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(5)融合
7077作戦
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7077作戦の発動により、静香と門田の意識が残る実験体十三号と呼ばれたバケモノは大量に流入した泥流に押し流された。そのとき残存していた自衛官や研究員も押し流され犠牲になった。そして地下に広がる研究所の施設は完全に水没した。纐纈やパクからすればとりあえず危険は去ったと感じていた。この二人からすれば誰が死んでも構わないということだった。
纐纈は現在ノーザンエリアと呼ばれている地域で発生した「半島事変」の際に国際視察団の一員として参加した際にパクと出会った。その時パクから優軍政策の一環として核兵器及び運搬技術とは別に生物兵器開発の事を聞きつけた。そこでコネクションを使い日本国総理とアメリカ政府から安全を保障してもらい、見返りに技術情報の提供を受けた。そのことは核兵器開発は国際社会に広く認識されたのとは違い、人体改造技術は同盟国ですら秘匿されていた。公式には関係者は政権崩壊までに殺害されたことされていた。
纐纈は7077作戦実行のプログラムを機動させた端末の前にパクといた。その時、二人は脱出用のヘリコプターの到着を待っていた。
「なあ、パク。今度は何処にいくのか? まさかサザンエリアに行かないだろ?」
「南か? あそこは行かねえな。なんだって無慈悲に殺してやった首領たちと一緒になってバカな絵空事ばっかりいっていただろ? 民族の和解とかなんてな。だってそうだろう、兄弟同士でも憎み合う事があるというのにさ。それよりもあんたの世話になるほうがいいからな」
「そりゃ、ありがとう。実は南太平洋にあるフェルザル共和国の離島を用意した。あそこは燐鉱石の枯渇で経済的に窮地に陥っているからな。日本政府から経済支援の見返りに了承をえているぞ。その島に世界各国の難民を連れて来て人体実験をもっと大規模にしよう。あんただって悲願なんだろ?」
「ほお、それはよかった! こんな日本の片田舎で死刑囚や子供を使って人体実験していても埒があかんと思っていたところだぜ。出発はいつか?」
「それはなあ、さる協力者のプライベートジェットを用意してもらったんだ。夜明け前には離陸して、着いたら歓迎パーティーしてやるぜ! 人類の未来に貢献できるぜ!」
「じゃあ、あとは実験体十三号を始末するわけか。まあ、実験体十八号と融合するとは思わなかったが、いまごろウイルスが発症する頃だから、わざわざ7077作戦を実行しなくても良かろうに」
「それなんだが、どっちにしてもアメリカの連中からあんたを守るためにやるつもりだったからな。なんだって同盟国だなんて当てにならねえからな。みんな自国の事しか考えていないからな。所詮、親日国だの反日国だの評価する方が無駄さ! そうでもしなくちゃ出し抜けんからな。そうだろ、あんたも国に裏切られたしな。それに、改造人間技術が確立しスポンサーさえあれば、世界征服だって・・・」
「おっと、それは二人だけの秘密だろ! あんな腐った政治家どもなんかは。それよりもどうだ、下は?」
モニターには水面が写っていた。その水面には自衛官の遺体が映し出されていた。その下は完全に沈んでいた。
「おやおや、逃げ遅れたので、可哀そうね。取りあえず、事故扱いしてもらおうな」
纐纈は他人事のようにいった。全てこの事態を引き起こしたのは自分ではないという素振りをしていた。
「まあ、実験体十三号の回収はどうするか?」
そうだなあ、まあ二十四時間後に排水作業をしてから・・・まあ、死んだ連中はノーザンエリアPKFに参加中に殉職したことにしてもらおうな」
そうつぶやいたときの事だ。水面に大きな空気の泡が立ち上ってきた。
纐纈は現在ノーザンエリアと呼ばれている地域で発生した「半島事変」の際に国際視察団の一員として参加した際にパクと出会った。その時パクから優軍政策の一環として核兵器及び運搬技術とは別に生物兵器開発の事を聞きつけた。そこでコネクションを使い日本国総理とアメリカ政府から安全を保障してもらい、見返りに技術情報の提供を受けた。そのことは核兵器開発は国際社会に広く認識されたのとは違い、人体改造技術は同盟国ですら秘匿されていた。公式には関係者は政権崩壊までに殺害されたことされていた。
纐纈は7077作戦実行のプログラムを機動させた端末の前にパクといた。その時、二人は脱出用のヘリコプターの到着を待っていた。
「なあ、パク。今度は何処にいくのか? まさかサザンエリアに行かないだろ?」
「南か? あそこは行かねえな。なんだって無慈悲に殺してやった首領たちと一緒になってバカな絵空事ばっかりいっていただろ? 民族の和解とかなんてな。だってそうだろう、兄弟同士でも憎み合う事があるというのにさ。それよりもあんたの世話になるほうがいいからな」
「そりゃ、ありがとう。実は南太平洋にあるフェルザル共和国の離島を用意した。あそこは燐鉱石の枯渇で経済的に窮地に陥っているからな。日本政府から経済支援の見返りに了承をえているぞ。その島に世界各国の難民を連れて来て人体実験をもっと大規模にしよう。あんただって悲願なんだろ?」
「ほお、それはよかった! こんな日本の片田舎で死刑囚や子供を使って人体実験していても埒があかんと思っていたところだぜ。出発はいつか?」
「それはなあ、さる協力者のプライベートジェットを用意してもらったんだ。夜明け前には離陸して、着いたら歓迎パーティーしてやるぜ! 人類の未来に貢献できるぜ!」
「じゃあ、あとは実験体十三号を始末するわけか。まあ、実験体十八号と融合するとは思わなかったが、いまごろウイルスが発症する頃だから、わざわざ7077作戦を実行しなくても良かろうに」
「それなんだが、どっちにしてもアメリカの連中からあんたを守るためにやるつもりだったからな。なんだって同盟国だなんて当てにならねえからな。みんな自国の事しか考えていないからな。所詮、親日国だの反日国だの評価する方が無駄さ! そうでもしなくちゃ出し抜けんからな。そうだろ、あんたも国に裏切られたしな。それに、改造人間技術が確立しスポンサーさえあれば、世界征服だって・・・」
「おっと、それは二人だけの秘密だろ! あんな腐った政治家どもなんかは。それよりもどうだ、下は?」
モニターには水面が写っていた。その水面には自衛官の遺体が映し出されていた。その下は完全に沈んでいた。
「おやおや、逃げ遅れたので、可哀そうね。取りあえず、事故扱いしてもらおうな」
纐纈は他人事のようにいった。全てこの事態を引き起こしたのは自分ではないという素振りをしていた。
「まあ、実験体十三号の回収はどうするか?」
そうだなあ、まあ二十四時間後に排水作業をしてから・・・まあ、死んだ連中はノーザンエリアPKFに参加中に殉職したことにしてもらおうな」
そうつぶやいたときの事だ。水面に大きな空気の泡が立ち上ってきた。
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