冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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三姉妹との邂逅

125・心は自由でも身体は(2)

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 愛莉が受けた全身拘束刑による肉体改造は「刑期10年」ではあり得ないレベルだった。そもそも裁判自体がスケールアップ(でっち上げ)であり、司法長官による執行命令書も「連中」の意を受けた当局による捏造だし、山崎技師長以下の司法省行刑局執行機関への改造計画も事実上死刑執行相当であった。

 「そうですわね、本当に元に戻れないですよね。ここまで改造されたら」

 愛莉は今の自分の機体が嫌だった。かつての死刑のように死んだら全てが終わるのでなく、ほぼ完全に機械化される刑だと、メンテナンスさえ適切なら数千年かそれ以上も存在しなければならない。人類の機械奴隷として。そんな事を耐えられないとして自我を失くする措置を受けるはずだが、今は中途半端に蘇っている。それは良い状況ではなかった。

 「そうだね君。軽度の改造なら元の肉体に戻すのはそれほど難しくないが、君のようにナノマシーンで生体機械にほぼ改造すれなんて・・・言いにくいが元の肉体とほぼ同じなのは生体脳の一部と生殖機能ぐらいだ。正直にいうと不可逆的なんだ。外観はヒューマノイドに改造は出来るが、中身はね」

 クラウゼの言葉自体が死刑執行宣告に近かった。身体は機械のままなんだと。愛莉は悲しかったがガイノイドでは感情表現はできなかった。

 「そうですよね・・・冤罪が証明出来れば元に戻るわけではないのですよね、完全に」

 愛莉は自分の機体を呪っていた。ガイノイドの自分に。するとクラウゼはこんなことをいった。

 「実は一つだけ方法があるのかもしれないんだ。宇宙自衛隊と麗華国防部が秘密裡に開発していたナノマシーンが」
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