私を抱かないと新曲ができないって本当ですか? 〜イケメン作曲家との契約の恋人生活は甘い〜

入海月子

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【番外編】

聞きたかったこと

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「そういえば、藤崎さん。ずっと聞きたかったんですけど……」

 ベッドで睦み合ったあと、藤崎さんの胸にもたれて、私はふと思い出した。

「なぁに、希?」

 藤崎さんは私の髪の毛を一房手に取り、もて遊びながら、甘い瞳を私に向ける。声も甘ったるくて、それだけで胸が高鳴る。

「前に私が藤崎さんを好きって言ったことあったでしょ? なんでなにも反応してくれなかったんですか?」

 好意を流されて、あの時は結構傷ついた。
 思い出して、顔を曇らせてしまう。
 そんな私の頬をあやすようになでて、藤崎さんは苦笑した。

「あぁ、同棲を断られて、僕が希を抱きつぶしちゃったときのこと?」

 そう聞かれて、かぁっと顔が熱くなる。
 本当にあのときは激しかった……。
 頷くと、私の頬をくすぐりながら、藤崎さんは笑った。

「だって、あのとき、君はトロトロに蕩けちゃって、僕の言うことになんでも頷いていたんだよ? 覚えてない?」

 そういえば、『二日おきに来るって約束した』と言われたのもあのときだった。

「『週三日くらいはここに来てよ』と言ったら、君はコクコク頷くし、『僕のこと、好き?』と聞いたら、頷いて『東吾さん、好き』と言ってくれて、すごくかわいかったけど、切なかったなぁ」

 そんなことを言って表情を陰らすので、私はキュッと藤崎さんに抱きついた。

「本心だったのに……」

 ちょっと拗ねたように言ってしまう。
 尖らせた唇をチュッとついばんで、藤崎さんは笑った。

「今だったら信じられるよ」

 腰に手を回して、ギュッと抱きしめられる。
 藤崎さんは、耳を甘く噛んで、耳許にもキスを落とすと、「そういえば、僕も聞きたいことがあった」とささやいた。

「ん………なんですか?」

 耳に髪をかけ、露出させたところを食みながら、藤崎さんはねだるように言った。

「あのときは東吾さんって呼んでくれたのに、どうしてあれ以来そう呼んでくれないの?」

 質問してくるくせに、だんだん胸や太腿をなでる手が妖しくなってきて、息があがってくる。

「ん、あ……ん。だ、だって、そんな親密な呼び方をしたら……心が溢れそうで………あんっ………」
「さっさと溢れてくれたらよかったのに」

 藤崎さんは切なげに微笑んだ。

「じゃあ、これからは東吾って呼んでくれる?」
「でも、恥ずかしいです……」
「しょうがないなぁ。それなら君をまたトロトロに蕩かして言うことを聞かせるしかないか……」

 楽しそうに目をきらめかせる藤崎さんに、ゾクッとして離れようと身じろぎをするけど、ガッツリ抱きこまれて散々愛撫を受けた。

 宣言通り、甘く蕩かされて藤崎さんが中に入ってくる。

「ほら、希、東吾って呼んで?」

 期待に満ちた眼差しに耐え切れず、「東吾さん、好き」とつぶやく。

「かわいい。僕も好きだよ、希」

 甘い甘いキスのあと、身体の中を抉られて、さらに甘く蕩かされた。



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