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アリスティア、王都でできるチートを考える
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市では、薄汚れた子どもたちがものを並べていることもあった。
そのうち、小学生ぐらいの姉弟が糸を売っていたので、ちょっと話を聞いてみることにした。
「これはどこで手に入れたの?」
「私が紡ぎました。」
きっと10歳になるかどうかぐらいであろう姉が答える。
「もしよかったら、作っているところを見せてくれないかしら?その代わりその分の案内料を払うわ。」
ビビに言って小銭を握らせると、売り物を弟に任せ案内してくれた。
「材料は何を使っているの?」
「角羊です。こんな感じで、少しずつ紡ぎます。」
私、ここに来るまでずっと糸車とかを使っているんだと思っていました。
これは編み物好きの友達が使ってた「スピンドル」というやつじゃないか。
少し太めの木の針の頭に、溝の入った円盤がついたような道具で、うろ覚えだがくるくる回して糸を紡ぐはず…。
こんなのでちまちまやっているんであれば量産は難しいだろう。
「糸を作っている人たちは、みんなこの道具を使っているの?」
「私たちのような子どもはそうです。」
「糸紡ぎは子どもたちでもできる重要な収入源なので、手伝わせる大人が多いんですよ。大きな車輪のようなものを使って紡ぐ人もいますが、高価な道具なのでほとんど持っている人はいませんね。」
とビビが補足する。
「魔法でどうにかすることってできないの?」
道具は無理でもこの世界には魔法があるから…と思って聞いてみると、そう簡単な話ではないらしい。
「ひ…、お嬢様、木魔法は動物の素材を加工できないのです。」
姫様、と言いかけてやめたのはジェスだ。
なるほど、素材が植物であれば何とかなるのね。
もしくは便利な道具があって、それを動かす動力に魔法を使うか…
うーん、何とかして足踏みぐらいで動く道具を作りたいけれど…
子どもにお礼と追加で謝金を握らせ、私たちはその場を後にした。
「工作や大工仕事が得意な者は城にいますか?」
「庭師のトーマスは手先が器用なので、城のものは結構道具類の修理をしてもらうことが多いです。」
応えてくれたのはお姉様付きの侍女リーサだ。
「ジェス、竹って手に入る?高い?」
「いえ、割と廉価で手に入りますよ?何に使うんですか?」
「う―ん、ちょっとトーマスと相談…」
庶民でも使える糸車って作れないかな?
そのうち、小学生ぐらいの姉弟が糸を売っていたので、ちょっと話を聞いてみることにした。
「これはどこで手に入れたの?」
「私が紡ぎました。」
きっと10歳になるかどうかぐらいであろう姉が答える。
「もしよかったら、作っているところを見せてくれないかしら?その代わりその分の案内料を払うわ。」
ビビに言って小銭を握らせると、売り物を弟に任せ案内してくれた。
「材料は何を使っているの?」
「角羊です。こんな感じで、少しずつ紡ぎます。」
私、ここに来るまでずっと糸車とかを使っているんだと思っていました。
これは編み物好きの友達が使ってた「スピンドル」というやつじゃないか。
少し太めの木の針の頭に、溝の入った円盤がついたような道具で、うろ覚えだがくるくる回して糸を紡ぐはず…。
こんなのでちまちまやっているんであれば量産は難しいだろう。
「糸を作っている人たちは、みんなこの道具を使っているの?」
「私たちのような子どもはそうです。」
「糸紡ぎは子どもたちでもできる重要な収入源なので、手伝わせる大人が多いんですよ。大きな車輪のようなものを使って紡ぐ人もいますが、高価な道具なのでほとんど持っている人はいませんね。」
とビビが補足する。
「魔法でどうにかすることってできないの?」
道具は無理でもこの世界には魔法があるから…と思って聞いてみると、そう簡単な話ではないらしい。
「ひ…、お嬢様、木魔法は動物の素材を加工できないのです。」
姫様、と言いかけてやめたのはジェスだ。
なるほど、素材が植物であれば何とかなるのね。
もしくは便利な道具があって、それを動かす動力に魔法を使うか…
うーん、何とかして足踏みぐらいで動く道具を作りたいけれど…
子どもにお礼と追加で謝金を握らせ、私たちはその場を後にした。
「工作や大工仕事が得意な者は城にいますか?」
「庭師のトーマスは手先が器用なので、城のものは結構道具類の修理をしてもらうことが多いです。」
応えてくれたのはお姉様付きの侍女リーサだ。
「ジェス、竹って手に入る?高い?」
「いえ、割と廉価で手に入りますよ?何に使うんですか?」
「う―ん、ちょっとトーマスと相談…」
庶民でも使える糸車って作れないかな?
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