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エリーは探偵として推理する

37・求めるべき真実(1)

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 エリーのボディを確かめた時、愛莉はこんなことをしている場合ではない、はやくエリーの外骨格を脱がしてもらって真由美の前に戻らなないといけないと思った。真由美とは高校時代、百合百合の関係とかいわれたけど、本当は仲のいい本物の姉妹以上の親愛の情を通わせていた関係だった。実際に別の異性を好きになったこともあったし、でも同じ男だったので修羅場になったけど。

 取りあえず愛莉は淳司のデスクの上に置かれていたメモ用紙に問題点を書き出していた。何を解明すれば冤罪だったと認めさせてガイノイドから戻してもらうのかを。実は、淳司からは明確な指示などなかったのだ。あとで知った事だが、それも淳司の思惑であったようだ、愛莉の頭脳で解決させようと。なんだって知能指数が192なんて判定されているのだから。

 もっとも愛莉からすればずっと普通の女の子のつもりであった。学校の成績を常にトップになるように努力していたのも生き抜いていくためだった。奨学金や授業料免除の特待生でいなければ両親がいない天涯孤独な少女なんて生きていけなかった。その点は幸運だったかもしれない。しかし、これが全身拘束刑に陥れられてしまった原因だったとは、皮肉だと気付いていた。

 淳司から渡されたデータと愛梨の記憶によれば、事件の経過はこう進んでいたようだ。まず、愛莉はここ帝央大学理工学部で電子的暗号鍵の解除をしたというものだ。その鍵は国防省のコンピューター内で保管されている軍事機密の中でも、特に厳重に保管されていたものだ。本来は外部からのアクセスなど出来ないように、イントラネットでのみ閲覧できる状態だった。そのイントラネットと緊急時にのみ接続可能になるラインの起動コードを解除してしまった。

 そこで使われていた暗号は21世紀初頭に解除するのに数万年かかるというものだったが、愛莉は数日で解除してしまった。それはシステムを構築した人間の思想からアプローチしたというものであった。その点で愛梨は危険な能力を持っていると看做されてしまったわけだ。それによって国防省から機密情報の電子ファイルを数百点盗みだしたという。

 でも、盗み出したのは実際には愛莉ではなかった。同級生の畔地晴美だった。彼女もそれなりのハッキング能力を持っていたので、外部からの侵入が可能になった時点で、別の人物から指示されたものを盗み出した。その情報が麗華民主共和国関連のものであった。

 
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