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エリーは探偵として推理する
62・なぜなの?
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丹下教授がエリーのマスターとして登録されている! だからといって全身拘束刑受刑者が内臓されていると知っているのは大学のごく一部の幹部のはずだった。具体的な範囲は分からないが、丹下教授が知っているというのは淳司から聞かされていなかった。そういえば、淳司はなぜ丹下犯罪学研究所にデスクを構えているのかという謎もあった。もしかすると、そのあたりが鍵なのかもしれなかった。
愛莉はこの時点では人間に対し従順な機械奴隷のガイノイド・エリーとして振る舞うしか出来なかったので、質問することは許されなかった。だから指示された通り、作業を続けるしかなかった。その間、目線の先に丹下教授の姿を見るたびに気になっていた。
「そういえば丹下教授は法学部所属なんだから私が選択できる科目なんてなかったよね。でも先生の話は知っていたわね。真由美ちゃんのお父さんが推理探偵が好きって話をしていたわね」
その時、思い出していたのは大学入学のお祝いとして安養寺家に招かれた時のことだ。高校時代、保護者の同意なしで実家以外に行ってはならないという学則があったのだが、法的な保護者などいない愛莉は両親の墓参りすら支障があった。だから安養寺家に行ったのは学友では初めての事だった。そのとき、安養寺家に宿泊したのだけど、推理小説に関する書籍や舞台衣装などのコレクションが陳列されていた光景だ。そういえば、この犯罪学研究所とよく似ていることに気付いた。
なんでそんなことを思い出したのだろう? 愛莉は理由を考えたが分からなかった。考え込んでいる間も身体は勝手に動いているので、違和感があった。その時、エリーの統括システムと愛莉の自我が分離していた。それはまるで、愛莉はロボットに憑依している幽霊みたいなものなのかしらと感じていた。身体は機械にされ、その身体は勝手に動いていてまるで生きる屍、でも身体を奪われた人間の自分はここにいる! なぜなのよ! はやく、エリーの身体を自由に使いたくなっていた。すると、淳司が出勤してきた。
愛莉はこの時点では人間に対し従順な機械奴隷のガイノイド・エリーとして振る舞うしか出来なかったので、質問することは許されなかった。だから指示された通り、作業を続けるしかなかった。その間、目線の先に丹下教授の姿を見るたびに気になっていた。
「そういえば丹下教授は法学部所属なんだから私が選択できる科目なんてなかったよね。でも先生の話は知っていたわね。真由美ちゃんのお父さんが推理探偵が好きって話をしていたわね」
その時、思い出していたのは大学入学のお祝いとして安養寺家に招かれた時のことだ。高校時代、保護者の同意なしで実家以外に行ってはならないという学則があったのだが、法的な保護者などいない愛莉は両親の墓参りすら支障があった。だから安養寺家に行ったのは学友では初めての事だった。そのとき、安養寺家に宿泊したのだけど、推理小説に関する書籍や舞台衣装などのコレクションが陳列されていた光景だ。そういえば、この犯罪学研究所とよく似ていることに気付いた。
なんでそんなことを思い出したのだろう? 愛莉は理由を考えたが分からなかった。考え込んでいる間も身体は勝手に動いているので、違和感があった。その時、エリーの統括システムと愛莉の自我が分離していた。それはまるで、愛莉はロボットに憑依している幽霊みたいなものなのかしらと感じていた。身体は機械にされ、その身体は勝手に動いていてまるで生きる屍、でも身体を奪われた人間の自分はここにいる! なぜなのよ! はやく、エリーの身体を自由に使いたくなっていた。すると、淳司が出勤してきた。
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