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騎士を目指して生きてきた18年から逃げ出すような形で、俺ーーージョエル・メトラは新天地であるダリウス大国でとある店を営んでいた。
その店というのは魔法を使った商品の販売である。
この国では魔法を使える人がいないため、その人たちでも手軽に入手でき、誰でも簡単に使用できると好評であったりする。
「ナマン君、キリが良いところで休憩入ってね」
店には普段商品の製造をしてくれるナマン・クーティと販売担当のフランソワ・フェレオルという従業員二人いる。
二人とも真面目でとっても良い子たちで、毎日大変だと思うのに嫌な顔ひとつ見せずせっせと働いてくれる。
「僕は後でいいよ。先にフランソワさんを休ませた方が良いと思う」
額を流れる汗を腕で拭いながらそう言ったナマン君の視線の先にはお客様対応がやっと一段落ついたフランソワ君の姿があった。
「疲れたー。今日はいつにも増してお客さん多いな」
店のカウンターに両腕を投げ出し、空いている椅子に腰かけたフランソワ君の前に出来立てのコーヒーを置いた。
「お疲れ様。今日は月末だからね、みんな来月分を購入しに来たんだよ」
「だろうな」
そんな会話をしていたときだった。
男たちが現れたのは。
「失礼します」
城の騎士たちが二人とその中心に貴族らしき格好をした男性ひとりが店の中に入ってきた。
稀にこういったお客さんも来るので違和感はないが、直感的に店に用があるように思えなかった。
咄嗟にナマン君とフランソワ君の前に出て、その男性の前に立った。
二人も魔法は使えるけれど、剣術や武術に関しては素人だし、大切な従業員に怪我でもされたら俺が困る。
「貴方がジョエルさんですね」
「そうですが…………何かご用でしょうか」
貴族らしき格好をした男性は無表情な顔で俺の名前を言い、胸元に仕舞っていた巻物を取り出して開いた。
「貴方に、いえ、貴殿方にお願いがございます。力を貸していただけないでしょうか」
その店というのは魔法を使った商品の販売である。
この国では魔法を使える人がいないため、その人たちでも手軽に入手でき、誰でも簡単に使用できると好評であったりする。
「ナマン君、キリが良いところで休憩入ってね」
店には普段商品の製造をしてくれるナマン・クーティと販売担当のフランソワ・フェレオルという従業員二人いる。
二人とも真面目でとっても良い子たちで、毎日大変だと思うのに嫌な顔ひとつ見せずせっせと働いてくれる。
「僕は後でいいよ。先にフランソワさんを休ませた方が良いと思う」
額を流れる汗を腕で拭いながらそう言ったナマン君の視線の先にはお客様対応がやっと一段落ついたフランソワ君の姿があった。
「疲れたー。今日はいつにも増してお客さん多いな」
店のカウンターに両腕を投げ出し、空いている椅子に腰かけたフランソワ君の前に出来立てのコーヒーを置いた。
「お疲れ様。今日は月末だからね、みんな来月分を購入しに来たんだよ」
「だろうな」
そんな会話をしていたときだった。
男たちが現れたのは。
「失礼します」
城の騎士たちが二人とその中心に貴族らしき格好をした男性ひとりが店の中に入ってきた。
稀にこういったお客さんも来るので違和感はないが、直感的に店に用があるように思えなかった。
咄嗟にナマン君とフランソワ君の前に出て、その男性の前に立った。
二人も魔法は使えるけれど、剣術や武術に関しては素人だし、大切な従業員に怪我でもされたら俺が困る。
「貴方がジョエルさんですね」
「そうですが…………何かご用でしょうか」
貴族らしき格好をした男性は無表情な顔で俺の名前を言い、胸元に仕舞っていた巻物を取り出して開いた。
「貴方に、いえ、貴殿方にお願いがございます。力を貸していただけないでしょうか」
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