ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第二章

第八話 どうして俺がガキを助けないといけない!

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~フェルディナン視点~



 俺ことフェルディナンは、クソギルドマスターの命令でリュシアンを探さなければならなくなった。

「くそう。あのデブめ、自分がクビにしておきながら捌けなくなった途端にリュシアンを探せだぁ? いったい俺たちを何だと思っているんだ!」

 ああ、思い出しただけでイラつくぜ。俺たちはいつもそうだ。いつもギルドマスターに振り回されている。

 それなのに迷惑をかけている自覚もないし、やって当然だと思い込んでいる。本当にムカつくぜ。

 あいつをぶっ殺す方法も考えていかないといけないな。

「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「待て! クソガキ!」

「その荷物を俺たちに寄越せ!」

「ぶっ殺されたいか!」

 近くにある村へと繋がる山道を歩いていると、女の子がこっちに向かって走ってくる。その後ろには柄の悪い三人組が追いかけていた。

 何だ? 野盗か? 面倒臭いのと遭遇しそうだな。ここは木の陰にでも隠れてやり過ごさせてもらうとするか。

 俺は木の陰に隠れると、四人が通り過ぎるのを待つ。

 しばらくして奴らが通り過ぎ、視界から外れると俺は木から出た。

「ふぅ、どうにか余計なトラブルに巻き込まれずに済んだな。あのガキには悪いが、俺は先に行かないといけない。恨むのなら自分の運のなさを恨むがいい」

 山道に戻ると、俺は村に向けて一歩足を前に出す。

「いやああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「叫ぶな! モンスターがやって来たらどうするんだ!」

「いい加減に持っている物を手放せ!」

 ああもう! うるせえ! うるせえ! これ以上俺をイラつかせるんじゃねぇよ!

 俺は踵を返すと来た道を引き返す。そして野盗たちのところに向かった。

「おい! お前ら!」

「何だ貴様は?」

「もしかしてこのガキを助けようとしようとしているのか?」

「俺たちが何なのか分かっているのか? ここら辺を縄張りにしている野盗だぞ!」

 どうやらこいつらは、ガキを助けにきたと勘違いしているようだな。

 俺は野盗たちに指を向ける。

「そんなガキのことなんかどうでも良いんだよ! さっきからギャーギャー騒いで俺は迷惑しているんだ! 近隣の迷惑を考えやがれ!」

 怒鳴り声を上げると、奴らは予想外の言葉を浴びせられ、ポカンとしていた。

 よし、よし。これで静かになったな。

「それじゃあ俺はここら辺で離れるが、次俺をイラつかせたらタダでは済まさないからな」

 野盗たちに注意を促し、俺は村に向かおうとする。

「待ちやがれ!」

 チッ、この俺を呼び止めるとは本当に命知らずなやつだな。

「ああ! 何だ? 俺は忙しいんだ。お前らの相手をしている暇なんてないんだよ!」

「ハハハ! なぁに、時間は取らせないさ」

「そうそう。見たところお前はハンターだよな」

「なら、持っているアイテムと素材、それに装備品を全て置いていけ! そうすれば命だけは助けてやる」

 くそう。よりにもよってハンター狩りかよ。面倒臭いのに絡まれた。こうなるのなら引き返すんじゃなかったぜ。

「はぁ? お前らバカだろう? どうして俺がお前たちの言うことを利かないといけないんだ?」

「おう、おう、これはまた随分と威勢のいいハンターではないか」

「ハンターはモンスター以外に得物で人を傷つけてはいけない」

「お前もハンター生活を終わらせたくはないだろう? なら、俺たちの言うことを聞いた方がいいぜ」

 まったく、野盗というのは本当にバカしかいないみたいだな。まぁいい。ムシャクシャしてストレスが溜まっていたんだ。こいつらには、俺のストレス発散の道具にさせてもらう。

「いいぜ! もしお前ら三下が俺を倒せるようなら、好きなだけ持って行くがいいさ。だけどお代は高くつくぜ」

「何を言っているのか全然意味が分からないが、とにかくお前をぶっ殺して身包みを剥げってことだろう!」

「その言葉後悔するなよ!」

「ギャハハ! ぶっ殺してやるよ!」

 野盗三人の男が俺に向けて剣を振り上げる。

 全く、隙だらけじゃないか。よくその程度で武器を扱おうなんて思ったな。

 背中にある大剣を鞘から抜き、三人の一撃をガードする。

 刃と刃がぶつかり、金属音を奏でる。

 さて、時間が無いのは事実だが、こいつらで遊んでやるとするか。

 ガードして敵の一撃を防ぐと、俺はそのまま腰を下ろして体勢を低くする。そして大剣を横にし、勢いよく横薙ぎに払った。

「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」」

 大剣に吹き飛ばされた野盗たちは地面に倒れると、三人とも腹から血を噴き出す。

「ガハッ……ガハッ……ゴホッ。こ、こんなこと……して……いいと思って……いるのか!」

 野盗の一人が、口から血を吐きながらも俺を脅してくる。

「良いに決まっているだろう! ここにいる奴ら全員をぶっ殺せば、誰が殺したのか分からなくなる。証言がなければ誰も俺の罪を裁くことができない」

 瀕死の野盗たちを見ながら、口角を上げる。

「今からストレス発散するためのオモチャになってもらうからな。簡単に壊れてくれるなよ」

「ま、待て! 金ならある! だから命だけはぎゃああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!」

 やつらの命乞いを無視して、一人一人丁寧に野盗たちの肉体を切り刻んだ。こいつらの奏でる悲鳴は目障りだったが、弱者の恐怖と絶望で顔を歪めている姿が堪らない。

「チッ、もう壊れてしまったのかよ。これだからろくに鍛えてもいないザコは忍耐力がなさすぎる」

 三人の野盗を葬った後、今度はガキの方を見る。

 あとはこいつを亡き者にするだけだ。

「あ、ありがとうございます!」

「は?」

 少女の言葉に、思わず間抜けな声を漏らす。

「私アリスって言います。お兄さんって強いのですね」

 何だよこのガキ、全然怖がっていないじゃないか。これから殺されるなんて考えていないのかよ。

 チッ、興が醒めてしまった。まぁいい。どうせガキはハンターのルールなんて知らないだろう。

「礼なんかいい。俺は急いで村に行かないといけないんだ。それじゃあな」

 大剣を仕舞い、ガキに背を向ける。すると尻に何かがぶつかったので後方を見た。

 さっきの少女が俺に抱き付いていた。

「おい、なんのつもりだ?」

「ごめんなさい。でも、お兄さんは村に行くのですよね」

「そうだが」

「お願いします! 私を村に連れて行ってください!」










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