パパLOVE

卯月青澄

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彼女に手紙を出し始めて1週間が経とうとしていた。

今日もいつものように朝イチで教室にやって来て彼女の机の中に手紙を入れようとした。

「あっ…」

信じられなかった。

誰がこんなことを…。

そこには、机に落書きされた「死ね」という文字が彼女の机にマジックでデカデカと書かれていた。

胸が苦しくなった。

悲しくなった。

怒りの感情も大きくなっていった。

それと同時に彼女にこんなものを絶対に見せてはいけないという思いにかられた。

僕は急いで掃除ロッカーの中から雑巾を取り出し、手洗い場で濡らして彼女の机まで戻った。

それからは必死で彼女の机を拭き続けた。

油性のマジックで書かれた文字は中々消えないけど、少しずつは薄くなっていくのがわかった。

10分くらい擦り続けると、殆んど消えてわからないくらいにはなった。

一体誰が?

いや、このクラスの連中なら誰でもあり得る。

そしていずれ無視だけでは収まらないことも予想はしていた。

こんなにも早く進展するとは思わなかったけど。

何とかしなければならないと思った。

それから少ししてクラスメイトが続々と登校してきた。

その中には彼女の姿もあった。

彼女は自分の席まで行くと、一瞬何かを躊躇するような仕草をしたあと、椅子に腰かけた。

「櫻井さん、おはよう」

「お…は……よ……」

僕が挨拶をすると、彼女はゆっくりと挨拶を返してきた。

そして、いつものように机から手紙を取り出して読み始めた。

その姿を横目に見ていると、一瞬だけど彼女は嬉しそうに微笑んでいるのがわかった。

最初は僕の手紙に戸惑っていたようだけど、日が経つ毎に少しずつ変わっていき、今では手紙を楽しみにしているように思えた。


翌日も朝イチで教室に行くと、彼女の机にはマジックで落書きがされていた。

予想はしていた。

昨日の落書きは彼女が登校してくる前に消されていて、犯人はどう思っただろうか?

きっと腹を立てているに違いない。

誰が消したのかと疑問に思ってるに違いない。

だから今日も仕掛けてくると思っていた。

だから、今日はエタノールを購入して持ってきた。

ネットで検索すると、エタノールを乾いた布に染み込ませて拭くだけで簡単に消せると出ていたからだ。

それから直ぐにエタノールを使ってマジックで書かれた落書きを消した。

犯人はきっと他の嫌がらせもやってくるだろうと思い、彼女の下駄箱や机の中に入っている彼女の私物も気を付けてチェックした。

黙って彼女の物を見るのは悪いと思ったけど、彼女を守るためなら僕は悪者にでもなる覚悟は出来ていた。
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