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三姉妹との邂逅
145・惨劇(4)
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この事件で最大の謎と言われたのは、令和の虐殺魔の武器の調達方法と、その後の経過である。目の前で起きている虐殺行為などの事件の詳細について報道されたが、動機について「強い死刑願望」としか発表されることはなかった。そのため、武器の出どころも含め当時の世間の反応は、何らかの政治的配慮があったという指摘もあった。その時は陰謀論とかといわれたが、推測の域に出ることはなかった。
「ひどすぎる! あまり見ていられない・・・どうしてこの場面を見なければいけないのよ!」
愛莉はたまらない気持ちになった。いくら子供の頃から世界が混乱したことにより、残虐なシーンを数多く見てしまったとはいえ、こうした血なまぐさい死と恐怖しかない光景を見るのが嫌であった。
「これはね愛莉ちゃん。この事件の後に起きたことを記憶してるんだよ、このデバイスは。これを追体験した後でないと見れないようにプロテクトされているんだよ」
淳司は愛莉の肩を触りながら言った。
「デバイス?」
「そうデバイスは令和の虐殺魔の電脳記憶の中にあるのさ。君は麗華の三姉妹のことを知っているよね?」
「三姉妹って・・・あの悪魔の?」
「まあ、人類はそういっているな。同時に現在の世界を支える技術も作り出したが」
三姉妹は、純粋核融合技術のように世界のエネルギー革命を起こしたものもあるが、忌まわしい生物を機械に変えてしまうナノマシーンウイルスを拡散し、”悲劇の”13日間” を引き起こしたといわれていた。
「三姉妹・・・なんで、丹下教授のところにあるのよ!」
愛莉は疑問に思った。丹下教授は協力者のはずなのにと。
「それはな・・・今はいえないけど。この事件は今後も発表されることはない、事実があったのさ。丹下教授の裏の顔さ」
「丹下教授の?」
「この事件は、丹下教授を引きずり込むために引き起こされたものさ。まあ、やりすぎだったわけさ。令和の虐殺魔を操っていた試作段階のナノマシーンが暴走したのさ」
「そういえば、さっき首筋にあったデバイスって?」
「そうさ、あの首筋の!」
令和の虐殺魔が傍若無人で無差別発砲していたが、突如静かになった。背中から血が噴き出していた。現場に駆け付けた警官が撃った銃弾が身体を打ち抜いた。一連の犯行に終止符が打たれた。
「あの男は殺人マシーンになったわけさ。弱みに付け込まれたのさ、愛莉ちゃん。この後の事は知っていると思うけど、あの男は背骨を損傷して車イスを使わないとならない身体になったわけさ。そして裁判は早く死刑になりたいといって控訴をせずに、一審で確定してから、この国で最後に死刑が執行された死刑囚になった。そうされているけど、事実は違ったのさ。あの狂乱の2020年代の政治家いや奴らに魂を売り渡した者たちによって人体実験の材料になったわけだ。その真相を知っているのがこいつの記憶ってわけさ」
淳司はそういうと、腕を振り回した。すると空間が引き割かれた。この仮想空間では淳司は空間を操ることは容易だった。
「なによ、これ?」
「これから、行くのさ! 三姉妹に会いに行こう!」
そういうと愛莉の両肩を持った淳司はその裂け目に突入していった。
「ちょっと、我慢してね愛莉ちゃん」
それは、令和の虐殺魔の電脳世界でもプロテクトされた部位にダイブした瞬間だった。一瞬、愛莉は気を失った。
「ひどすぎる! あまり見ていられない・・・どうしてこの場面を見なければいけないのよ!」
愛莉はたまらない気持ちになった。いくら子供の頃から世界が混乱したことにより、残虐なシーンを数多く見てしまったとはいえ、こうした血なまぐさい死と恐怖しかない光景を見るのが嫌であった。
「これはね愛莉ちゃん。この事件の後に起きたことを記憶してるんだよ、このデバイスは。これを追体験した後でないと見れないようにプロテクトされているんだよ」
淳司は愛莉の肩を触りながら言った。
「デバイス?」
「そうデバイスは令和の虐殺魔の電脳記憶の中にあるのさ。君は麗華の三姉妹のことを知っているよね?」
「三姉妹って・・・あの悪魔の?」
「まあ、人類はそういっているな。同時に現在の世界を支える技術も作り出したが」
三姉妹は、純粋核融合技術のように世界のエネルギー革命を起こしたものもあるが、忌まわしい生物を機械に変えてしまうナノマシーンウイルスを拡散し、”悲劇の”13日間” を引き起こしたといわれていた。
「三姉妹・・・なんで、丹下教授のところにあるのよ!」
愛莉は疑問に思った。丹下教授は協力者のはずなのにと。
「それはな・・・今はいえないけど。この事件は今後も発表されることはない、事実があったのさ。丹下教授の裏の顔さ」
「丹下教授の?」
「この事件は、丹下教授を引きずり込むために引き起こされたものさ。まあ、やりすぎだったわけさ。令和の虐殺魔を操っていた試作段階のナノマシーンが暴走したのさ」
「そういえば、さっき首筋にあったデバイスって?」
「そうさ、あの首筋の!」
令和の虐殺魔が傍若無人で無差別発砲していたが、突如静かになった。背中から血が噴き出していた。現場に駆け付けた警官が撃った銃弾が身体を打ち抜いた。一連の犯行に終止符が打たれた。
「あの男は殺人マシーンになったわけさ。弱みに付け込まれたのさ、愛莉ちゃん。この後の事は知っていると思うけど、あの男は背骨を損傷して車イスを使わないとならない身体になったわけさ。そして裁判は早く死刑になりたいといって控訴をせずに、一審で確定してから、この国で最後に死刑が執行された死刑囚になった。そうされているけど、事実は違ったのさ。あの狂乱の2020年代の政治家いや奴らに魂を売り渡した者たちによって人体実験の材料になったわけだ。その真相を知っているのがこいつの記憶ってわけさ」
淳司はそういうと、腕を振り回した。すると空間が引き割かれた。この仮想空間では淳司は空間を操ることは容易だった。
「なによ、これ?」
「これから、行くのさ! 三姉妹に会いに行こう!」
そういうと愛莉の両肩を持った淳司はその裂け目に突入していった。
「ちょっと、我慢してね愛莉ちゃん」
それは、令和の虐殺魔の電脳世界でもプロテクトされた部位にダイブした瞬間だった。一瞬、愛莉は気を失った。
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