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冒険者編
第87話 夜の鷹の爪 A
しおりを挟む昨日捕まえた、敵組織の偵察係から得た情報によると──
盗賊団『夜の鷹の爪』の構成員は、約百十名。
数は多い。
魔法を使えるのはボスと、幹部二人────
話を聞いた印象だと、他の幹部クラスの構成員は手練れらしいが、大多数は捕らえたチンピラと大差ない実力の様だ。
その手練れという幹部も、昨日俺が倒している。
あの十数人のチンピラの中に、二人幹部クラスがいたらしい。
……直接戦った中に、手練れはいなかった。
多分、ドドラで轢き殺した中にいたのだろう。
────というわけで、敵の幹部クラスの実力は不明だが、勝てないような敵はいそうにない。
敵の拠点は二か所ある。
壁外地区の一等地にある事務所と、外周付近にある倉庫用の建物。
攫ったガキ共を捕らえているのは、倉庫の方だ。
人攫いと違法人身売買を生業にしている犯罪組織らしいので、他にも捕まっている者がいるかもしれない。
幹部以外の敵の構成員は、分散して個別に住んでいるらしい。
敵拠点に魔法をぶっ放して、一網打尽という訳にはいかないようだ。
まあ、俺の目的はガキの救出だし、組織の頭を潰せば、自然と解散になるだろう。
俺達が襲撃するのは、敵の倉庫用建物のみ──
まずは、一か所で良い。
────さて、いくか。
出撃するメンバーは、俺とアカネルとモミジリ、後はトールルを連れて行く。
残りはこの拠点に残し、防御を固める。
捕らえた捕虜から聞いた話では、盗賊団は想定外の反撃に遭い混乱気味らしい。
だが、混乱しているからこそ、行動が読めない。
敵がここを狙う可能性もある。
油断はしない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
イーステッド壁外地区の外周に、大きめの建物がいくつも建ち並んでいる。
ここは壁外の倉庫街になる。
「ふぁ~」
倉庫の前で番をしている三人の男の内、一人が大きなあくびをした。
男は『夜の鷹の爪』のメンバーだ。
男たちは、昨日の夜から寝ていない。
人でが足りなくて、見張りの交代が来ないので、休みたくても休めないのだ。
昨日、組織の構成員が、大幅に減った。
そのせいもあり、深刻な人手不足に陥っている。
夜の鷹の爪の構成員は百十人もいる。
イーステッド壁外地区で、最大規模の犯罪組織だ。
ただ、犯罪組織と言っても所属する構成員がみんな、日常的に犯罪をしている訳ではない。
普段はギルドの職員や冒険者をしていて、そこで得た金になりそうな情報を、組織に流す────
そんな奴が大半だ。
見張りの男たちの様に、雑用担当も多いが、その半分が昨日死んでしまった。
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