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しおりを挟むスマホを持った手を思いきり踏みつけられ、組員は悲鳴を上げた。
「今、どこに連絡した? 言え!」
「う、あぁ! 痛い、痛い!」
人を痛めつけることには慣れているくせに、自分が痛い目に遭うことはほとんど無かった男だ。
健の脅しに、震え上がった。
「言わないと、もっと酷い目に……」
「言う! 言うから! この足をどけてくれ!」
組員はぺらぺらと、手持ちの情報を健に差し出した。
「じゃあ、そこに新見もいるんだな?」
「新見さんが、新しい商品を持ち込んだ、って聞いてる」
新しい商品。
(未悠のことか!)
商品なんかに、させてたまるか。
健は、スマホと一緒に男の骨を踏み砕くと、すぐに事務所を出て行った。
場所は、繁華街から少し離れたビル。
表向きは不動産業だが、一歩踏み込むとそこは極道の巣窟だ。
(未悠。どうか、どうか無事で!)
健は、全速力で駆けていた。
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