社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"

桜井 響華

文字の大きさ
31 / 31
【番外編】溺愛時間を確保する為にすべき事とは?(side:大貴)

しおりを挟む
───遊園地は遊園地でも、夢の国の遊園地は想像を遥かに超えている別世界だった。

早めにベッドに入ったとはいえ、和奏と触れ合ってから眠りについた為に深い眠りについていた。

珍しく先に起きた和奏に無理矢理に起こされて、まだ眠り足りなかった身体が目覚めを知り、和奏から行先を聞かされる。

夢の国の遊園地には幼稚園ぐらいの幼い頃に来た記憶もあるが…大人になってからは一度もなかった。

多少並ぶのには慣れているが、60分待ちなど経験した事がない。

「大貴さん、疲れました?大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」

乗り物は5分程度で終わってしまうのだが、その一時を体験する為に皆が並ぶ。

60分間は和奏と一緒に色々な話をしていたから、時間的には長くもあり、貴重な時間でもあった。

様々な乗り物に乗ってパレードまで見終わり、閉園が近付く夢の国を名残り惜しさを残しながらもゲートへと歩く。

和奏は疲れを知らない子供みたいにはしゃいで、終始、笑顔だった。

パンフレットを片手にあちこち歩き回る和奏を見ていただけでも飽きなかった。

車に乗り込み、運転しながら話をかけたら即座に寝ていたみたいで…スヤスヤと静かに寝息を立てている。

本当に子供みたいだ。

そんな和奏を見て微笑ましくなり、一人でクスクスと笑ってしまった。

明日は仕事だと言うのにお構い無しに遊んでしまって、和奏と一緒に居ると今までとは違う世界が広がる。

25歳を過ぎてアラサーと呼ばれる世代になったのだが、遊園地は何歳になっても楽しめるものだと知った。

遊び疲れた身体は和奏を送ってから自宅まで帰るのも面倒になり、和奏のアパートに泊まる事にした。

アパート付近まで着いても和奏は起きず、一旦和奏をベッドまで連れて行き、車を近場の有料駐車場に停めてから再び部屋へと向かった。

部屋に向かうと直ぐに和奏の眠るベッドに項垂れる。

「相良…しゃん、次はアレ…」

今日の夢を見ているのか、寝言を言っている。

夢の中ではまだ"相良さん"と言う呼び方なんだと思い、可笑しくなる。

そんな和奏が愛おしくて、そっと抱き締めると眠っているのにも関わらずにぎゅっと抱き締め返して来た。

額に唇を触れさせ、「おやすみ」と言ってから自分も眠りについた。

───翌朝、スマホのアラームが鳴り響き、疲れが残る身体を無理矢理に起こす。

アラームが鳴り響く中、まだ寝足りないのか、一向に起きようとしない和奏。

まだ時間には余裕があるから、もう少しだけ寝かせておくことにして、自分はシャワーを浴びる。

シャワーを浴びた事により、頭の中もスッキリしてきて目覚めを実感する。

昨日も泊まる予定ではなかったが、万が一の時に備えて、そのまま出勤出来るようにYシャツの替えなど持って来ていて良かったと心底思いながら準備をする。

簡単な朝食でも…と思い、冷蔵庫を覗いて見ると和奏が起き出したようだ。

「おはようございます…大貴さん…」

「おはよう。シャワー浴びて来たら?」

「……はい」

まだ寝ぼけているような様子の和奏はドアに頭をぶつけて、痛がっている。

そんな和奏を微笑ましく思いながら、朝食の準備をして、和奏が戻って来たら一緒に朝食をとる事にした。

「すみません…朝食の準備までして貰い、ありがとうございます。先に起きれば良かったのですが起きられませんでした…」

「大丈夫だよ。それより、今日は時間が余りないから送っては行けないけど…?」

「私は遅番ですから気にしないで下さい」

簡単な朝食を二人でとりながら、何気ない会話を交わす。

当たり前のような光景も、今日から1週間はなくなる。

職場も別になり出勤時間も違うので、平日は会えない事が多くなって来た。

「また週末まで会えないかもしれないけど、賃貸はネットとかでも探してみるから」

朝食後、食器を二人で片付けをしながら和奏に賃貸の件を持ちかけたら…

「あの…大貴さん、なかなか見つからないし、染野さんに提案された、染野さんが住んでいる社宅にお世話になっても良いかなと思っています。社長夫人も後押しして下さってますし…」

との返答が返って来た。

花野井家の自宅横に離れがあるのだが、その場所は以前、俺の祖父母が住んでいた社宅でもあり、現在は家政婦の染野さんが住んでいる。

一人暮らしの為、部屋が余っているし、和奏が来てくれたら嬉しいと染野さんも言ってくれているのだけれども…しかし…。

「それは、どうしてもの時の最終手段にしよう」

「けど…相良さんに毎週のようにご迷惑かけるのも申し訳ないですし…。相良さんの負担になるのは嫌なんですっ」

「別に迷惑じゃないし、負担にもなってないけど?」

「大貴さんはそう言ってても私は気にしますっ。仕事でお疲れなのに…1日中探しても見つからないし…」

目尻に少しだけ、涙が溜まって来た和奏。

泣く事ないのに───……

「何で泣いてるの?」

泣いている和奏をなだめるように抱き締めると、背中にぎゅっと腕を回してくる。

「それに…和奏が染野さんの社宅に居候したら、なかなか二人きりになれないよ?週末も和奏と一緒に寝起き出来ないし…俺の我儘かもしれないけど、それはそれで嫌だ…」

「……大貴さん」

「とにかく、俺が和奏と一緒に居たいんだ。本当は今すぐにでも籍を入れて、一緒に暮らしたい。その前に和奏の御両親に挨拶したり、有澄君に早く籍を入れて貰って結婚式を挙げて欲しいんだけどね…。更にまた泣いてるし…!」

「…っ、嬉しくて涙が止まらないんです。こんなにも大貴さんに思われていて和奏は幸せ者です…!」

和奏の顔を上に上げて、涙で濡れている目尻に優しくキスを落とす。

こんなにも愛おしくて離れ難い存在は、和奏だけだと改めて実感する。

入籍をして一緒に暮らすまでの道のりはそう遠くはないのだろうけれど…自分自身が和奏に溺れているのだ。

本当は片時も離したくはない。

───だから私利私欲の為だろうと何だろうと…賃貸を探そうと思っている。

夫婦の真似事かもしれないが、朝晩を共にする事は自分にとっては最高の癒しでもあるから…。

・*:..。o♬*゚END・*:..。o♬*゚
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

もう一度確かな温もりの中で君を溺愛する

恋文春奈
恋愛
前世で俺は君というすべてを無くした 今の俺は生まれた時から君を知っている また君を失いたくない 君を見つけてみせるから この奇跡叶えてみせるよ 今度こそ結ばれよう やっと出逢えた 君は最初で最後の運命の人 ヤンデレ国民的アイドル松平 朔夜(25)×平凡なオタク大学生佐山 琉梨(22)

【完】経理部の女王様が落ちた先には

Bu-cha
恋愛
エブリスタにて恋愛トレンドランキング4位 高級なスーツ、高級な腕時計を身に付け ピンヒールの音を響かせ歩く “経理部の女王様” そんな女王様が落ちた先にいたのは 虫1匹も殺せないような男だった・・・。 ベリーズカフェ総合ランキング4位 2022年上半期ベリーズカフェ総合ランキング53位 2022年下半期ベリーズカフェ総合ランキング44位 関連物語 『ソレは、脱がさないで』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高4位 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高2位 『大きなアナタと小さなわたしのちっぽけなプライド』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高13位 『初めてのベッドの上で珈琲を』 エブリスタさんにて恋愛トレンドランキング最高9位 『“こだま”の森~FUJIメゾン・ビビ』 ベリーズカフェさんにて恋愛ランキング最高 17位 私の物語は全てがシリーズになっておりますが、どれを先に読んでも楽しめるかと思います。 伏線のようなものを回収していく物語ばかりなので、途中まではよく分からない内容となっております。 物語が進むにつれてその意味が分かっていくかと思います。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

お前が愛おしい〜カリスマ美容師の純愛

ラヴ KAZU
恋愛
涼風 凛は過去の恋愛にトラウマがあり、一歩踏み出す勇気が無い。 社長や御曹司とは、二度と恋はしないと決めている。 玉森 廉は玉森コーポレーション御曹司で親の決めたフィアンセがいるが、自分の結婚相手は自分で決めると反抗している。 そんな二人が恋に落ちる。 廉は社長である事を凛に内緒でアタックを開始するが、その事がバレて、凛は距離を置こうとするが・・・ あれから十年、凛は最悪の過去をいまだに引き摺って恋愛に臆病になっている。 そんな凛の前に現れたのが、カリスマ美容師大和颯、凛はある日スマホを拾った、そのスマホの持ち主が颯だった。 二人は惹かれあい恋に落ちた。しかし凛は素直になれない、そんなある日颯からドライブに誘われる、「紹介したい人がいるんだ」そして車から降りてきたのは大和 祐、颯の息子だった。   祐は颯の本当の息子ではない、そして颯にも秘密があった。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~

松本ユミ
恋愛
デザイン事務所で働く伊藤香澄は、ひょんなことから副社長の身の回りの世話をするように頼まれて……。 「君に好意を寄せているから付き合いたいってこと」 副社長の低く甘い声が私の鼓膜を震わせ、封じ込めたはずのあなたへの想いがあふれ出す。 真面目OLの恋の行方は?

Perverse second

伊吹美香
恋愛
人生、なんの不自由もなく、のらりくらりと生きてきた。 大学三年生の就活で彼女に出会うまでは。 彼女と出会って俺の人生は大きく変化していった。 彼女と結ばれた今、やっと冷静に俺の長かった六年間を振り返ることができる……。 柴垣義人×三崎結菜 ヤキモキした二人の、もう一つの物語……。

財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

花里 美佐
恋愛
榊原財閥に勤める香月菜々は日傘専務の秘書をしていた。 専務は御曹司の元上司。 その専務が社内政争に巻き込まれ退任。 菜々は同じ秘書の彼氏にもフラれてしまう。 居場所がなくなった彼女は退職を希望したが 支社への転勤(左遷)を命じられてしまう。 ところが、ようやく落ち着いた彼女の元に 海外にいたはずの御曹司が現れて?!

処理中です...