ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
17 / 171
第二章

第八話 どうして俺がガキを助けないといけない!

しおりを挟む
~フェルディナン視点~



 俺ことフェルディナンは、クソギルドマスターの命令でリュシアンを探さなければならなくなった。

「くそう。あのデブめ、自分がクビにしておきながら捌けなくなった途端にリュシアンを探せだぁ? いったい俺たちを何だと思っているんだ!」

 ああ、思い出しただけでイラつくぜ。俺たちはいつもそうだ。いつもギルドマスターに振り回されている。

 それなのに迷惑をかけている自覚もないし、やって当然だと思い込んでいる。本当にムカつくぜ。

 あいつをぶっ殺す方法も考えていかないといけないな。

「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「待て! クソガキ!」

「その荷物を俺たちに寄越せ!」

「ぶっ殺されたいか!」

 近くにある村へと繋がる山道を歩いていると、女の子がこっちに向かって走ってくる。その後ろには柄の悪い三人組が追いかけていた。

 何だ? 野盗か? 面倒臭いのと遭遇しそうだな。ここは木の陰にでも隠れてやり過ごさせてもらうとするか。

 俺は木の陰に隠れると、四人が通り過ぎるのを待つ。

 しばらくして奴らが通り過ぎ、視界から外れると俺は木から出た。

「ふぅ、どうにか余計なトラブルに巻き込まれずに済んだな。あのガキには悪いが、俺は先に行かないといけない。恨むのなら自分の運のなさを恨むがいい」

 山道に戻ると、俺は村に向けて一歩足を前に出す。

「いやああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「叫ぶな! モンスターがやって来たらどうするんだ!」

「いい加減に持っている物を手放せ!」

 ああもう! うるせえ! うるせえ! これ以上俺をイラつかせるんじゃねぇよ!

 俺は踵を返すと来た道を引き返す。そして野盗たちのところに向かった。

「おい! お前ら!」

「何だ貴様は?」

「もしかしてこのガキを助けようとしようとしているのか?」

「俺たちが何なのか分かっているのか? ここら辺を縄張りにしている野盗だぞ!」

 どうやらこいつらは、ガキを助けにきたと勘違いしているようだな。

 俺は野盗たちに指を向ける。

「そんなガキのことなんかどうでも良いんだよ! さっきからギャーギャー騒いで俺は迷惑しているんだ! 近隣の迷惑を考えやがれ!」

 怒鳴り声を上げると、奴らは予想外の言葉を浴びせられ、ポカンとしていた。

 よし、よし。これで静かになったな。

「それじゃあ俺はここら辺で離れるが、次俺をイラつかせたらタダでは済まさないからな」

 野盗たちに注意を促し、俺は村に向かおうとする。

「待ちやがれ!」

 チッ、この俺を呼び止めるとは本当に命知らずなやつだな。

「ああ! 何だ? 俺は忙しいんだ。お前らの相手をしている暇なんてないんだよ!」

「ハハハ! なぁに、時間は取らせないさ」

「そうそう。見たところお前はハンターだよな」

「なら、持っているアイテムと素材、それに装備品を全て置いていけ! そうすれば命だけは助けてやる」

 くそう。よりにもよってハンター狩りかよ。面倒臭いのに絡まれた。こうなるのなら引き返すんじゃなかったぜ。

「はぁ? お前らバカだろう? どうして俺がお前たちの言うことを利かないといけないんだ?」

「おう、おう、これはまた随分と威勢のいいハンターではないか」

「ハンターはモンスター以外に得物で人を傷つけてはいけない」

「お前もハンター生活を終わらせたくはないだろう? なら、俺たちの言うことを聞いた方がいいぜ」

 まったく、野盗というのは本当にバカしかいないみたいだな。まぁいい。ムシャクシャしてストレスが溜まっていたんだ。こいつらには、俺のストレス発散の道具にさせてもらう。

「いいぜ! もしお前ら三下が俺を倒せるようなら、好きなだけ持って行くがいいさ。だけどお代は高くつくぜ」

「何を言っているのか全然意味が分からないが、とにかくお前をぶっ殺して身包みを剥げってことだろう!」

「その言葉後悔するなよ!」

「ギャハハ! ぶっ殺してやるよ!」

 野盗三人の男が俺に向けて剣を振り上げる。

 全く、隙だらけじゃないか。よくその程度で武器を扱おうなんて思ったな。

 背中にある大剣を鞘から抜き、三人の一撃をガードする。

 刃と刃がぶつかり、金属音を奏でる。

 さて、時間が無いのは事実だが、こいつらで遊んでやるとするか。

 ガードして敵の一撃を防ぐと、俺はそのまま腰を下ろして体勢を低くする。そして大剣を横にし、勢いよく横薙ぎに払った。

「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」

 大剣に吹き飛ばされた野盗たちは地面に倒れると、三人とも腹から血を噴き出す。

「ガハッ……ガハッ……ゴホッ。こ、こんなこと……して……いいと思って……いるのか!」

 野盗の一人が、口から血を吐きながらも俺を脅してくる。

「良いに決まっているだろう! ここにいる奴ら全員をぶっ殺せば、誰が殺したのか分からなくなる。証言がなければ誰も俺の罪を裁くことができない」

 瀕死の野盗たちを見ながら、口角を上げる。

「今からストレス発散するためのオモチャになってもらうからな。簡単に壊れてくれるなよ」

「ま、待て! 金ならある! だから命だけはぎゃああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!」

 やつらの命乞いを無視して、一人一人丁寧に野盗たちの肉体を切り刻んだ。こいつらの奏でる悲鳴は目障りだったが、弱者の恐怖と絶望で顔を歪めている姿が堪らない。

「チッ、もう壊れてしまったのかよ。これだからろくに鍛えてもいないザコは忍耐力がなさすぎる」

 三人の野盗を葬った後、今度はガキの方を見る。

 あとはこいつを亡き者にするだけだ。

「あ、ありがとうございます!」

「は?」

 少女の言葉に、思わず間抜けな声を漏らす。

「私アリスって言います。お兄さんって強いのですね」

 何だよこのガキ、全然怖がっていないじゃないか。これから殺されるなんて考えていないのかよ。

 チッ、興が醒めてしまった。まぁいい。どうせガキはハンターのルールなんて知らないだろう。

「礼なんかいい。俺は急いで村に行かないといけないんだ。それじゃあな」

 大剣を仕舞い、ガキに背を向ける。すると尻に何かがぶつかったので後方を見た。

 さっきの少女が俺に抱き付いていた。

「おい、なんのつもりだ?」

「ごめんなさい。でも、お兄さんは村に行くのですよね」

「そうだが」

「お願いします! 私を村に連れて行ってください!」










最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!

など思っていただけましたら、【感想】や【お気に入り登録】をしていただけると、作者のモチベが上がり、更新が早くなります。

【感想】は一言コメントでも大丈夫です。

何卒宜しくお願いします。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

処理中です...