全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第三章 

嫌です!②

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「あんな悪口、聞き流せばいいんです。本当のことだし、慣れてます」

 ふいに先輩が私の頬をなでた。

「お前はかわいいよ。かわいすぎて、たまにどうしたらいいかわからなくなる……」

 真剣な目で真剣な口調でそんなことを言うから、私は腰が砕けそうになる。

 かわいいって、フリで言ってくれたんじゃなかったの?
 本当にそう思ってくれてるの?

 優しく私を見下ろす綺麗な瞳を見ていると、想いが溢れそうになる。

 ダメだ……!
 先輩はそういうの好きじゃない。うんざりしてる。
 私が色気もなにもないから、こうして気軽に接してくれているだけ。
 もし私が先輩を好きだってバレたら、あの子たちと同じになる……。

「も、もう、先輩! そんな顔しちゃダメです! 私じゃなかったら、また悪質なストーカーが増えるところでしたよ!」
「別に優だったら問題ない」
「問題ありますよ!」

 しれっとそんなことを言うから、もう私の心臓が壊れそう。
 勘弁してください~。

「付き合ってることにしたら、被害が防げるか?」

 先輩はさらに、そんなとんでもないことを言い出した。
 じっと見つめられて、その視線に耐えきれず、ふっと目を逸らす。

「先輩、ダメです。先輩と私が付き合うなんてあり得ないから!」
「…………あり得ない、か。まぁ、そうだな。他の方法を考えよう」

 自分で言ったくせに、あっさり同意されて、落ち込む。
 やっぱり遥斗先輩的にもあり得ないんだ……。

 無表情に戻った先輩の手から逃げ出して、パソコンの前に行く。
 写真でも加工して、落ち着こう。

 先輩は落ち着き払った顔で、また絵を描き始めた。


 しばらくして、帰る支度をして、「それじゃあ」と言いかけると先輩は「送っていく」と言ってくれる。
 「大丈夫」と言うのに、「俺が気になるから」と言って、家まで送ってくれる。
 先輩と肩を並べて外を歩くことはめったにない。
 心配してくれている先輩には悪いけど、どうしても顔が緩んでしまう。
 家がもう少し遠ければよかったのに。

 

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