6 / 113
アリスティア、目覚める
5
しおりを挟む
ここは大災害があって復興なうってこと?
ちょっと待って、女神様、ひどくない?
あ、でも私が生まれたのは4246年。
ということは今は4254年のはずだから、もう150年以上経ってるのか。
じゃあそれなりに復興してるはずだよね。
「今、我が国はどういう状態なの?」
「やっと他国からの支援なく、慎ましく暮らせる民が増えてきた、という状態にございます。今回姫様がこちらにいらしたのは、以前のような豊かな暮らしを取り戻すため、特産となりうるものを探すための視察の一環です。そのためお付きのものとして記憶に秀でる私や魔法省では中堅どころのジェスさんが付き従っております。」
え、8歳の私が駆り出されるって他の王子様やお姫様は何をしてるんだろう…。
それに慎ましく…ということは、もしや憧れの贅沢王宮暮らしもできないってこと?
「姫様、昼食でございます。」
ノックの後、マーサがお盆を持って入室してきた。
今日も今日とてお盆に乗っているのはまた草粥だ。
実はこれ、毎日3食同じもの。
しかも、あんまりおいしくないのだ…
「ねぇマーサ。私、もう元気なんだけど、これ以外の食べ物ってないのかしら。」
「姫様、それほど大きな荷車を連れてきているわけではないので、食材は現地調達なのです。白米というのは地方では最上級の贅沢でして…。滋養強壮の意味でも出させていただいておりました。この地域の民たちはポルトと呼ばれる塩味のいも類を原料にした麺類と海藻を食しています。」
唖然とするマーサに代わり、ビビが答える。
「え、お肉は?」
「畜産ですか?もう少し内陸の方へ行くとある程度盛んなのですが…その分、波で打ち上げられた魚や貝を拾っているようですが、落ちているものを姫様に食べさせるのは…」
「漁には出ないの?」
「姫様も被害にあわれた通り、この時期は波が高く、津波もあるため漁に出れないのです…。」
「じゃあ卵は…」
「この辺りでは増やす方向で使用されているので、高級品ですね…明日ご用意できないか手配します。城に戻ればもう少し色々な食事がありますので気を落とさずに…」
終わった…私のお姫様になって美食三昧プラン、終わった…
もう少し色々って。
「少し」ってことはきっと大したものは無いのだろう。
みんな、栄養失調を起こさないのが不思議なぐらいだ。
とはいえ、たんぱく質が無いと力が出ない。
お姫様な私でこんな状態ということは、民草はもっとひどいはず。
なんとか食にたんぱく質を取り入れられるようにならないだろうか。
「豆類は育てられていないのかしら?大豆があるといいんだけど…」
「は?豆ですか?豆なら様々な種類が育てられていますし、貧しい民たちが渋々煮て食べているようですが…」
であれば…
「今日は草粥をいただくわ。あとで、すりつぶした大豆に水を足して、どろどろになるまで煮てくれるかしら?あとは、海水も煮て、ほとんど水分がなくなってどろどろになったら布を使って固形物と液体で分けてくれる?」
どちらも、この地で用意できそうなものだろう。
「はぁ。わかりました。」
マーサがキツネにつままれた顔をして退室する。
やはりこちらには豆腐は無さそうだ。
ちょっと待って、女神様、ひどくない?
あ、でも私が生まれたのは4246年。
ということは今は4254年のはずだから、もう150年以上経ってるのか。
じゃあそれなりに復興してるはずだよね。
「今、我が国はどういう状態なの?」
「やっと他国からの支援なく、慎ましく暮らせる民が増えてきた、という状態にございます。今回姫様がこちらにいらしたのは、以前のような豊かな暮らしを取り戻すため、特産となりうるものを探すための視察の一環です。そのためお付きのものとして記憶に秀でる私や魔法省では中堅どころのジェスさんが付き従っております。」
え、8歳の私が駆り出されるって他の王子様やお姫様は何をしてるんだろう…。
それに慎ましく…ということは、もしや憧れの贅沢王宮暮らしもできないってこと?
「姫様、昼食でございます。」
ノックの後、マーサがお盆を持って入室してきた。
今日も今日とてお盆に乗っているのはまた草粥だ。
実はこれ、毎日3食同じもの。
しかも、あんまりおいしくないのだ…
「ねぇマーサ。私、もう元気なんだけど、これ以外の食べ物ってないのかしら。」
「姫様、それほど大きな荷車を連れてきているわけではないので、食材は現地調達なのです。白米というのは地方では最上級の贅沢でして…。滋養強壮の意味でも出させていただいておりました。この地域の民たちはポルトと呼ばれる塩味のいも類を原料にした麺類と海藻を食しています。」
唖然とするマーサに代わり、ビビが答える。
「え、お肉は?」
「畜産ですか?もう少し内陸の方へ行くとある程度盛んなのですが…その分、波で打ち上げられた魚や貝を拾っているようですが、落ちているものを姫様に食べさせるのは…」
「漁には出ないの?」
「姫様も被害にあわれた通り、この時期は波が高く、津波もあるため漁に出れないのです…。」
「じゃあ卵は…」
「この辺りでは増やす方向で使用されているので、高級品ですね…明日ご用意できないか手配します。城に戻ればもう少し色々な食事がありますので気を落とさずに…」
終わった…私のお姫様になって美食三昧プラン、終わった…
もう少し色々って。
「少し」ってことはきっと大したものは無いのだろう。
みんな、栄養失調を起こさないのが不思議なぐらいだ。
とはいえ、たんぱく質が無いと力が出ない。
お姫様な私でこんな状態ということは、民草はもっとひどいはず。
なんとか食にたんぱく質を取り入れられるようにならないだろうか。
「豆類は育てられていないのかしら?大豆があるといいんだけど…」
「は?豆ですか?豆なら様々な種類が育てられていますし、貧しい民たちが渋々煮て食べているようですが…」
であれば…
「今日は草粥をいただくわ。あとで、すりつぶした大豆に水を足して、どろどろになるまで煮てくれるかしら?あとは、海水も煮て、ほとんど水分がなくなってどろどろになったら布を使って固形物と液体で分けてくれる?」
どちらも、この地で用意できそうなものだろう。
「はぁ。わかりました。」
マーサがキツネにつままれた顔をして退室する。
やはりこちらには豆腐は無さそうだ。
0
お気に入りに追加
1,181
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
haruhi8128
ファンタジー
受験を間近に控えた高3の正月。
過労により死んでしまった。
ところがある神様の手伝いがてら異世界に転生することに!?
とある商人のもとに生まれ変わったライヤは受験生時代に培った勉強法と、粘り強さを武器に王国でも屈指の人物へと成長する。
前世からの夢であった教師となるという夢を叶えたライヤだったが、周りは貴族出身のエリートばかりで平民であるライヤは煙たがられる。
そんな中、学生時代に築いた唯一のつながり、王国第一王女アンに振り回される日々を送る。
貴族出身のエリートしかいないS級の教師に命じられ、その中に第3王女もいたのだが生徒には舐められるばかり。
平民で、特別な才能もないライヤに彼らの教師が務まるのか……!?
努力型主人公を書いて見たくて挑戦してみました!
前作の「戦力より戦略。」よりは文章も見やすく、内容も統一できているのかなと感じます。
是非今後の励みにしたいのでお気に入り登録や感想もお願いします!
話ごとのちょっとしたものでも構いませんので!
転生幼女が魔法無双で素材を集めて物作り&ほのぼの天気予報ライフ 「あたし『お天気キャスター』になるの! 願ったのは『大魔術師』じゃないの!」
なつきコイン
ファンタジー
転生者の幼女レイニィは、女神から現代知識を異世界に広めることの引き換えに、なりたかった『お天気キャスター』になるため、加護と仮職(プレジョブ)を授かった。
授かった加護は、前世の記憶(異世界)、魔力無限、自己再生
そして、仮職(プレジョブ)は『大魔術師(仮)』
仮職が『お天気キャスター』でなかったことにショックを受けるが、まだ仮職だ。『お天気キャスター』の職を得るため、努力を重ねることにした。
魔術の勉強や試練の達成、同時に気象観測もしようとしたが、この世界、肝心の観測器具が温度計すらなかった。なければどうする。作るしかないでしょう。
常識外れの魔法を駆使し、蟻の化け物やスライムを狩り、素材を集めて観測器具を作っていく。
ほのぼの家族と周りのみんなに助けられ、レイニィは『お天気キャスター』目指して、今日も頑張る。時々は頑張り過ぎちゃうけど、それはご愛敬だ。
カクヨム、小説家になろう、ノベルアップ+、Novelism、ノベルバ、アルファポリス、に公開中
タイトルを
「転生したって、あたし『お天気キャスター』になるの! そう女神様にお願いしたのに、なぜ『大魔術師(仮)』?!」
から変更しました。
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる