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第三章
ごめん③
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「えぇー! すごい!」
「…………優のおかげだな」
ありがとうと、先輩が柔らかく微笑んだ。
…………うすうすわかっていたけど、先輩って表現がストレートだよね。
そんな風に言われると、頬が熱くなってしまう。
「そんなことないです。先輩の絵がそれだけ素敵だってことですよ」
「いや、俺だけではこんなこと到底思いつかなかったし、思いついてもこのスピードで実現するなんて無理だ」
スピードに関しては笑うしかない。
たしかにすごい早さでここまで来たよね。
結構、先輩を振り回したかも。
ちらりと先輩を見るけど、柔らかい表情のままで、言葉の通りにしか思っていないようだった。
「叔父さんのアイディアなんです」
「叔父さん? あぁ、画廊をやっていると言ってた……」
「はい、大好きな叔父さんなんです。遥斗先輩の絵もそのうち叔父さんのギャラリーに置いてもらいましょうよ」
「それはちょっと憧れるな」
先輩がそんなことをつぶやくから、「本当ですか! じゃあ、叔父さんに言わなきゃ!」と意気込む。
この人のためになんでもやってあげたいと思ってしまう。
「いや、待て。それにふさわしい絵ができたらでいいから!」
急いで先輩が制止してくる。
「お前に任せると来週には実現してそうで怖い」と苦笑する。
「できますよ?」
からかうようにそう言うと、「やめてくれ」と本気で焦る先輩がおかしくて笑う。
そっかぁ、また暴走するところだった。気をつけないと。
ご飯が終わると私は昨日撮ったサッカー部の写真をプリントアウトして並べた。
「これが記事の写真か?」
先輩がそばに来て、一緒に眺める。
「そうです。どれがいいと思います? 記事な使えるのは2、3枚なんですが」
「そんなこと言われても、どんな記事にするのかわからないからな」
「そうですよねー。部活紹介と言われているんですけど、私も初めてだから、よくわからなくて」
まず写真を選んで、それに説明文をつけようと思うんだけど、どういう観点で選んでいいのかもわからない。
先輩もなぜか一緒に悩んでくれることにしたのか、じっくり写真を見つめている。
「写真の出来としてはこれとこれとかいいんじゃないか? 全体写真があって、こういう動きのある写真を組み合わせるとか」
「あ、たしかに。じゃあ、あと一枚はこれかなあ」
「いいんじゃないか? バランスがいい」
先輩に肯定してもらえると安心する。
「じゃあ、これに、決めます! あとは文を書くだけ」
「いつまでに必要なんだ?」
「月曜日に出さないといけないんです……」
「それはまた急だな」
お前の周りはそんなやつしかいないのかと呆れ顔だ。
「私だって困ってるんです!」
口を尖らせて抗議する。
「…………今日はバイトだが、明日なら手伝ってやってもいいぞ?」
ためらいがちに先輩がそう言うから、呆けた。
え………。
「明日も来ていいんですか!」
うれしくって飛び跳ねるようにして聞いてしまった。
先輩は視線を逸らせて、「来るも来ないもお前の自由だ。ここはお前の部室でもあるんだから」と言った。
「来ます! 絶対来ます!」
「なにも持ってこなくていいからな」
「そういうわけにはいきませんよ! 私の趣味ですから」
そう言うと、先輩は言わなきゃよかったというように額に手を当てた。
私の自由だって言ったんだから。もう遅いんだから。
にんまりと私は笑った。
先輩のバイトの時間が迫ってきたので、私は片づけをして、「また明日!」と元気よく手を振った。
「…………優のおかげだな」
ありがとうと、先輩が柔らかく微笑んだ。
…………うすうすわかっていたけど、先輩って表現がストレートだよね。
そんな風に言われると、頬が熱くなってしまう。
「そんなことないです。先輩の絵がそれだけ素敵だってことですよ」
「いや、俺だけではこんなこと到底思いつかなかったし、思いついてもこのスピードで実現するなんて無理だ」
スピードに関しては笑うしかない。
たしかにすごい早さでここまで来たよね。
結構、先輩を振り回したかも。
ちらりと先輩を見るけど、柔らかい表情のままで、言葉の通りにしか思っていないようだった。
「叔父さんのアイディアなんです」
「叔父さん? あぁ、画廊をやっていると言ってた……」
「はい、大好きな叔父さんなんです。遥斗先輩の絵もそのうち叔父さんのギャラリーに置いてもらいましょうよ」
「それはちょっと憧れるな」
先輩がそんなことをつぶやくから、「本当ですか! じゃあ、叔父さんに言わなきゃ!」と意気込む。
この人のためになんでもやってあげたいと思ってしまう。
「いや、待て。それにふさわしい絵ができたらでいいから!」
急いで先輩が制止してくる。
「お前に任せると来週には実現してそうで怖い」と苦笑する。
「できますよ?」
からかうようにそう言うと、「やめてくれ」と本気で焦る先輩がおかしくて笑う。
そっかぁ、また暴走するところだった。気をつけないと。
ご飯が終わると私は昨日撮ったサッカー部の写真をプリントアウトして並べた。
「これが記事の写真か?」
先輩がそばに来て、一緒に眺める。
「そうです。どれがいいと思います? 記事な使えるのは2、3枚なんですが」
「そんなこと言われても、どんな記事にするのかわからないからな」
「そうですよねー。部活紹介と言われているんですけど、私も初めてだから、よくわからなくて」
まず写真を選んで、それに説明文をつけようと思うんだけど、どういう観点で選んでいいのかもわからない。
先輩もなぜか一緒に悩んでくれることにしたのか、じっくり写真を見つめている。
「写真の出来としてはこれとこれとかいいんじゃないか? 全体写真があって、こういう動きのある写真を組み合わせるとか」
「あ、たしかに。じゃあ、あと一枚はこれかなあ」
「いいんじゃないか? バランスがいい」
先輩に肯定してもらえると安心する。
「じゃあ、これに、決めます! あとは文を書くだけ」
「いつまでに必要なんだ?」
「月曜日に出さないといけないんです……」
「それはまた急だな」
お前の周りはそんなやつしかいないのかと呆れ顔だ。
「私だって困ってるんです!」
口を尖らせて抗議する。
「…………今日はバイトだが、明日なら手伝ってやってもいいぞ?」
ためらいがちに先輩がそう言うから、呆けた。
え………。
「明日も来ていいんですか!」
うれしくって飛び跳ねるようにして聞いてしまった。
先輩は視線を逸らせて、「来るも来ないもお前の自由だ。ここはお前の部室でもあるんだから」と言った。
「来ます! 絶対来ます!」
「なにも持ってこなくていいからな」
「そういうわけにはいきませんよ! 私の趣味ですから」
そう言うと、先輩は言わなきゃよかったというように額に手を当てた。
私の自由だって言ったんだから。もう遅いんだから。
にんまりと私は笑った。
先輩のバイトの時間が迫ってきたので、私は片づけをして、「また明日!」と元気よく手を振った。
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