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しおりを挟む健と別れてから、三日。
未悠は、学校の植物園にいた。
ていねいに面倒を見てくれる者のない、少し荒れた植物園だ。
ところが今日は、そこにモスグリーンの作業着を身に着けた業者が一人いた。
「こんにちは」
育ちのいい未悠は、自然にその男にあいさつをしていた。
男は黙って会釈をしたが、その姿に未悠は驚いた。
「城嶋さん!?」
「小咲くん!?」
なぜ、どうして!
「城嶋さん、ルポライターだったんじゃ」
「取材という名の、潜入捜査さ」
二人は、園内のベンチに腰掛けた。
健はサーモスに入った温かなコーヒーを、未悠に振舞った。
「ミルクティー派の君には、苦いかもしれないけれど」
「いただきます」
熱くて舌先を少し火傷してしまったが、コーヒーはいい香りだった。
上質の苦みが、口いっぱいに広がる。
「おいしいです」
「良かった」
ほっと一息ついたところで、未悠は身を乗り出した。
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