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エリーは探偵として推理する
31・愛莉の秘密(5)
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エリーはメンテナンスを終えて再起動しはじめた。丹下犯罪学研究所の一角に設けられたメンテナンスブースの中でメッセージを言い始めた。
「ガイノイド・エリー、臨時メンテナンスを終了いたしました。現在、マスターの丹下教授は不在ですので、代理の長崎講師、指示をお願いします」
エリーの人工音声によるメッセージに淳司が反応した。デスクの上で頬ずりをしていたが、ハンバーガーを持って近寄って来た。
「それでは、エリー! 明日、理工学部に搬送する昭和時代の書籍を準備しなさい。この研究所も店じまいだから移管しないといけないどうだ。リストは君のデータにインプットしているから、従う事!」
「かしこまりました、長崎講師。再起動後、稼働可能になりましたら実行します」
エリーはそう応答した。このとき、エリーの中では異常が起きていた。
「あれ? おかしいわ、人間的な感覚が戻っているわ。こんなのおかしいわ」
エリーの中にいる愛莉の自我は戸惑っていた。エリーと別に意識はあっても、それは幽霊のように機体に憑りついているみたいな感覚だったのに、機体を自分のものと認識できたからだ。全身拘束刑の囚人は自我を書き換えられているので、潜在意識がある程度の反省の意を感じるようになったり、犯罪的資質が改善したと認められないかぎり、人間であると認識した反応が出来ないはずだった。
どうやら淳司は指示データにプログラムの改変ソフトを紛れ込ませたようだった。でも、それは愛莉からすれば嫌なものだった。機械と融合した自分の身体を嫌と思い知らされるからだ。
「ガイノイド・エリー、臨時メンテナンスを終了いたしました。現在、マスターの丹下教授は不在ですので、代理の長崎講師、指示をお願いします」
エリーの人工音声によるメッセージに淳司が反応した。デスクの上で頬ずりをしていたが、ハンバーガーを持って近寄って来た。
「それでは、エリー! 明日、理工学部に搬送する昭和時代の書籍を準備しなさい。この研究所も店じまいだから移管しないといけないどうだ。リストは君のデータにインプットしているから、従う事!」
「かしこまりました、長崎講師。再起動後、稼働可能になりましたら実行します」
エリーはそう応答した。このとき、エリーの中では異常が起きていた。
「あれ? おかしいわ、人間的な感覚が戻っているわ。こんなのおかしいわ」
エリーの中にいる愛莉の自我は戸惑っていた。エリーと別に意識はあっても、それは幽霊のように機体に憑りついているみたいな感覚だったのに、機体を自分のものと認識できたからだ。全身拘束刑の囚人は自我を書き換えられているので、潜在意識がある程度の反省の意を感じるようになったり、犯罪的資質が改善したと認められないかぎり、人間であると認識した反応が出来ないはずだった。
どうやら淳司は指示データにプログラムの改変ソフトを紛れ込ませたようだった。でも、それは愛莉からすれば嫌なものだった。機械と融合した自分の身体を嫌と思い知らされるからだ。
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