冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

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迷宮魔道な場所へ

93・怒る愛莉!(5)

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 この時点でタオ先輩がエキゾチック・ブレイン復活を企てているメンバーの一人だとわかり、悲しくもあり怒りにも震えていた。しかし謎はここにきて増えてしまった。悪魔の女性科学者オ・レンユウとほぼ同一人物ではないかという。

 タオ先輩いやタオ・イムジュの傍にいた時、愛莉は彼女は人間だと認識していたはずだった。もしサイボーグやガイノイドだったら気付いたはずだった。グレン教授のように機械化した身体を誇示するのもいるし、どこかしらおかしい点があるはずだから。実際、愛莉は完全に機械の身体にされているのだから、違和感があったはずだ。しかし思い出せなかった。

 「君と畦地晴美に対して連中がどのようにしていったのかはまだ分かっていない。確かなのは晴美は連中の手で電脳化され、君は全身拘束刑によって電脳化されたという事実だ。そこんところが真実に続く鍵かもな」

 仮想現実の中で淳司はデスクに様々な資料を出した。これらの資料は紙のファイルのように認識していたけど、実際は電磁的記録を直接閲覧しているのかもしれない。そう思うと人間の脳というのは生身でも電脳でもデバイスにすぎないといえた。

 「淳司! ここで聞きたいけど、どこまでの事が分かれば私の冤罪が晴らせるというのよ? 具体的にまだ何も聞いていないわよ」

 愛莉は早く人間の姿に戻って真由美のまえに帰りたかった。一度全身拘束刑でほぼ機械になってしまったので、戻るにしても外見だけ復元になるかもしれないが、ごめんね心配かけてねと謝りたかった。その後の事はまだ何も考えられなかった。愛莉に聞かれ淳司はそうきたかという顔をしていた。でも、それって最初に行ってほしい事であった。

 「そうよなあ、確かに俺は君に具体的な事を指示していないからな。取り合えず帝央大に潜入しただけだからな。最終的にどうするかはクライアントもまだ迷っているそうだ。なんだって世界同時サイバーテロを引き起こした悪魔を、この国が復活させようとしているんだからな。おそらく内閣総辞職を免れないだろうというのがクライアントの意見だ。そうなれば、ただでさえ漸弱なこの世界がまた混沌に戻るからな」

 愛莉はそれを聞いて、淳司のクライアントって何者なんだと思った。まあ、内閣総辞職をひと事のように言っているので、この国の与党側政治家でないのは間違いなさそうと推測していた。

 「そうなんだあ・・・って、本当のところはゴールはまだないというの? そんなら、一体何をしているのよ!」

 愛莉はそういうと淳司のデスクに向おうとしたけど、身体が動かせられなかった。すると淳司は少し冷たい目をしてこう言い放った。

 「愛莉ちゃん、申し訳ないがとりあえず君の身体をチェンジさせてもらう。怒らないでくれよ!」

 「な、なのよそれ?・・・」

 話を続けようとしたが、愛莉の身体が急に熱くなったかと思ったら、着ていた制服が透明化してしまった!

 「なによ、これ! えっち!」

 愛莉はこのままでは自分のハダカが淳司に見られると驚きながら、淳司の変態と叫んでいた。
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