パパLOVE

卯月青澄

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お弁当を食べていると、クラスメイトの男子から「西島さん、呼んでるよ」と声をかけられた。

「はぁ~、また来たよ」

詩美は振り返ったあと、ため息をつきながらそう言った。

教室のうしろに目を向けると、私に向かって小さく手を振ってくる人物がいた。

三枝先輩だった。

もしかして、ずっといたの?

ちょっとこわっ…

仕方なく廊下にいる三枝先輩のもとに歩いて行った。

「何です?」

「お昼食べたあとに、少し話せない?」

「まだ食べてます」

「食べ終わるまで待つよ」

「ゆっくり食べたいんで。それに待たせてると思うと、せっかくのお弁当が不味くなるから」

悪気なく言ったつもりだったけど、自分でも言い方がキツかったのは感じた。

「そう…だったら帰りのホームルームが終わったら話そうよ」

「バイトがあるから早く帰らなきゃいけないんです」

「バイト? 3丁目の交差点の近くのファミレスだよね?」

「そうですけど…」

何で知ってんの?

マジで怖いんだけど…

「そっ‥そういんじゃなくて。たまたま知ってたと言うか…」

私が怪訝そうな顔をしたのを見逃さなかったのか、珍しく三枝先輩が動揺していた。

「別にいいですけど」

「今度、部活帰りにでも寄ってみるよ」

「はい…」

そして三枝先輩は私の頭に手を乗せると「じゃあ、またね」と言って去って行った。

「じゃあ…」

不思議な感覚だった。

懐かしささえ感じた。

前にも誰かにそうされたような気がした。

まぁ、気にするようなことじゃないか。

ここ最近、パパに頭を撫でられたこともあったし。

それにしても三枝先輩のあの言い方から察するに、お店に来るってことなのかもしれない。

舞香と詩美以外の知り合いがバイト先に来るのは、ちょっと気まずいというか何か嫌。
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