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迷宮魔道な場所へ
83・監視のなかで
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そもそもエリー(愛莉)がこんな危険な理工学部エリアに入ったのは淳司に装置をセッティングするためであった。現在、理工学部にいるアイリの電脳とエリーの電脳をリンクするためだ。最初から出来なかったのは司法省行刑局へのリンクを使うソフトウェアの改変が間に合わなかったからということだったが、本当は理工学部にいるエキゾチック・ブレイン関係者にエリーの存在を教えるためのようにしたようにしか愛莉は思えなかった、わざわざ教えるなんて!
もっともリスクがある事をしなければ、エキゾチック・ブレインの本当の黒幕を暴くことは出来ないし、暴かなければ元の姿に戻してもらえないので愛莉は従うしかなかった。ああ、こんなことなら楽なプランに乗ればよかったと後悔していた。
真由美を介助するエリーは理工学部の身障者用の女子トイレに入った。淳司が用意した装置をセッティングするためだ。その装置は電力線をネットワークに使うもので、詳しいメカニズムはわからないが、周波数がありとあらゆるネット回線でも使われていないものなので、探知されにくいものだという。ただ、欠点としてはこのシステムの無線LANが届くのが半径五百メートル以内のうえに理工学部の外壁に盗聴システム遮断障壁があるので、どうしても建物内に置く必要があった。しかも、屋内は警備ロボや監視カメラに虫サイズの浮遊カメラも至る所にあるので設置は難しかった。だから監視システムがまばらなトイレの電気配線を狙うしかなかった。
真由美と一緒にトイレに入ったが、彼女は大抵の行動は一人で出来るので見守るだけでよかった。真由美は車椅子から横にある便座に横滑りして下腹部の服を降ろし始めた。その動作をエリーは少し手伝っていた。すると真由美はこんなことをいった。
「エリー、あなたガイノイドよね? なんかお姉ちゃんがやる仕草をするわね? 少し無駄があるしね」
「そうですか? どうしてそう思われるのですか?」
「なんとなくね、そんな風に動作をプログラムしないってことを思ったのよ」
「そうですか、不愉快に思われたら申し訳ございません」
「いいのよ、なんか思いやりを感じるのよ。ただ、やればいいってことじゃなくて、愛情を感じるのよね、お姉ちゃんにしてもらっているみたいで嬉しいわよ」
「ありがとうございます」
愛莉は無意識のうちにエリーに愛莉として動作させていたようだ。それを真由美は感じていたようであった。もしかすると正体を薄々気付いているのかもしれないとも思えた。その間に愛莉はエリーの機体内部に隠匿していた装置を取り出していた。真由美が便座に座っている間にトイレ個室内部の監視カメラの死角を探し出して、その死角に監視装置を落とした。後は監視カメラから見えないように立ちはだかって、電線に潜り込む様子が記録されないようにした。その行動は真由美に気付かれ不審そうな顔をしていたが、特に何も言わなかった。
装置は、真由美が座っている便座の装置に繋がる電線に潜り込んで、後はワームのようになって壁の中へと消えていった。これで今日の目的は達成した。後は理工学部から脱出するだけだが、問題があった。既にエリーは要注意ガイノイドになっていたからだ。だから、出る際に装置がなくなった分、質量が軽くなっているのが発覚しない何かを入れないといけなかった。この理工学部はガイノイドなど機械の重量を精密にを測定しているので、装置の重量二グラム分をどうにかしないといけなかった。だから、あらかじめ淳司が仕掛けていた分銅を真由美の車椅子の手すりから外して装置を隠していた胸の中に入れていた。その仕草には真由美もおかしいと思ったが、こういってきた。
「エリー、ガイノイドも自分のボディが気になるの? なんかお姉ちゃんがしていた仕草みたいわね。お姉ちゃんって気が付いていないようだったけど、時々話しながら胸に手を置く仕草をしていたのよ。本当にお姉ちゃんみたいわね!」
愛莉はどうもエリーに愛莉のパーソナルを発現させていたようだ。これは少しまずいのではないかと思った。もしかするとタオ先輩や操に気付かれているかもしれない懸念があった。
もっともリスクがある事をしなければ、エキゾチック・ブレインの本当の黒幕を暴くことは出来ないし、暴かなければ元の姿に戻してもらえないので愛莉は従うしかなかった。ああ、こんなことなら楽なプランに乗ればよかったと後悔していた。
真由美を介助するエリーは理工学部の身障者用の女子トイレに入った。淳司が用意した装置をセッティングするためだ。その装置は電力線をネットワークに使うもので、詳しいメカニズムはわからないが、周波数がありとあらゆるネット回線でも使われていないものなので、探知されにくいものだという。ただ、欠点としてはこのシステムの無線LANが届くのが半径五百メートル以内のうえに理工学部の外壁に盗聴システム遮断障壁があるので、どうしても建物内に置く必要があった。しかも、屋内は警備ロボや監視カメラに虫サイズの浮遊カメラも至る所にあるので設置は難しかった。だから監視システムがまばらなトイレの電気配線を狙うしかなかった。
真由美と一緒にトイレに入ったが、彼女は大抵の行動は一人で出来るので見守るだけでよかった。真由美は車椅子から横にある便座に横滑りして下腹部の服を降ろし始めた。その動作をエリーは少し手伝っていた。すると真由美はこんなことをいった。
「エリー、あなたガイノイドよね? なんかお姉ちゃんがやる仕草をするわね? 少し無駄があるしね」
「そうですか? どうしてそう思われるのですか?」
「なんとなくね、そんな風に動作をプログラムしないってことを思ったのよ」
「そうですか、不愉快に思われたら申し訳ございません」
「いいのよ、なんか思いやりを感じるのよ。ただ、やればいいってことじゃなくて、愛情を感じるのよね、お姉ちゃんにしてもらっているみたいで嬉しいわよ」
「ありがとうございます」
愛莉は無意識のうちにエリーに愛莉として動作させていたようだ。それを真由美は感じていたようであった。もしかすると正体を薄々気付いているのかもしれないとも思えた。その間に愛莉はエリーの機体内部に隠匿していた装置を取り出していた。真由美が便座に座っている間にトイレ個室内部の監視カメラの死角を探し出して、その死角に監視装置を落とした。後は監視カメラから見えないように立ちはだかって、電線に潜り込む様子が記録されないようにした。その行動は真由美に気付かれ不審そうな顔をしていたが、特に何も言わなかった。
装置は、真由美が座っている便座の装置に繋がる電線に潜り込んで、後はワームのようになって壁の中へと消えていった。これで今日の目的は達成した。後は理工学部から脱出するだけだが、問題があった。既にエリーは要注意ガイノイドになっていたからだ。だから、出る際に装置がなくなった分、質量が軽くなっているのが発覚しない何かを入れないといけなかった。この理工学部はガイノイドなど機械の重量を精密にを測定しているので、装置の重量二グラム分をどうにかしないといけなかった。だから、あらかじめ淳司が仕掛けていた分銅を真由美の車椅子の手すりから外して装置を隠していた胸の中に入れていた。その仕草には真由美もおかしいと思ったが、こういってきた。
「エリー、ガイノイドも自分のボディが気になるの? なんかお姉ちゃんがしていた仕草みたいわね。お姉ちゃんって気が付いていないようだったけど、時々話しながら胸に手を置く仕草をしていたのよ。本当にお姉ちゃんみたいわね!」
愛莉はどうもエリーに愛莉のパーソナルを発現させていたようだ。これは少しまずいのではないかと思った。もしかするとタオ先輩や操に気付かれているかもしれない懸念があった。
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