冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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迷宮魔道な場所へ

111・迷宮魔道な場所へ(2)

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 機械奴隷、それは爆発的に増大したこの国における労働に従事するロボットへの蔑称だ。少し前、世界同時サイバーテロが発生する数年前から量産型は販売されていたが、テロ後の世界的混乱の中で自由な意思を持たず人間を差別しないロボットが普及していった。

 おかけで少子高齢化による慢性的な労働不足が解消していた。一方で深刻な問題もあった。労働現場から追われて行った人間の失業問題だ。政府は労働現場にロボットを導入した企業から稼働税を徴収し、そんな失業者への給付に充てていたが、当然不満を持つ者も少なくなかった。それら不満分子による反体制的なテロ行為が横行していた。

 一方では、そんなロボットと同じ姿になりたいと願う者もあらわれた。その理由はロボットに憧れるというものから、身体的衰退をカバーするためなど、様々な理由があったが、いわゆるパワードスーツでロボットの姿になる事も多く、いまではロボットと人間の境界があいまいになりつつあった。

 愛莉といえば、刑罰でロボットと同等の身体にされたので、そんなロボットになりたいという人間の心理は理解したくなかった。でも、ここではそんな元人間は少なくないようだった。学生だった時も進んで被験者になりたいという人が理工学部に入ってくるのを何度も目撃していた。なんで、ああなりたいのか理解できなかったが、理解する前に自分の方が機械化されてしまった! いったい何の因果なんか誰か教えてほしいモノだと愛梨はブツブツ考えていた。そんなときだった、新たな指示が電脳にもたらされた。

 「アイリ、地下5階第502実験室に出頭しなさい! 以上」

 それは簡単なものだったが、実行中の作業を終えアイリは自動的に歩んでいった。
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