冤罪! 全身拘束刑に処せられた女

ジャン・幸田

文字の大きさ
上 下
101 / 199
迷宮魔道な場所へ

92・怒る愛莉!(4)

しおりを挟む
 「その女が本当にオ・レンユウなんですか?」

 愛莉はその名前は聞いたことがあった。両親の命を奪った一連のテロの首謀者とされていた。でも、あのサイバーテロは各論が錯綜しているので、現在でも陰謀論的な説があるなど混乱していた。多数意見としては最大の犯罪首謀者は蔡国大統領とそれを操っていた麗華民主共和国人民国防会議議長とされていた。その実行部隊の指導者がオ・レンユウかのように言われていた。でも、その正体は女であること、年齢は28歳であることしかわからず、彼女の顔形はどこにも記録されていなかった。

 「そうだ! 実際に生前の彼女に会ったことがあったそうだ、俺のクライアントが。それによれば間違いないそうだ。だから彼女タオの画像を見た時は大変驚いたそうだよ」

 淳司はそういうと別の写真を見せた。そちらの方はタオ先輩で隣は山村愛莉って自分だと思った。

 「それって?」

 「ああ、君も覚えているだろう。君が一昨年学校説明会に帝央に来た時のものさ。この時の事を覚えているだろう? 積極的だったと思わないか勧誘が! 君はこの時から狙われていたのさ!」

 その写真は初めてタオ先輩に会った時のものだった。タオ先輩から聞かされた人間のように考える超高性能AI、自己の意志によって自分でひらめきによって設定するAI。その話に魅せられて入学したから。帝央大よりも条件のいい奨学金制度のオファーがあったのを断ったのもタオ先輩が関わっている研究に魅せられたためだった。

 「そうなんだあ・・・タオ先輩は最初から・・・」

 愛莉は予想は出来たがやはり嵌められていたんだと思った。それにしてももう一人気になったのが晴美だ! そもそも国防省のハッキングをさせたのは彼女に言われためだ!

 「そうだ! そうそう、気になっているんだろ畦地晴美って同級生だろ?」

 「そうだけど、彼女がどうしたというのよ!」

 晴美は脳漿だけ持ち去られるという異常な死体で発見されたのに自殺と処理されたという。警察内部にもエキゾチック・ブレイン復活を目論む連中の魔の手に落ちているようだ。

 「本来は彼女が全身拘束刑にされる可能性があったそうだ。でも、彼女は見てはならないモノを見てしまったようだ。もし全身拘束刑になって電脳がサーチされて露見を恐れたようだ。だから、急遽君を全身拘束刑に仕立てたようだ。だから、君の記憶が曖昧なんだ」

 それを聞いた愛莉は、じゃあ全身拘束刑でなかったらどうなっていたというのだ! そう怒りの想いがこみ上げてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

恥ずかしい 変身ヒロインになりました、なぜならゼンタイを着ただけのようにしか見えないから!

ジャン・幸田
ファンタジー
ヒーローは、 憧れ かもしれない しかし実際になったのは恥ずかしい格好であった! もしかすると 悪役にしか見えない? 私、越智美佳はゼットダンのメンバーに適性があるという理由で選ばれてしまった。でも、恰好といえばゼンタイ(全身タイツ)を着ているだけにしかみえないわ! 友人の長谷部恵に言わせると「ボディラインが露わだしいやらしいわ! それにゼンタイってボディスーツだけど下着よね。法律違反ではないの?」 そんなこと言われるから誰にも言えないわ! でも、街にいれば出動要請があれば変身しなくてはならないわ! 恥ずかしい!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バイトなのにガイノイドとして稼働しなくてはならなくなりました!

ジャン・幸田
SF
 バイトの面接に行ったその日からシフト?  失業して路頭に迷っていた少女はラッキーと思ったのも束の間、その日から人を捨てないといけなくなった?  機械服と呼ばれる衣装を着せられた少女のモノ扱いされる日々が始まった!

【SF短編集】機械娘たちの憂鬱

ジャン・幸田
SF
 何らかの事情で人間の姿を捨て、ロボットのようにされた女の子の運命を描く作品集。  過去の作品のアーカイブになりますが、新作も追加していきます。  どちらかといえば、長編を構想していて最初の部分を掲載しています。もし評判がよかったり要望があれば、続編ないしリブート作品を書きたいなあ、と思います。

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

機械娘フェチ作品撮影!

ジャン・幸田
SF
 わたし、とあるプロダクションに所属するモデルだったの。一応十八禁作品出演OKとしていたけど、恥ずかしかったの。  そいで顔出ししないでもいいという撮影があったので行ってみると、そこでわたしはロボットのようになれということだったの。わたしはガイノイドスーツフェチ作品に出演することになった。

昼は学生・夜はガイノイド

ジャン・幸田
SF
 昼間は人間だけど夜になるとガイノイドに姿を変える。もう、そんな生活とはいったい?  女子校生のアヤカは学費と生活費を出してもらっている叔父夫婦の店でガイノイド”イブ”として接客していた。そんな彼女が気になっていた客は、機械娘フェチの担任教師の風岡だった!   彼女の想いの行方はいかなるものに?

ロボリース物件の中の少女たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
高度なメタリックのロボットを貸す会社の物件には女の子が入っています! 彼女たちを巡る物語。

処理中です...