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しおりを挟む「今夜は、火を通してから食べてください」
「生の方が……」
「お願いです。僕と同居を始めたお祝い、させてください」
鍋には、良い香りのすき焼きが煮えている。
「はい、城嶋さん。取ってあげますね」
未悠は取り皿に、肉をたくさん盛った。
「私はネギが苦手で……」
「野菜も摂らなきゃ、体に悪いです」
その世話女房ぶりに半ば呆れながらも、あとの半分は嬉しい健だ。
「ありがとう。いただきます」
こんな生活を、夢見たこともあった。
叶わないと知りながら、求めたことも。
「美味い。小咲くんの味付けは、私の口に合うよ」
「ホントですか!?」
僕、嬉しいです。
そして、少し怖いです。
(このぬくもりに、はまり切っちゃダメなんだ。城嶋さんは、いつかはいなくなっちゃう人なんだから)
しかし、彼の笑顔は温かすぎた。
未悠は、もう後戻りできない道を、歩み始めていた。
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