冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

文字の大きさ
上 下
186 / 198
奪われる頭脳よみがえる悪夢

165・電脳は人の夢を見るの?

しおりを挟む
 後で聞いたことであるが愛莉の電脳は三日間シャットアウトしていた。それは淳司が意図的にしたものであったが、当然その時は何が起きているのか分からなった。

 愛莉は森の中を彷徨っていた。電脳化された意識も夢をみるのかと不思議に思っていた。ただ、周囲は黄昏のように薄暗く色が少なかった。自分の姿はガイノイドのままであったが、なぜかボロボロだった。

 「夢ってみるの・・・でもはっきり起きたとき覚えているかしら?」

 全身拘束刑を受けるまで、就寝中に夢を見る事はあった。しかし、それらは起きたら瞬間的に忘れるものであった。だから、そう考えてしまった。よく聞いた話で夢だと分かったら好き勝手出来るとというものがあったが、そんなことは出来なかった。状況がわからないから。その森は見たことがあった・・・これは全寮制の女子高の周囲だと! そう思ったらいつの間にか校舎にいた。そして教室に誰かいないかと探していたら、懐かしい感じがした。それは・・・

 「お姉ちゃん! ずっと探していたのよ!」そういって泣きながら抱きついてきたのは安養寺真由美だった。

 「真由美ちゃん? 何していたの・・・それに制服姿?」夢の世界であるが、違和感があった。真由美は同じ大学生だし・・・ガイノイド姿なのになぜ愛莉だと認識できるのか、それに彼女は車椅子ではなく普通に自分の足で立っていた。

 「そんなのいいじゃないの! 会えたんだから」そういって嬉しそうに踊るかのように飛び跳ねていた。その表情は見たことあっても健常者のように飛び跳ねるのは見たことなかった。

 真由美の両脚は事故で損傷し機能が失われていたが、サイバネティクス技術が進歩した現在では、健常者と同じ事が出来るはずだった。でも、彼女は機械化義足にする手術をずっと拒否していた。

 「真由美ちゃん、その足どうしたの?」

 「これ? 私の本当の姿よ! だって、そうでしょ、お姉ちゃんだってこうすれば・・・」

 真由美が呪文のようなことを唱えると、愛莉は高校時代の自分の姿になった。

 「これでよし! では、話があるわ! ちょっと移動するわ!」 真由美がそう言うと、周囲の光景が一気に変わった。それは、見たことのない空間だった。

 「こ、ここは?」

 「オリジナルのエキゾチックブレインよ! 麗華にあった」

 「なぜ、ここなの?」

 「お姉ちゃん、ずっと隠していたことがあるのよ。オリジナルの安養寺真由美はボディはあってもすでに意識は存在しないのよ! 気付いていないけど、私は電脳なのよ!」

 真由美は不気味な笑みを浮かべていた。そんな彼女を見たことがなかったので恐怖していた愛莉であった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ロボリース物件の中の少女たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
高度なメタリックのロボットを貸す会社の物件には女の子が入っています! 彼女たちを巡る物語。

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

機械娘として転移してしまった!

ジャン・幸田
SF
 わたしの名前、あれ忘れてしまった。覚えているのはワープ宇宙船に乗っていただけなのにワープの失敗で、身体がガイノイドになってしまったの!  それで、元の世界に戻りたいのに・・・地球に行く方法はないですか、そこのあなた! 聞いているのよ! 教えてちょうだい!

昼は学生・夜はガイノイド

ジャン・幸田
SF
 昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?  女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!   彼女の想いの行方はいかなるものに?

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱

ジャン・幸田
SF
 何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。  過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。  どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

機械娘の機ぐるみを着せないで!

ジャン・幸田
青春
 二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!  そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

バイトなのにガイノイドとして稼働しなくてはならなくなりました!

ジャン・幸田
SF
 バイトの面接に行ったその日からシフト?  失業して路頭に迷っていた少女はラッキーと思ったのも束の間、その日から人を捨てないといけなくなった?  機械服と呼ばれる衣装を着せられた少女のモノ扱いされる日々が始まった!

処理中です...