまになる。
「クソっ」
刀を持った女は一瞬で倒された3人を見ながら腰を落として、刀に手を掛ける。
抜刀の構えだ。
女の抜刀を見切った者は少ない。
女の最大最速の攻撃だ。
睡月はそんなことお構い無しに女の射程距離に、刀の届く範囲に無警戒に踏み込む。
「【瞬速抜刀】!!」
素早く放たれた斬撃は睡月の首と胴を真っ二つに切り分ける。
はずだった。
「嘘..........でしょ........?」
睡月は避けるのではなく刀を摘んでいた。
しかも刀の刃の部分を持っているのではなく、刃の裏側、峰の方を摘んでいる。
速かったのだ。
女が振る刀よりも睡月が刀を捕らえる腕の動きの方が。
パキンと摘んだ刀の部分をへし折る。
女は余りにも非現実的な光景に腰を抜かし、とても動ける状態ではなかった。
そこに睡月の拳が顔を捉え──────
「【カバーシャウト】!!」
女を殴り飛ばす前にタンク職の男が女を庇う。
だが、【睡拳】を使っている睡月のパンチを男は受けきれず女を巻き込みながら後ろに吹き飛んでいった。
「いってぇ....なんてパワーだ。おい、しっかりしろせめてお前だけでも生き残れ。失うポイントは少ない方がいい」
「え....えぇ....そうね。そっにの方が────────」
急に言葉が切れた女の方を男は嫌な予感を覚えながら見る。
「おいおいまじかよ。いつの間にお前そこに居たんだ......」
男の目に映ったのは首の折れたさっきまで話していた仲間と黒い悪魔が居た。
素早く盾を構えようとするが、もう遅い。
男も女と同じように首が折れ、ポリゴンになって消えていった。
睡月は戦闘を終える起きてマップを開く。
「次は......ここのパーティーが近いかぁ....後8パーティー!!頑張るぞー!!......今まだ0時45分か。まだまだ時間があるなぁ.....もっと遅くて良かったかも」
黒の悪魔の行進は始まったばかりだ。
スキル解説
【瞬速抜刀】
アクティブスキル クールタイム70秒
効果:刀を装備している時に発動可能。抜刀時の速度、攻撃力に50%の上方補正がかかる。
木々が生い茂っていた森とは違い、見晴らしのいい解放感のある乾いた風邪が睡月の長い髪をなびかせる。
数年間家に閉じこもった後、外の風に当たった時の気持ちよさのような感覚に睡月は気分よく獲物を探す。
マップに示された位置は大体ここら辺だ。
もちろん睡月が移動している間に相手も移動する。
何度も起きてマップを確認しながら移動してきた睡月は、若干不機嫌だ。
やはり参加するべきではなかったと少し後悔しながらも、始めてしまった以上最後までやらなければモヤモヤする。
睡月はため息をつくと、【睡拳】を使い移動し始めた。
距離にして200m、睡月の獲物がそこに居た。
睡月は大きく迂回しながら背後を取るように獲物に近づいていく。
イベントが始まる前に師匠である塩田に色々と助言を聞いてきた。
元々参加するつもりは無かったが念の為に聞いておいたのだ。
「まず、一体多数の場合は人数を減らすことを意識するのじゃ。当たり前だと思うだろうが、案外これが出来ない連中が多くてな。一発逆転の一手なんぞそうそうない。相手の戦力を確実に削りながら、数的不利な状況から脱出するのじゃ。そのために必要なのは、いかに先制攻撃で相手に損害を負わせるかじゃ。初撃で最低でも1人は倒したい。今回お主が参加するイベントは対人戦じゃろ?対人戦で重要なのはいかに相手の意表を突いて何もさせずに勝つことじゃ。タイマンでワシとほぼ互角に戦えるお主なら簡単じゃぞ。そうだな.......これなら恐らく誰であろうと一撃で倒せる。それは─────」
「裏に回って首をボキッてね」
【睡拳】を使っている睡月に意識はない。
寝言のようにポツリと呟いた。
音もなく静かに近づく。
相手は全く気づく気配はなく、のんびり歩いていた。
魔の手が後ろから迫り、1人の視界を上下反転させる。
相手はここで睡月に気づいたがもう遅い。
懐に素早く入ると鳩尾に掌底を捻りながら撃ち込む。
【睡拳】を使用している状態で睡月の一撃をまともに受けきれるのは、VITとHPに大きくステータスを割いているタンク職だけだ。
VIT、HPにさほどステータスを振っていない魔法職のプレイヤーには耐えきることは不可能だった。
一瞬でHPが消し飛び、ポリゴンになって消えていく。
これで残り3人。
最初にヒーラーを倒しているため、回復されることは無い。
次に睡月のターゲットになったのはモンクの男。
武器を一切持たず拳で戦う近接戦闘特化のプレイヤーだ。
男は肉弾戦なら負けないと思っていた。
事実、お互いステゴロの状態で闘って負けたことは無い。
男は最初に自分を倒すべきだったなと思いながら睡月に向かって正拳突きを放った。
が、拳は睡月を捕らえるどころか、虚しく空を切る。
素早く振った拳の風を切る音だけが男の耳に残り、視界が逆さまになる。
「クソっ」
刀を持った女は一瞬で倒された3人を見ながら腰を落として、刀に手を掛ける。
抜刀の構えだ。
女の抜刀を見切った者は少ない。
女の最大最速の攻撃だ。
睡月はそんなことお構い無しに女の射程距離に、刀の届く範囲に無警戒に踏み込む。
「【瞬速抜刀】!!」
素早く放たれた斬撃は睡月の首と胴を真っ二つに切り分ける。
はずだった。
「嘘..........でしょ........?」
睡月は避けるのではなく刀を摘んでいた。
しかも刀の刃の部分を持っているのではなく、刃の裏側、峰の方を摘んでいる。
速かったのだ。
女が振る刀よりも睡月が刀を捕らえる腕の動きの方が。
パキンと摘んだ刀の部分をへし折る。
女は余りにも非現実的な光景に腰を抜かし、とても動ける状態ではなかった。
そこに睡月の拳が顔を捉え──────
「【カバーシャウト】!!」
女を殴り飛ばす前にタンク職の男が女を庇う。
だが、【睡拳】を使っている睡月のパンチを男は受けきれず女を巻き込みながら後ろに吹き飛んでいった。
「いってぇ....なんてパワーだ。おい、しっかりしろせめてお前だけでも生き残れ。失うポイントは少ない方がいい」
「え....えぇ....そうね。そっにの方が────────」
急に言葉が切れた女の方を男は嫌な予感を覚えながら見る。
「おいおいまじかよ。いつの間にお前そこに居たんだ......」
男の目に映ったのは首の折れたさっきまで話していた仲間と黒い悪魔が居た。
素早く盾を構えようとするが、もう遅い。
男も女と同じように首が折れ、ポリゴンになって消えていった。
睡月は戦闘を終える起きてマップを開く。
「次は......ここのパーティーが近いかぁ....後8パーティー!!頑張るぞー!!......今まだ0時45分か。まだまだ時間があるなぁ.....もっと遅くて良かったかも」
黒の悪魔の行進は始まったばかりだ。
スキル解説
【瞬速抜刀】
アクティブスキル クールタイム70秒
効果:刀を装備している時に発動可能。抜刀時の速度、攻撃力に50%の上方補正がかかる。
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