【R-18/番外編】この狂った世界で私達はささやかな幸せを求める

花草青依

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それを私は愛と呼ぶ

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 また、調査団が来るという連絡が来たのは、エルドノア様が出かける準備をしていた時だった。

 エルドノア様は時折、街に出かける。「街で何をしているの?」と聞いたら「神様としての仕事だよ」と言っていたけれど。その"神様の仕事"が何なのか分からない。詳しく教えてくれないから、きっと私が知らなくてもいいことだ。
 本当は、どういうことをしているのか聞いてみたかった。でも、エルドノア様は行動に口を挟まれることを嫌う。私はあの美しい顔に「面倒くさい」という文字が浮かぶのを見たくなかった。だから、出かけていく彼をいつも黙って見送っていた。

「また来るの?」
 書状を持ってきた使者がその内容を読み上げると、エルドノア様は不快感を露にした。
 私も調査団は嫌いだ。来ないで欲しい。
 彼らは突然屋敷にやって来て、偉そうな顔で家の中を片っ端からひっくり返す。それに、陰で私を叩いたり蹴ったりする人たちもいる。痛いことをしてくる嫌な人たち。
 だから、調査団が来る時はなるべくエルドノア様から離れないようにしていた。

「調査の協力にご理解をいただけますか」
 使者は謙った口調で言っているけど、実際は断ることを許さない。
「いいよ」
 エルドノア様が返事をすると、途端に使者は顔を歪めた。
「お前に聞いているのではない!」
 大きな声で怒鳴られて怖かったから、私は隣に座っているエルドノア様の胸にしがみついた。
「そんなに大声を出さないでくれ。公爵様が驚いているじゃないか」
 そう言ってエルドノア様は私の背中に腕を回した。
「それで、公爵様。どうされますか?」
 エルドノア様は言った。私は予めエルドノア様に教えてもらった言葉を迷いなく言った。
「全部ノアに任せる。ノアが決めて」
「だってさ?」
 すると、使者はもっと顔を歪ませた。
「あばずれが。どこの馬の骨ともしれぬ愛妾に決定をさせるなど」
 使者は小さな声で呟いた。
 どういう意味なのかは分からないけれど、貶されているということだけは分かる。

 ━━眠い。

 さっきからずっと我慢していたけど、もう限界だった。
 私は目を閉じてエルドノア様の胸に頭を預けた。エルドノア様は私を抱きしめてくれた。

 ━━温かい。

 気持ちいいからこのまま眠ってしまいたい。
「残念ながら公爵様はこの退屈な話に飽きてしまったみたいです。早くベッドに連れて行きたいので、これ以降はもっと話を手短にしてもらえると助かります」
 エルドノア様がそう言うと使者の唸る声が聞こえた。

 私が話を聞き取れたのはここまでだった。







 ━━お腹の中が気持ちいい。

 身体が揺れる度に快楽の波が広がっていく。
「んあっ」
 ちょっとくすぐったい気もする。でも、どこもかしこも気持ちよかった。思わず身体がびくびくと震え始める。

 ━━あれ?

 私は目を開けた。
「ティア? 起きたの?」
 そう聞いてきたエルドノア様は、私の上に跨っていて、私達のそこは繋がっていた。気持ちよさの正体は、これだったようだ。
 エルドノア様はにこりと笑って私の唇にキスをした。
「んあっ、あんっ、んんっ」
 深くて情熱的なキスをされてとっても気持ちいい。私は彼の背に腕を回した。

 エルドノア様の口の中を堪能すると、エルドノア様はキスするのをやめて私を彼と向き合う形で座らせた。勿論、あそこは繋がったままだ。
「おはよう。ティア」
「おはようございます。どうして寝てるのにえっちしたの?」
 エルドノア様とのえっちの回数は限られている。昔はほとんど毎日してくれていたけど、最近は週に数回で落ち着いている。前みたいに毎日して欲しいとお願いしたらだめだと言われた。私の身体に前ほど生命の力を注ぐ必要がなくなったとエルドノア様は言っていたけれど、それがどういう意味なのか私には分からない。

「お前がずっと眠っているからだよ」
 そう言ってエルドノア様は私の胸を弄り始めた。
「んんっ、やっ、ひゃん」
「私も起きているお前としたいよ? こんなにかわいい反応をしてくれるんだから」
 胸の先を指で優しくなぞられる。
「あっ、あっ」
「起きるまで待っていようと思ったけど、お前の身体に限界が来つつあったから。しょうがないよね?」
 エルドノア様はそう言って胸を弄るのをやめた。
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