泣くなといい聞かせて

mahiro

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離れられない(終わり)

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もう遅いから寝るぞと奴に言われ、大人しくベッドに入る。
まさかこんな風に宿で寝るとは思わなかった。
当初の予定じゃ日付変わる前に宿から出るつもりだったしな。
家に帰ってやけ酒するつもりがする必要なくなった。
奴の前髪だっていつだって切ってやれるな。
他にも奴のために行えることがたくさんある。
それがこんなにも嬉しいとは。

そういえば、奴の鞄に鍵入れたままだ。
どうしたものか。
奴が寝付いたタイミングで抜くか。


「そういやさ、鞄の中に鍵入ってたんだけど」


「ふぁい?!」


考えが読まれたのかと思ったのとバレるの早くないかと思いながら、寝返りをうち隣のベッドの主の方を見れば、こちらに背を向けたまま奴は言った。


「俺引っ越すからあのまま鍵預かるわ」


「は?!どこに引っ越すのだ?!」


そんな話聞いてないぞ。
一体どこに引っ越すと言うのだ。


「お前んちの近く。離れてるとめんどくさい」


「は………いや、でも、俺も引っ越す予定だったんだが」


「知ってる。お前が言ってたから」


いや、俺そこは隠せよ。
何漏らしてるんだよ。


「ちなみにその家の横だから」


「何?!」


「これからお隣同士だね、宝生」


振り返ってこっちを見たかと思えば、ニヤニヤと笑う奴の顔が暗がりでも見えた。
これでは別れてもすぐに遭遇していたということではないか。


「………全く、お前も大概だな」


「お前には言われたくないね」




後日、引っ越しを終え奴と夕食を食べていたとき、たまたま奴のスマホロックナンバーを知ることとなった。
そのナンバーだが。


「まさかの俺の誕生日………お前、俺のこと好き好きじゃないか?」


「んなこと知ってただろ」


「いや、まぁそうなんだが」


まさか過ぎるだろ。
これは予想できなかったし。


「何また泣きそうになってんの」


「なっていない。埃が目に入って痛いだけだ」


「あっそ」







終わり
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