離したくない、離して欲しくない

mahiro

文字の大きさ
上 下
20 / 25

その20

しおりを挟む
え、どういうことだ?
好き?
誰が誰を?
問い質したいのに、身体の向きは変えられないし、限界まで首を捻ってみたら、ぐーすかと寝ている先輩の姿と規則正しい呼吸だけが聞こえてくるだけだ。
これは起こして聞くべきなのか、それとも朝起きてから問い質すべきか悩むところだ。
有り難いことに明日は久しぶりの休みだし、明日は沢山時間があるからそのときに聞こう。

そう思って爆睡してしまった俺に言いたい。

何故そのとき無理やりにでも起こさなかったのかと。


「嘘だろ………」


寝ている間、ずっと背中に暖かみを感じていて朝も変わらずそれがあったから違和感なく目覚めたというのに、目を覚ましたら先輩はどこにも居らず、俺の後ろには俺が床で寝ていたときに使用していた布団が丸めて置いてあるだけだった。
いや、気付けよ俺。


「………先輩が前に言ってたものとは違うかもしれないけど」


出ていくなら声かけてから行けよ。
それもこんな不完全なまま去られるとか勘弁してくれ。
せめて何かメモ書きとかないかと思って部屋を探してみるも、サイドテーブルの上にスペアキーが置いてあるだけで何もない。
歯ブラシだとか髭剃りだとか先輩の私物はなくなっていることから、もうこの家には戻ってくる予定はないのだと分かる。
駐車場に置いてあった車もないし。
でも、冷蔵庫には食材が残っているし台所には先輩が持ってきた食器器具がそのままだ。
昨日先輩が干していた洗濯物はそのまま干してあるし、その他にも先輩がいた形跡がある。
スマホには昨日4人で飲んだときの写真が残っているから、現実なのだと思わせてくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたが好きでした

オゾン層
BL
 私はあなたが好きでした。  ずっとずっと前から、あなたのことをお慕いしておりました。  これからもずっと、このままだと、その時の私は信じて止まなかったのです。

幸せになりたかった話

幡谷ナツキ
BL
 このまま幸せでいたかった。  このまま幸せになりたかった。  このまま幸せにしたかった。  けれど、まあ、それと全部置いておいて。 「苦労もいつかは笑い話になるかもね」  そんな未来を想像して、一歩踏み出そうじゃないか。

素直じゃない人

うりぼう
BL
平社員×会長の孫 社会人同士 年下攻め ある日突然異動を命じられた昭仁。 異動先は社内でも特に厳しいと言われている会長の孫である千草の補佐。 厳しいだけならまだしも、千草には『男が好き』という噂があり、次の犠牲者の昭仁も好奇の目で見られるようになる。 しかし一緒に働いてみると噂とは違う千草に昭仁は戸惑うばかり。 そんなある日、うっかりあられもない姿を千草に見られてしまった事から二人の関係が始まり…… というMLものです。 えろは少なめ。

イケメンに惚れられた俺の話

モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。 こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。 そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。 どんなやつかと思い、会ってみると……

代わりでいいから

氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。 不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。 ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。 他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

鈴木さんちの家政夫

ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...