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第十二章
第十四話 どうして裏切ったのです!
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天空龍スリシオを無力化することに成功した俺たちは、セシリオさんが神殿のような建物の中に入って行くのを目撃する。
セシリオさん、あの中に入って行ったけどなんでだろう?
普通なら俺に一言声をかけても良いはずだ。それなのに、何も告げずに一人で入って行ったのが気になる。
「俺、セシリオさんのところに行ってくる」
「私も行きます!」
「リュシアンが行くなら、当然あたしも行くわ! 二人は常に一緒なんだから」
「わたくしだけ除け者にされては嫌なので、わたくしもご一緒させてもらいますわ」
彼女たちも建物の中に入ると訴え、ユリヤたちと建造物の所に向かって行く。
近くで見ると、その形はガラン荒野の十番エリアにあった神殿と同じ形をしていた。
ガラン荒野の神殿と同じだな。セシリオさん、この中に何の用があるのだろう?
疑問に思いながらも、神殿の扉を開けて中に入る。
外見は同じだったが、中の構造はガラン荒野の神殿とは別だった。あっちの方は入ってすぐに広い空間になっていたが、この神殿は長い廊下が続いている。
「この先にスリシオさんがいるのか」
なんだか妙に胸騒ぎがする。この先に進めば、後悔するだろう。そんな予感が纏わり付いて拭えない。
だけど、スリシオさんがどうして神殿の中に入ったのかが気になる。それを確認しないといけない。
少し不安になりながらも、長い廊下を歩いて行く。一歩踏み出す度に心臓の鼓動が聞こえてくる。
長い廊下を歩き終えると、その先には大きな扉があり、取っ手を握って扉を押した。
「あーあ、来ちまったのかよ。そのまま俺が戻って来るのを待っていればよかったのに」
スリシオさんは額に手を起き、俺たちが来たことを嘆く。
彼の手には青色の宝玉が握られてあった。
あの宝玉は、暗黒龍の魂が封印されてある宝玉に似ている。
「スリシオさん。あなたまさか!」
「相変わらず勘がいいな。お前のそんなところは味方の時は好きだが、敵の時は嫌いだ」
彼の言葉に、俺は内心穏やかではなかった。心臓の鼓動が激しさを増し、彼の言葉が信じられなかった。
「ほほう。まさか人間風情が天空龍スリシオを無力化させ、神殿に侵入することができるとは正直予想外だったよ。でも、よくやってくれたと賞賛だけはしておいてやる」
背後から聞き覚えのある声が聞こえ、振り返る。そこには、片方だけのメガネをかけ、タキシードを着ている七十代の老人が立っていた。
「サウザー!」
どうしてこいつがこんな所にいるんだ。もしかして!
「俺は復讐のために暗黒龍を復活させる必要がある。だからサウザーと手を組んだ」
俺の心の呟きに答えるかのように、セシリオさんが言葉を連ねる。
「そう言うことだ。貴様の働きを称して我が組織の一員として正式に迎え入れよう。さぁ、暗黒龍様の魂が封印されている宝玉をこちらに渡すのだ」
「ほらよ」
セシリオさんが握っていた玉を放り投げ、サウザーがキャッチする。
予想外の出来事の連続で、思うように体が動かせなかった。彼もそれを見越して宝玉を投げたのだろう。
「それではワシはこれで失礼するよ。帰って暗黒龍様の復活の準備をしないといけないのでね」
「待て!」
このままでは宝玉が持ち去られてしまう。そう思った俺は咄嗟に体が動き、腰に帯刀させていた太刀を鞘から抜く。そしてサウザーに向かって思いっきり振り下ろした。
しかし放った一撃はやつには届かなかった。人差し指と中指を使って刃を摘み、白刃取りをされてしまう。
「おやおや? 得物を使って人を傷つけてはいけないという、ハンターのルールを無視していいのかな?」
「何が人だ! お前はサウザントドラゴンだろうが! だから斬った所でハンターのルールから逸脱してはいない」
「これは一本取られたな。でも、本気でワシから宝玉を奪い返せれると思っておるのか? 今もこうしてたった二本の指で受け止められていると言うのに」
「奪い返せると思っているからやっているに決まっているだろうが! 受け止められることも計算の内だ。引っかかったな!」
「何!」
サウザーが驚きの表情を見せると同時に、俺は柄に嵌めてある炎の属性玉に意識を集中させる。
「あっちい!」
やつが声を上げると同時に、刃から手を離す。炎の力を使い、刃の分子を活発に動かしたことで、分子運動を激しくして熱を生みだしたのだ。
隙ができた今が攻撃のチャンス!
もう一度太刀を振り下ろす。今度は手応えを感じ、サウザーの額から鮮血が噴き出る。
「グアッ! ま、まさか、このワシがまた傷を負わされるとは!」
「よし、このまま一気に畳みかける!」
「そうはいくか!」
サウザーは後方に下がりながら着ているジャケットを脱いで放り投げてきた。
上着が視界一杯に広がる中、太刀を振り下ろしてジャケットを切る。しかしやつは廊下の奥まで逃げ込んでいた。
やっぱりモンスターだけあって、人間の瞬発力を超えている。
間に合わない可能性の方が高いが、僅かな希望にかけてサウザーを追いかける。
長い廊下を走り、神殿の外に出た。だが、予想どおりにやつの姿はどこにも見当たらない。
逃げられてしまったか。でも、まだセシリオさんがいる。彼を捕まえてサウザーの居場所を吐かせれば、まだ間に合うはずだ。絶対に暗黒龍は復活させない。
再び神殿の中に入り、長い廊下を走って水晶があった場所に戻る。
しかし、俺の目に映った光景は、床に倒れているユリヤたちの姿だった。
セシリオさん、あの中に入って行ったけどなんでだろう?
普通なら俺に一言声をかけても良いはずだ。それなのに、何も告げずに一人で入って行ったのが気になる。
「俺、セシリオさんのところに行ってくる」
「私も行きます!」
「リュシアンが行くなら、当然あたしも行くわ! 二人は常に一緒なんだから」
「わたくしだけ除け者にされては嫌なので、わたくしもご一緒させてもらいますわ」
彼女たちも建物の中に入ると訴え、ユリヤたちと建造物の所に向かって行く。
近くで見ると、その形はガラン荒野の十番エリアにあった神殿と同じ形をしていた。
ガラン荒野の神殿と同じだな。セシリオさん、この中に何の用があるのだろう?
疑問に思いながらも、神殿の扉を開けて中に入る。
外見は同じだったが、中の構造はガラン荒野の神殿とは別だった。あっちの方は入ってすぐに広い空間になっていたが、この神殿は長い廊下が続いている。
「この先にスリシオさんがいるのか」
なんだか妙に胸騒ぎがする。この先に進めば、後悔するだろう。そんな予感が纏わり付いて拭えない。
だけど、スリシオさんがどうして神殿の中に入ったのかが気になる。それを確認しないといけない。
少し不安になりながらも、長い廊下を歩いて行く。一歩踏み出す度に心臓の鼓動が聞こえてくる。
長い廊下を歩き終えると、その先には大きな扉があり、取っ手を握って扉を押した。
「あーあ、来ちまったのかよ。そのまま俺が戻って来るのを待っていればよかったのに」
スリシオさんは額に手を起き、俺たちが来たことを嘆く。
彼の手には青色の宝玉が握られてあった。
あの宝玉は、暗黒龍の魂が封印されてある宝玉に似ている。
「スリシオさん。あなたまさか!」
「相変わらず勘がいいな。お前のそんなところは味方の時は好きだが、敵の時は嫌いだ」
彼の言葉に、俺は内心穏やかではなかった。心臓の鼓動が激しさを増し、彼の言葉が信じられなかった。
「ほほう。まさか人間風情が天空龍スリシオを無力化させ、神殿に侵入することができるとは正直予想外だったよ。でも、よくやってくれたと賞賛だけはしておいてやる」
背後から聞き覚えのある声が聞こえ、振り返る。そこには、片方だけのメガネをかけ、タキシードを着ている七十代の老人が立っていた。
「サウザー!」
どうしてこいつがこんな所にいるんだ。もしかして!
「俺は復讐のために暗黒龍を復活させる必要がある。だからサウザーと手を組んだ」
俺の心の呟きに答えるかのように、セシリオさんが言葉を連ねる。
「そう言うことだ。貴様の働きを称して我が組織の一員として正式に迎え入れよう。さぁ、暗黒龍様の魂が封印されている宝玉をこちらに渡すのだ」
「ほらよ」
セシリオさんが握っていた玉を放り投げ、サウザーがキャッチする。
予想外の出来事の連続で、思うように体が動かせなかった。彼もそれを見越して宝玉を投げたのだろう。
「それではワシはこれで失礼するよ。帰って暗黒龍様の復活の準備をしないといけないのでね」
「待て!」
このままでは宝玉が持ち去られてしまう。そう思った俺は咄嗟に体が動き、腰に帯刀させていた太刀を鞘から抜く。そしてサウザーに向かって思いっきり振り下ろした。
しかし放った一撃はやつには届かなかった。人差し指と中指を使って刃を摘み、白刃取りをされてしまう。
「おやおや? 得物を使って人を傷つけてはいけないという、ハンターのルールを無視していいのかな?」
「何が人だ! お前はサウザントドラゴンだろうが! だから斬った所でハンターのルールから逸脱してはいない」
「これは一本取られたな。でも、本気でワシから宝玉を奪い返せれると思っておるのか? 今もこうしてたった二本の指で受け止められていると言うのに」
「奪い返せると思っているからやっているに決まっているだろうが! 受け止められることも計算の内だ。引っかかったな!」
「何!」
サウザーが驚きの表情を見せると同時に、俺は柄に嵌めてある炎の属性玉に意識を集中させる。
「あっちい!」
やつが声を上げると同時に、刃から手を離す。炎の力を使い、刃の分子を活発に動かしたことで、分子運動を激しくして熱を生みだしたのだ。
隙ができた今が攻撃のチャンス!
もう一度太刀を振り下ろす。今度は手応えを感じ、サウザーの額から鮮血が噴き出る。
「グアッ! ま、まさか、このワシがまた傷を負わされるとは!」
「よし、このまま一気に畳みかける!」
「そうはいくか!」
サウザーは後方に下がりながら着ているジャケットを脱いで放り投げてきた。
上着が視界一杯に広がる中、太刀を振り下ろしてジャケットを切る。しかしやつは廊下の奥まで逃げ込んでいた。
やっぱりモンスターだけあって、人間の瞬発力を超えている。
間に合わない可能性の方が高いが、僅かな希望にかけてサウザーを追いかける。
長い廊下を走り、神殿の外に出た。だが、予想どおりにやつの姿はどこにも見当たらない。
逃げられてしまったか。でも、まだセシリオさんがいる。彼を捕まえてサウザーの居場所を吐かせれば、まだ間に合うはずだ。絶対に暗黒龍は復活させない。
再び神殿の中に入り、長い廊下を走って水晶があった場所に戻る。
しかし、俺の目に映った光景は、床に倒れているユリヤたちの姿だった。
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