152 / 199
三姉妹との邂逅
135・令和の虐殺魔(4)
しおりを挟む
のちに「令和の虐殺魔」と呼ばれる殺人犯は15人の命を奪った悪名高い男であった。その男が処刑されたのは「悲劇の13日」よりも二年前の2028年夏の事であった。その直後当時の世界三大強国による大戦争により世界が混乱したため事実上死刑制度が停止状態になり、それから五年後に「全身拘束刑」が導入されたわけだ。
「シグマ計画って・・・聞いたことないわよ」
愛莉は記憶を検索したがわからなかった。愛莉は理数系で計算能力などは優れていたが、社会科学系にあまり興味がなく、覚えることはできても余り考えることはなかった。
「シグマ計画は簡単に言えば人体のナノマシーンによる機械化技術の土台さ。ナノマシーンを知っているよね、君がロボットのような姿にされた技術さ」
クラウゼの言葉に愛莉は戦慄が走った。たしかナノマシーンを開発したのは「偽りの13か月の平和」に麗華の天才三姉妹だったと聞いていたというのに。それよりも前に開発されていたというのか、しかも丹下教授がかかわっていた?
「それっておかしいわよ、最初の被験者が目の前の男なんて!」
愛莉はメタリックなボディを震わせながらいうと、クラウゼが振りかえって指を振った。
「ちがう! 実は丹下教授は密かに引き取り手のない遺体などを使っていたんだ。次は死刑囚をつかって、実証したんだ。そして最後に永遠に苦しむようにと、目の前の奴を改造したわけさ。
それまでの被験者は全て最終的には廃棄処分したというのに、ここでもう十二年近くも保管しているんだ。時々、電源が入るようにしていて苦しんでいるのさこいつは!
丹下教授に言わせば死を望んで多くの、妻と娘の命などを奪った奴に死ぬよりも恐ろしい生を永遠に与えたんだと。最終的には誰の手にも触れられない棺桶にいれて地中深く埋めて、この地球が消滅するまで苦しめてやると計画していたんだぞ」
愛莉は今まで丹下教授に抱いていた印象が崩れるのがわかった。肉親を奪われて死を望むのではなく地球が滅亡するまで苦しめてやるやるなんて恐ろしい事をしようとするなんて。そのとき、目の前のモニターに文字列がうかんだ。それは地獄に落ちた餓鬼の言葉のようで恐ろしいといえた。
”はやく”機能停止しろ! お願いだ! シグマ計画の事を教えるから! 早く電源を落としてくれ!”
「シグマ計画って・・・聞いたことないわよ」
愛莉は記憶を検索したがわからなかった。愛莉は理数系で計算能力などは優れていたが、社会科学系にあまり興味がなく、覚えることはできても余り考えることはなかった。
「シグマ計画は簡単に言えば人体のナノマシーンによる機械化技術の土台さ。ナノマシーンを知っているよね、君がロボットのような姿にされた技術さ」
クラウゼの言葉に愛莉は戦慄が走った。たしかナノマシーンを開発したのは「偽りの13か月の平和」に麗華の天才三姉妹だったと聞いていたというのに。それよりも前に開発されていたというのか、しかも丹下教授がかかわっていた?
「それっておかしいわよ、最初の被験者が目の前の男なんて!」
愛莉はメタリックなボディを震わせながらいうと、クラウゼが振りかえって指を振った。
「ちがう! 実は丹下教授は密かに引き取り手のない遺体などを使っていたんだ。次は死刑囚をつかって、実証したんだ。そして最後に永遠に苦しむようにと、目の前の奴を改造したわけさ。
それまでの被験者は全て最終的には廃棄処分したというのに、ここでもう十二年近くも保管しているんだ。時々、電源が入るようにしていて苦しんでいるのさこいつは!
丹下教授に言わせば死を望んで多くの、妻と娘の命などを奪った奴に死ぬよりも恐ろしい生を永遠に与えたんだと。最終的には誰の手にも触れられない棺桶にいれて地中深く埋めて、この地球が消滅するまで苦しめてやると計画していたんだぞ」
愛莉は今まで丹下教授に抱いていた印象が崩れるのがわかった。肉親を奪われて死を望むのではなく地球が滅亡するまで苦しめてやるやるなんて恐ろしい事をしようとするなんて。そのとき、目の前のモニターに文字列がうかんだ。それは地獄に落ちた餓鬼の言葉のようで恐ろしいといえた。
”はやく”機能停止しろ! お願いだ! シグマ計画の事を教えるから! 早く電源を落としてくれ!”
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
恥ずかしい 変身ヒロインになりました、なぜならゼンタイを着ただけのようにしか見えないから!
ジャン・幸田
ファンタジー
ヒーローは、 憧れ かもしれない しかし実際になったのは恥ずかしい格好であった!
もしかすると 悪役にしか見えない?
私、越智美佳はゼットダンのメンバーに適性があるという理由で選ばれてしまった。でも、恰好といえばゼンタイ(全身タイツ)を着ているだけにしかみえないわ! 友人の長谷部恵に言わせると「ボディラインが露わだしいやらしいわ! それにゼンタイってボディスーツだけど下着よね。法律違反ではないの?」
そんなこと言われるから誰にも言えないわ! でも、街にいれば出動要請があれば変身しなくてはならないわ! 恥ずかしい!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱
ジャン・幸田
SF
何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。
過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。
どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。
AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

バイトなのにガイノイドとして稼働しなくてはならなくなりました!
ジャン・幸田
SF
バイトの面接に行ったその日からシフト?
失業して路頭に迷っていた少女はラッキーと思ったのも束の間、その日から人を捨てないといけなくなった?
機械服と呼ばれる衣装を着せられた少女のモノ扱いされる日々が始まった!

昼は学生・夜はガイノイド
ジャン・幸田
SF
昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?
女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!
彼女の想いの行方はいかなるものに?
クリスタルレディ との逃亡
ジャン・幸田
恋愛
少女のチズルは、兄のように慕いながらも恋人になるのを許されない、宇宙士官候補生のタクマと一緒に訓練航海に同行するため、クリスタルレディと呼ばれるサイボーグに改造してもらった。
訓練航海の最中にふとしたことで二人は遭難してしまった。敵対勢力地域から故郷地球に戻るための逃亡劇が今始まる!
(あんまり人気もなく、乗り気にならないので、途中の話を飛ばして投稿します。後半はダイジェストみたいにします)
機械娘フェチ作品撮影!
ジャン・幸田
SF
わたし、とあるプロダクションに所属するモデルだったの。一応十八禁作品出演OKとしていたけど、恥ずかしかったの。
そいで顔出ししないでもいいという撮影があったので行ってみると、そこでわたしはロボットのようになれということだったの。わたしはガイノイドスーツフェチ作品に出演することになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる