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三姉妹との邂逅

139・2019年のクリスマスイブ(2)

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 そんな時、愛莉はショーウィンドウに映る自分たちの姿を見てはっとした。茶髪のチャラ男とお嬢様学校の高校生のカップルなんて!

 「それにしても淳司!」

 「なんなんだ?」

 「これってデートしているカップルなんて違和感しか感じないですけど。あたしが自分の姿をみると・・・」

 「はずかしい?」

 「そうじゃなくて! おかしくないんじゃないのよ! 昔あったと先生がいっていた・・・援交かしら? なんか不純なものを感じるのよ!」

 「愛莉ちゃんは男と付き合ったことないの?」

 「そうよ! 全寮制の学校に行っていたし! ほら、知っているでしょあたしって孤児なんだから帰る家がないから、夏休みもずっと寮で生活していたし!」

 「でも、帝央に入ってから出会いぐらいあったんじゃないの?」

 「ないわよ! なんか男子学生となじめなくて必要以上に話なんかしたことないし! ましてはこうやって歩くなんかしたことないのよ!」

 愛莉は少し照れ臭かった。いくら自然現象を数値として読み取れる能力があっても、自分に彼氏が出来てデートするなんて想像はしたことなかったためだ。

 「じゃあ、こんなふうにしたことはないんだね」

 そういって淳司は愛莉の手を握った。愛莉の顔は真っ赤になった。

 「な、なによ! 誰にだって最初はあるでしょ・・・恥ずかしいじゃないのよ。でも、これって仮想現実なのよね。ちょっと寂しいけど・・・温かい」

 愛莉は生に感じているのは全てデータベースに接続された電脳同士が構築した仮想現実にすぎないとはわかっていても、新鮮に思えた。現実の自分はただの機械人形なんだから体験しえないことだった。そうして歩いていると目的地にたどり着いた。ここは惨劇の現場のコンサート会場だった。

 「癒しのチャリティーコンサートか、これから起きるのね」

 「そうだよ。でも、注意してほしいのは惨劇を防ごうとは思わないでくれ。アーカイブだしやろうとしても変えられないしバグが起きかねないから。知っているだろうけど、惨劇が起きたのは開始から一時間後で、激しい交響曲の演奏中に起きたんだ。激しい打楽器に合わせて銃撃が始まったから気付くのが遅くなったわけだ」

 二人はコンサート会場に入った。この世界では二人は幽霊みたいな存在なので誰も気にしていない様子だった。その中には二十年前の丹下教授の姿もあった。その傍らには夫人と二人の娘の姿もあった。

 「丹下教授の隣の三人は?」

 「亡くなったんだ・・・これがタイムマシーンに戻っての映像なら誰もが止めるだろうな。でも仕方ない・・・」

 淳司の言葉も言い表せない気持ちがにじんでいた。

 
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