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三姉妹との邂逅
126・心は自由でも身体は(3)
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ナノマシーン? 愛莉にとってそれは忌まわしいものであった。全身拘束刑を執行され、自分から生身の肉体を奪ったものだ。ナノマシーンは有機物質の組成を改変するもので、現在では安価な人造肉製造から脳細胞の電脳化まで使用されている。最初に発明したのは麗華の天才三姉妹だとされている。
「どういうことなんですか?」
愛莉はクラウゼを見やった。彼は大柄な男で彼自身が強化改造された兵士のように見えた。
「簡単に言えば、人体改造用のナノマシーンの逆の行為をするものさ。もっとも、それも限界があるそうだが・・・そういえば、君が暴露したとされる秘密漏洩事件で明らかになっていないな。あれも、内閣の支持率が下がって防衛長官の辞任に発展したんだが、マスコミがセンセーションな所しか報道しなかったし、ネットも・・・」
クラウゼが語る事件の顛末は愛莉にとって知らないところで起きたことだ。でも、首謀者として処罰された結果が今の姿だ。愛莉の肉体を改造して誕生したガイノイド・エリーと詐称しているガイノイド・アイリだ。
「まあ、君が暗号を解読して取り出した防衛省のブラックボックスのデータには合同人体実験の研究データがあったわけだが、一般に流出したのはウイルス性ナノマシーンに感染した者に対する非人道的といわれても仕方がない措置だな。いくら、残虐な行為になれたこの国の市民であっても見るに堪えないだろうな。でもな、本当に重要だったのは、その逆改造ナノマシーンの情報なんだ」
そういうと、クラウゼは手帳から取り出した一枚の紙を見せた。いまどき、電子手帳を使わないのは高齢者か機械嫌いぐらいなのに、彼のような技術者が使っているのは意外といえた。
「これって?」
金属と特殊樹脂に覆われた手で愛梨は受け取った。その紙にはドイツ語で説明文が書かれており、写真には大きなクレータが写されていた。
「それはな、麗華の秘密研究所の現状さ。連中によって純粋水爆テロによって完全に破壊されたのさ、今年の一月に! 君が暗号解読したから連中に所在がバレたのさ。このとき、失われたのさ、人体再改造ナノマシーンの情報が!」
クラウゼの言葉に愛莉はいったい自分がなにをしたのかわからなかった。
「どういうことなんですか?」
愛莉はクラウゼを見やった。彼は大柄な男で彼自身が強化改造された兵士のように見えた。
「簡単に言えば、人体改造用のナノマシーンの逆の行為をするものさ。もっとも、それも限界があるそうだが・・・そういえば、君が暴露したとされる秘密漏洩事件で明らかになっていないな。あれも、内閣の支持率が下がって防衛長官の辞任に発展したんだが、マスコミがセンセーションな所しか報道しなかったし、ネットも・・・」
クラウゼが語る事件の顛末は愛莉にとって知らないところで起きたことだ。でも、首謀者として処罰された結果が今の姿だ。愛莉の肉体を改造して誕生したガイノイド・エリーと詐称しているガイノイド・アイリだ。
「まあ、君が暗号を解読して取り出した防衛省のブラックボックスのデータには合同人体実験の研究データがあったわけだが、一般に流出したのはウイルス性ナノマシーンに感染した者に対する非人道的といわれても仕方がない措置だな。いくら、残虐な行為になれたこの国の市民であっても見るに堪えないだろうな。でもな、本当に重要だったのは、その逆改造ナノマシーンの情報なんだ」
そういうと、クラウゼは手帳から取り出した一枚の紙を見せた。いまどき、電子手帳を使わないのは高齢者か機械嫌いぐらいなのに、彼のような技術者が使っているのは意外といえた。
「これって?」
金属と特殊樹脂に覆われた手で愛梨は受け取った。その紙にはドイツ語で説明文が書かれており、写真には大きなクレータが写されていた。
「それはな、麗華の秘密研究所の現状さ。連中によって純粋水爆テロによって完全に破壊されたのさ、今年の一月に! 君が暗号解読したから連中に所在がバレたのさ。このとき、失われたのさ、人体再改造ナノマシーンの情報が!」
クラウゼの言葉に愛莉はいったい自分がなにをしたのかわからなかった。
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