190 / 198
奪われる頭脳よみがえる悪夢
169・首相と全身拘束刑の女(2)
しおりを挟む
グレートベイシティとは、ホンコンとマカオとを結ぶ橋の周囲にメガフロートなどによって形成された地域で、悲劇の13日のあとの世界的混乱で生じた難民を収容するための都市だった。混乱が収束した現在も五千万人前後が生活する地球上一の巨大都市になっていた。
「なんで、そうする必要があるのですか?」
愛莉は拒否したかった。でも、拒否したら元の姿に戻してもらえないかもしれなかった。そうなったら一生ロボットのまま・・・真由美にも会えない、それだけは避けたかった・・・
「それはな、君を嵌めた奴に罰をあたえるためさ。そうだろう、やられっぱなしも嫌だろ」
杠はニヤリとしながらいった。愛莉はなんとなくゾクゾクしたが、それは恐怖なのか何なのかわからなかった。
「そうですが・・・危険ではありませんか、それ?」
「危険か・・・まあ、何事もリスクというものはあるさ。でも、成功する可能性が全くないわけじゃないから大丈夫さ。それに、君の妹分の安養寺真由美さんに今後危険な目に遭わないために必要なのさ」
「真由美!? なぜ彼女の事を知っているのよ!」
おもわず立ち上がった愛莉はテーブルの上の空になったグラスを倒してしまった。
「真由美さんとは昔から知っている。彼女の父上と私は古くからの知り合いで。だから君の事は彼女から聞いていたのさ。学校でよくしてもらえるお姉さんみたいだと。君だって早く再会したいだろ?」
「そうですが・・・本当に大丈夫ですか? 大丈夫なら引き受けますよ。はやく真由美に人間として会いたいから」
「大丈夫さ! 私だって危険な事はしないさ。それよりも、こっちも飲んでよ」
仮想空間なので、倒れたグラスがいつの間にか中身が満たされ、隣には好物のチーズケーキが置かれていた。それを愛莉が食べると、意識が遠のいでいった。次の瞬間、現実世界に戻された。
「首相、それでいいのですか? 意識を改変する事は簡単なのに」
仮想空間から意識が戻った淳司はモニターに映る杠に尋ねていた。
「いいさ。とりあえず、そのガイノイドを側近モードに改造する手はずを。麗華に一緒に行ったサポートロボのサユリが大破したことにしているから、代わりの側近ロボとしてねじ込めるから」
サユリは廉価版のガイノイドなので壊れた事にしたのだ。本当は修理可能であったが。
「それにしても、首相らしくないですな。目的の為なら人命の犠牲も場合によっては厭わないのに」
そういっていた淳司の目の前に杠が現われた。わざわざ、やってきたわけだ。
「首相! わざわざここまで来なくても!」
「淳司君、どうしても来たかったんだ。はやく、ここに」
「なぜ、こだわるのですか、彼女にそこまで」
杠はガイノイド姿のままの愛莉を目の前にしてつぶやいた。
「この娘は私の唯一の孫だから・・・」
その言葉に淳司は衝撃を受けたが、疑問の一部が解消した。
「なんで、そうする必要があるのですか?」
愛莉は拒否したかった。でも、拒否したら元の姿に戻してもらえないかもしれなかった。そうなったら一生ロボットのまま・・・真由美にも会えない、それだけは避けたかった・・・
「それはな、君を嵌めた奴に罰をあたえるためさ。そうだろう、やられっぱなしも嫌だろ」
杠はニヤリとしながらいった。愛莉はなんとなくゾクゾクしたが、それは恐怖なのか何なのかわからなかった。
「そうですが・・・危険ではありませんか、それ?」
「危険か・・・まあ、何事もリスクというものはあるさ。でも、成功する可能性が全くないわけじゃないから大丈夫さ。それに、君の妹分の安養寺真由美さんに今後危険な目に遭わないために必要なのさ」
「真由美!? なぜ彼女の事を知っているのよ!」
おもわず立ち上がった愛莉はテーブルの上の空になったグラスを倒してしまった。
「真由美さんとは昔から知っている。彼女の父上と私は古くからの知り合いで。だから君の事は彼女から聞いていたのさ。学校でよくしてもらえるお姉さんみたいだと。君だって早く再会したいだろ?」
「そうですが・・・本当に大丈夫ですか? 大丈夫なら引き受けますよ。はやく真由美に人間として会いたいから」
「大丈夫さ! 私だって危険な事はしないさ。それよりも、こっちも飲んでよ」
仮想空間なので、倒れたグラスがいつの間にか中身が満たされ、隣には好物のチーズケーキが置かれていた。それを愛莉が食べると、意識が遠のいでいった。次の瞬間、現実世界に戻された。
「首相、それでいいのですか? 意識を改変する事は簡単なのに」
仮想空間から意識が戻った淳司はモニターに映る杠に尋ねていた。
「いいさ。とりあえず、そのガイノイドを側近モードに改造する手はずを。麗華に一緒に行ったサポートロボのサユリが大破したことにしているから、代わりの側近ロボとしてねじ込めるから」
サユリは廉価版のガイノイドなので壊れた事にしたのだ。本当は修理可能であったが。
「それにしても、首相らしくないですな。目的の為なら人命の犠牲も場合によっては厭わないのに」
そういっていた淳司の目の前に杠が現われた。わざわざ、やってきたわけだ。
「首相! わざわざここまで来なくても!」
「淳司君、どうしても来たかったんだ。はやく、ここに」
「なぜ、こだわるのですか、彼女にそこまで」
杠はガイノイド姿のままの愛莉を目の前にしてつぶやいた。
「この娘は私の唯一の孫だから・・・」
その言葉に淳司は衝撃を受けたが、疑問の一部が解消した。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。
AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
機械娘フェチ作品撮影!
ジャン・幸田
SF
わたし、とあるプロダクションに所属するモデルだったの。一応十八禁作品出演OKとしていたけど、恥ずかしかったの。
そいで顔出ししないでもいいという撮影があったので行ってみると、そこでわたしはロボットのようになれということだったの。わたしはガイノイドスーツフェチ作品に出演することになった。
ロボットウーマン改造刑を受けた少女
ジャン・幸田
SF
AI搭載型ロボットが普及した未来、特に技能のない人間たちは窮地に陥っていた。最小限の生活は保障されているとはいえ、管理され不自由なデストピアと世界は化していた。
そんな社会で反体制活動に参加し不良のレッテルを貼られた希美は保安処分として「再教育プログラム」を受けさせられ、強制的にロボットと同じ姿に変えられてしまった! 当局以外にはロボット以外の何者でもないと認識されるようになった。
機械の中に埋め込まれてしまった希美は、ロボットウーマンに改造されてしまった!
バイトなのにガイノイドとして稼働しなくてはならなくなりました!
ジャン・幸田
SF
バイトの面接に行ったその日からシフト?
失業して路頭に迷っていた少女はラッキーと思ったのも束の間、その日から人を捨てないといけなくなった?
機械服と呼ばれる衣装を着せられた少女のモノ扱いされる日々が始まった!
昼は学生・夜はガイノイド
ジャン・幸田
SF
昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?
女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!
彼女の想いの行方はいかなるものに?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる