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奪われる頭脳よみがえる悪夢
168・首相と全身拘束刑の女(1)
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愛莉は何故か懐かしさを感じていた。でも、理由は分からなかった。なにか本能的な感情がそうさせている気がした。初対面なはずなのに。それは目の前の初老の男も同じだった。
「はじめまして山川愛莉さん。私が杠信一郎です。今回は色んなことで大変な想いをさせて申し訳なく思っている。とりあえずそこに座って話をしましょう」
にっこりしてそういうと三人とも席に座った。実は愛莉は杠が首相だという事を知らなかった。杠が首相に就任する直前に身柄を拘束され、全身拘束刑に処せられている最中に就任したので、知るはずはなかった。
「杠さん。あなたは闇の司法長官をされておられるそうですが、何故私が冤罪だと分かっていたのに全身拘束刑を止めてくれなかったのですか? それって酷いじゃないですか? まだ恋もしたことないのに、身体があんなことにされたのでは、お嫁に行く事は出来ない・・・」
愛莉は少し涙ぐんでいた。全身拘束刑を受けた時の事を思い出していた。身体が改造され機械と同様にされる時の痛みと苦しみ、人間でなくなったことを。
「それは・・・すまないと思っている。色々と事情があってそうなったんじゃ。取り返しがつかない事になったのは分かっている。だから、可能な限り元の姿に戻すから」
杠はそういったが、彼も愛莉の身体の機能の一部は不可逆的な改造を受けているのを理解していた。それは愛莉も同じだった。唯一の救いといえば生殖機能が温存されているぐらいだった。それは生体のホルモンバランスを保つための措置であったが。
「そういわれても・・・愚痴をいうのはやめます。きりがないですから。ところで、なぜわざわざ私をこの空間に呼んだのですか? 最初に依頼された事をしたはずですよ。なのに何故?」
愛莉はいつの間にか目の前に出現したグラスに手を伸ばしていた。ガイノイドの姿に改造されてから、仮初でも人間と同じように楽しめるのはこの空間だけだから。
「それなんだが・・・予定では、もう終わるはずだったか、私と一緒に来てもらいたいところがある」
杠はそういうと、地図を広げた。それは南中華海周辺のものだった。そして指さしたのは巨大な海上都市だった。
「ここの、グレートベイシティに一緒に来てもらいたい。私の側近ロボとして」
「側近ロボ? なんですか、それって・・・もう少しこのままでいろというのですか?」
愛莉は杠に言われたことが信じられなかった!
「はじめまして山川愛莉さん。私が杠信一郎です。今回は色んなことで大変な想いをさせて申し訳なく思っている。とりあえずそこに座って話をしましょう」
にっこりしてそういうと三人とも席に座った。実は愛莉は杠が首相だという事を知らなかった。杠が首相に就任する直前に身柄を拘束され、全身拘束刑に処せられている最中に就任したので、知るはずはなかった。
「杠さん。あなたは闇の司法長官をされておられるそうですが、何故私が冤罪だと分かっていたのに全身拘束刑を止めてくれなかったのですか? それって酷いじゃないですか? まだ恋もしたことないのに、身体があんなことにされたのでは、お嫁に行く事は出来ない・・・」
愛莉は少し涙ぐんでいた。全身拘束刑を受けた時の事を思い出していた。身体が改造され機械と同様にされる時の痛みと苦しみ、人間でなくなったことを。
「それは・・・すまないと思っている。色々と事情があってそうなったんじゃ。取り返しがつかない事になったのは分かっている。だから、可能な限り元の姿に戻すから」
杠はそういったが、彼も愛莉の身体の機能の一部は不可逆的な改造を受けているのを理解していた。それは愛莉も同じだった。唯一の救いといえば生殖機能が温存されているぐらいだった。それは生体のホルモンバランスを保つための措置であったが。
「そういわれても・・・愚痴をいうのはやめます。きりがないですから。ところで、なぜわざわざ私をこの空間に呼んだのですか? 最初に依頼された事をしたはずですよ。なのに何故?」
愛莉はいつの間にか目の前に出現したグラスに手を伸ばしていた。ガイノイドの姿に改造されてから、仮初でも人間と同じように楽しめるのはこの空間だけだから。
「それなんだが・・・予定では、もう終わるはずだったか、私と一緒に来てもらいたいところがある」
杠はそういうと、地図を広げた。それは南中華海周辺のものだった。そして指さしたのは巨大な海上都市だった。
「ここの、グレートベイシティに一緒に来てもらいたい。私の側近ロボとして」
「側近ロボ? なんですか、それって・・・もう少しこのままでいろというのですか?」
愛莉は杠に言われたことが信じられなかった!
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