全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第三章 

突然の別れ①

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 それから、何度か叔父さんと打ち合わせをして、遥斗先輩は叔父さんと契約を結んだ。

「悪いけど、ネットで売っている油絵は引き上げてくれ。水彩画はそのままでいいが、手の込んだやつはネットでは売らないでほしい。君の商品価値をブレさせたくないんだ」
「わかりました」

 そういう契約だったらしく、先輩は頷いて、指示に従った。
 もともと水彩画は売れていたけど、油絵はハードルが高いのか、一枚しか売れていなかったので、問題はなさそうだった。
 また、なるべく売れそうな題材を描くようにと、油絵で花束や水辺の絵を提案されたようだった。

 水彩画でもモチーフにしている花を描いてみるということで、私は家から花を持ってきた。
 先輩の描く油絵の花束は、水彩画より艶やかで香り立つようだった。

 感心して眺めていると、練習代わりに描いていた水彩画の花束の絵をくれた。
 てっきりネットで売るんだと思っていたから、うれしい。

「本物はなかなかあげられないから」とつぶやく先輩に抱きついた。

 そんな、すべてが順調に見えたとき、それは訪れた。




 ある日、授業中なのに、和田先生に廊下に呼び出された。
 今まで見たことがないほど硬い顔をしている。
 とても嫌な予感がした。

「……遥斗の母親が亡くなった」

 単刀直入に告げた先生の顔をまじまじと見上げる。

「遥斗先輩のお母さんが?」
「あぁ、車の事故だったらしい。今から遥斗と病院に行ってくる。お前には言っておこうと思ってな」

 頷く先生に私は頼み込んだ。

「私も行きたいです!」

 お母さんとの間になにがあったかは未だに知らないけど、それでもたった一人の身内を亡くした遥斗先輩のそばについていたいと思った。

「しかし……」
「お願いです。遥斗先輩を一人にしたくないんです」

 今、遥斗先輩はなにを思って、どう過ごしているんだろう?

「俺もそれが心配ではあるんだ……」

 教師という立場と個人的な気がかりとに挟まれて、和田先生はためらっていた。

「お願いします! 一日ぐらい授業を受けなくても大丈夫です。それより遥斗先輩が心配です!」
「悪いな。お前に負担ばかりかけている」
「いいえ、彼氏の心配をするのは彼女の特権です!」
 
 和田先生は少し笑うと、頷いた。

 授業中の先生に和田先生が話をしている間に私は荷物をまとめた。
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