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冒険者編
第60話 ★転生者 ピョウヘイとピュロユキ 2 B
しおりを挟む独り立ちの最初から、いきなり躓いてしまった。
──だが、俺にはまだ希望がある。
それは、俺の転生特典の『バイトリーダー』という名のスキルだ。
働いて得られる賃金が、五パーセント上昇するというレアスキル。
このスキルがあれば、二十日働くたびに一日分の給料が上乗せされる計算になる。
その分、金が早く貯まる。
金を貯めて、装備を揃えて、魔物退治の冒険者としてやり直す。
それを目標に、俺たちは頑張った。
ジョリーさんは顔が広い。
彼女に仲介して貰い、揉め事を起こした五人組の冒険者とも、仲直りが出来た。
あいつらに謝るのは癪だが、ジョリーさんの顔を立てて謝罪した。
冒険者の下働きをする関係上、あいつらと敵対したままでは困るのだ。
それに──
あの五人組はタイミングよく、俺たちの窮地に助けに来たのだが──
それは、ジョリーさんから『新人が二人で平原に行ったから、様子を見ておいてあげて欲しい』と頼まれたから、だそうだ。
あいつらは、ジョリーさんとも仲が良いらしい。
ここはジョリーさんに免じて、俺の方が大人の対応をすることにした。
ジョリーさんはよく、俺たちの貯えを聞いてくる。
俺たちが生活に困っていないか、心配してくれているんだ。
彼女のアドバイスもあって、俺たちは何とか冒険者として生活できている。
冒険者として暮らして一年が経過したころ、俺たちは他の転生者とも交流が出来て仲良くなった。
『ゲイスケ』と『タコマサ』という名前の二人組だ。
彼らとも、ジュリーさんの紹介で知り合った。
その二人はベテラン冒険者の下働きから独立して、自分たちのパーティを立ち上げると言って、俺達を勧誘してきた。
彼らの作るパーティへの加入には、二人分の入会金として、金貨五枚と銀貨九枚が必要だと言われた。
──ちょうど、俺たちの貯えと同額だった。
ラッキーだ。
俺とピュロユキは、二つ返事で承諾した。
装備を購入する為に貯えていた資金だが、それよりもパーティを組んで数を揃えた方が戦闘では有利だと、この一年の下働きで学んだ。
俺たちはゲイスケをリーダーにして、パーティを結成した。
それから暫くして、『デラシタ』という名の転生者とも知り合い、そいつも加わって、俺たちは五人チームになる。
俺達五人は新人の中でも、けっこう目立つ存在だった。
初心者エリアで魔物退治を何度も成功させて、将来有望だと注目されている。
そして、強ければ女も寄って来る。
『フジイン』という転生者が、俺たちのパーティに加入したいと言ってきた。
ゲイスケは即座にオーケーした。
フジインの入会金が免除されていたのは、ちょっと釈然としなかったが、女の子だから仕方ないかと思い、不満は口にしなかった。
それから俺たちは、六人で活動した。
ゲイスケの作戦で戦えば、魔物退治で失敗することは無かった。
冒険者を始めたころと比べれば、俺たちは格段に強くなった。
自分でも怖いくらいだ。
そして──
女の子がパーティに一人入ったことで、チームに別の緊張感も生まれる。
俺たちは五人はみんな、フジインを狙っている。
お互いに、カミングアウトしたわけではないが──
そういうのは、なんとなく解るものだ。
彼女に良いところを見せようと、皆さりげなくアピールする。
五人がお互いをけん制していたので、積極的なアピールは出来ないのだ。
どうやらフジインの狙いは、リーダーのゲイスケのようだったが──
それに気付いても、俺はまだ諦めてはいない。
このまま冒険者として強くなれば、まだ逆転のチャンスはあると思っている。
いつかフジインを、俺のものにする!!
そんな野望を胸に秘めて、俺は冒険者として活動していた。
俺たちは順調だった。
新人の中では、確実に頭一つ抜き出ていた。
この町の新人で結成されたパーティで、魔物狩りを定期的に行えているのは、十チーム前後で、俺たちの実力は、上から三番目だと目されている。
このままいけば、二年後にはアイアンランクに昇格できるだろう。
全て、上手く行っていた。
──そこに、そいつは現れた。
頭のいかれた、ハーレム野郎……。
始まりは……
そいつの出した、仲間募集の張り紙だった。
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