徒然なるままに ”ゼンタイ・着(機)ぐるみのスゝメ?”

ジャン・幸田

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(1)ゼンタイとの出会い

ニンゲンモドキとの出会い

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 ゼンタイつまりは全身タイツの略である。最近では一部で認知度は高くなってきたような気がするが、やはりインディーズ感はいまだにある。ゼンタイについ語っていきたいが、長くなるので折々語っていくことにする。

 ゼンタイの由来については別の折に譲るが、最初にその衣装を見たのはテレビ番組だった。他の人の場合、特撮ヒーローの戦隊作品に出てくる戦闘員であったという話をよく聞く。しかし小生の場合はイササカ違っている。

 小生が小学校五・六年ごろの夏休みの事である。細かな年月日は覚えていないが、朝の時間帯に地元ローカルテレビ局で手塚治虫原作の「マグマ大使」の再放送があった。その作品のフィルムの劣化があったせいかセピア色を帯びた映像だった。

 この作品の場合、マグマ大使と敵役ゴアの着ぐるみの方をテーマにした方が受けがいいかもしれないが、ここではゼンタイ(昭和時代晩期のこの時期にはない言葉であったが)が作中に出ていたことにトラウマとなり興味を持ったことに触れたい。

 そのトラウマとはゴア側の戦闘員ニンゲンモドキ(人間モドキ)の衣装が子供の自分に衝撃的だったからだ。全身真っ黒だったから!

 後で知った事であるが、手塚治虫の原作のニンゲンモドキと特撮作品の設定は結構違っていたという。ここでは割愛するが特撮作品、制作年度が1966年なのでまだ特撮技術の水準が低く、役者に原作のギミックは再現できなかったようだ。そのためか全身真っ黒という衣装になったようだ。

 その全身真っ黒な連中が破壊工作に従事しては、マグマ大使の息子ガムの熱戦光線を浴びて干からびるかのようになってやられる場面は小学生の小生からすると衝撃的だった。実際、他にも色々と出てきたはずなのに主要キャラクター以外で一番覚えていたぐらいだ。

 そのニンゲンモドキを見て密かに思ってしまった事があった。悪さをしてはすぐにやっつけられてしまう雑魚キャラなのにニンゲンモドキになりたいと! あの誰が誰だか分からなくなる衣装を着てみたいと! もっとも当時は全身あんな衣装は売ってもいなかったし、その手段も分からなかった。その時分は両親は共働きで世話は祖母がしてくれていたが、小学生の自分がそんな想いを語ることはなかった。

 大人になって随分年数が経つが、ニンゲンモドキが一番誰でもできるコスプレである。真っ黒いゼンタイを纏えばいいだけだから! 一番安上がりに出来るコスプレだけど、ひとつ注意しないといけないのはしわだらけにならないように少しサイズが小さいモノにして自分の身体にフィットするものをお勧めしたい。
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