繋がれた絆はどこまでも

5

ライトがいつも使用している移動魔法は、使用者の希望が通るときと通らないで見知らぬ場所に飛ばされる場合がある。
逃亡時に使用した移動魔法は、行かない場所を設定し、その他の場所へ飛ぶように仕向け実施している。
それだけでなく、人目に触れない場所とかなり限られた場所を目的地としているのだが、今回のように人に見つかったことは一度とない。
勿論、場所についても問われることはなかったわけで。


「なら、教えてあげよう。ここはオレの縄張りなの。用がないならさっさと去ってくれない？」


縄張りとはどういうことなのか、とライトが声をかける前に気配もなく、何かが横を通り抜けていった。
何が通ったのかとライトが視線を追えば、青年の前に髪の毛が長く、背の高い男性がおり、青年の目の前に立っていた。


「へぇ、それは俺もか」


その男がニヤニヤとした顔で青年に問いかければ、青年の顔が大きく歪んでいた。


「………何でこんなところにいるんですか。実家に帰るって言ってたじゃないですか」　　　


「言ったな。用事済ませるために帰るって」