【R18】Fランク冒険者の俺が外れスキル≪プレイヤー≫で世界最強へと成り上がるまで

遠野紫

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第一章『俺がCランク冒険者へと成り上がるまで』

17 リリィの冒険者登録

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「何だ、またお前か。無理なもんは無理だ。さ、帰んな」

 リリィの冒険者登録のために受付へ行くと、露骨に嫌そうな顔でそう言われた。

「いえ、今回は彼女の冒険者登録をしようと思いまして」

「ああ、そう言うことか。分かった。ちょっと待ってろ」

 そう言うと男は素直に机の下から一枚の紙を取り出してリリィの前に差し出した。
 こうも対応が違うと、なんかこう……流石に来るものがあるな。

「名前と所持スキルを書いてくれ。その後、一応スキルの鑑定をさせてもらったら晴れて冒険者登録完了だ」

「ん、分かった」

 リリィはペンを持ち、名前を書いた。
 そして次にスキルの欄に上級魔法と上級肉体強化の二つを書いたのだが……

「おい嬢ちゃん、嘘言っちゃいけねえ。スキルを二つ持ってるなんてありえねえからな」

 案の定、受付の男はそう言ってリリィを怪しみ始めたのだった。
 
「嘘じゃない。私のスキルはこの二つ」

「はぁ……仕方ねえな。鑑定してやるから待ってろ」

 このまま言い合っても埒が明かないと思ったのか、男は鑑定用の魔道具を取り出した。
 そしてそれをリリィへと使用する。

 するとその瞬間、男の顔は鳩が豆鉄砲を食ったような何とも言えないものへと変わった。
 
「おいおい、俺は夢でも見てるのか……?」

「ん、夢じゃない。現実」

「……そうか、分かった。待ってろ、今ギルドマスターを呼んでくる」

 あまりにもイレギュラーな状況だからか、男はギルドマスターを呼びに行ってしまった。

 ……やっぱりこうなったか。
 けど鑑定されるなら隠すことも出来ないし、ここはもうそういう物だと納得してもらうしかない。
 
 それから少しして、ギルドの奥から一人の少女が出てきた。
 いや、あの尖った耳からして彼女はエルフだろうか。
 となると少女、と言う年でも無いのかもしれない。

 まあ何にせよ、恐らく彼女がギルドマスターだろう。
 纏っている雰囲気が普通じゃない。
 歴戦の猛者とでも言えば良いのだろうか。

「ふむ、君がスキルを二つ持つと言う少女かな」

「ん、そう」

「ほう、まさかこんな少女が……これは驚いたよ」

 ギルドマスターはそう言うが、その様子はかなり落ち着いているように見えた。
 年の功……と言う訳でも無さそうだ。
 まるでスキルを二つ以上持つ者がいることを最初から知っていたかのような落ち着きだった。

「分かった、少し奥で話そう。君は付き添いかね?」

「はい、ノアと言います」 

「そうか。なら君も来たまえ。君にも関係のある話だろう」

「……分かりました」

 と言う訳で、俺とリリィの二人はギルドの奥へと案内された。

 見た感じ、特別な客人のための部屋と言ったところだろうか。
 高そうなソファと高そうなテーブルが部屋の真ん中に置いてある。

 正直、俺と言う存在があまりにも場違い過ぎる気がするぞこれ。

「座ってくれたまえ。さて、まずは何から話すべきか……そうだね。君たちは二つ以上のスキルを持つ者について他に心当たりはあるかな?」

「いえ、俺と彼女以外には……」

「ふむ、やはり君もだったか」

 あ、しまった。
 つい俺についてもそのまま話してしまった。

「ああ、騙すようなことをしてすまない。私は鑑定スキルを持っていてね。君もまた複数のスキルを持っていることは最初から分かっていたんだよ。ただ、まさかこうして二人も同時に現れるとは……少し予想外だ」

「予想外……ですか?」

「ああ。と言うのもだね。複数のスキルを持つ者はそれこそ数百年前にはたくさんいたのだよ。しかしそのほとんどがとっくに絶滅してしまって、今生き残っている者はほぼいないのだ。仮に生き残っているとしても散り散りになってしまっていて、そう易々とは出会えないだろうさ」

 ほぼ……?
 それにやけに断定的な言い方だな。
 まるで直接その事実を知っているかのようだ。

「と言う事は、今でも少しはいるんですね」

「そうだね。例えば、私とか」

「はい……?」

 なんか今、重要な情報がぬるっと出てきた気がする。

「何を隠そう、私がその生き残りの一人なのだよ」

「冗談……では無いみたいですね」

 彼女の顔は冗談を言っているようなそれでは無く、真剣そのものだった。
 つまり彼女は鑑定とはまた別のスキルを持っていることになる。
 それどころか古代からの生き証人と言う訳だ。

 やけに断定的に話すとは思ったが、そもそも実際にその目で見て、その身で体験してきたってことなんだろう。

「本当さ。とは言え、スキルを二つ持っているだなんて今じゃ与太話でしか無いからね。私は一部の人間以外にはそのことを隠しているのさ」

 なるほど。だからさっき受付の男はリリィに二つのスキルがあることに驚いていたのか。
 そもそも彼にはギルドマスターが複数スキル持ちだと言う事が知らされていない訳だ。

「だから、君たちも下手に口外はしない方が良い。頭がおかしい奴らだと思われかねないからね。最近は王都で不穏な動きもあると聞く。彼女の冒険者登録については上級魔術スキルのみでの登録にしておくから安心したまえ」

「ありがとうございます……! だそうだぞ、リリィ。これでリリィも冒険者の仲間入りだ」

「ん、ありがとう」

「なに、複数スキル持ちのよしみだ。気にしないでくれたまえ」

 ギルドマスターはそう言いながらリリィの頭を撫でる。
 そしてリリィもまた抵抗なく撫でられていた。

 年齢的にはどちらも数百歳……いや数千歳なのかもしれないが、見た目だけで言えば目の前で美少女同士がじゃれあっていることには変わりない。
 天国はここにあったと言うことか。

「あっ……そうだ。その、ついでと言う訳でも無いんですが……」 

「どうかしたのかな」

 俺が複数のスキルを持っていることは彼女も知っている。
 なら、いっそこの際に俺の冒険者登録の再登録もお願いしてみよう。
 もしかしたら融通を利かせてくれるかもしれない。

「俺の冒険者登録って、再登録なんて出来たりしないですかね」

「すまないが、それは少し難しいね。これから登録するものを弄るのならともなく、既に登録されている物を変更すればギルド本部にバレるだろう。そうなると少々厄介なことになりかねないんだ」

 駄目だった。
 まあ、ダメ元だったんだ。
 仕方ないけど受け入れよう。

「すみません、無理を言ってしまって」

「いやいや、こちらこそ力になれなくて申し訳ない。その代わりと言ってはなんだが、ランクを上げるための諸々の斡旋なら出来る。それでどうかな?」

「えっ……? 良いんですか?」

「ランク上昇のシステム自体は元々存在するものだからね。問題ないさ。具体的には特定の危険度を持つ魔物を狩って来てもらうことにはなるけど……君の実力なら問題は無いだろう?」

 問題がある訳が無かった。
 ランクさえ上がれば受けられるクエストの幅も広がるし、それだけ報酬も増える。
 まさに願っても無い提案だ。

 あ、でも今は「果ての剣」のクエストに同行するってことになってるんだ。
 どうしたものか……。

「どうかしたのかね?」

「いえ、ちょうど先程『果ての剣』と言う方々のクエストに同行することになりまして……」

「ああ、そう言う事か。ドレッドオロチの討伐だろう? 雑用を探していたようだが、なるほど君が参加する訳か。ならちょうど良い。彼らと共に行ってドレッドオロチを狩ってきてくれたまえよ。元々彼らだけではやや心配ではあったからね」

「ず、随分と簡単に言いますね……」

 ドレッドオロチの危険度は相当だ。
 ギルドマスターならそれは分かっているはず。

 なのに随分と軽く言ってくれちゃった訳だが……それはつまり、彼女の中では俺の実力は充分ドレッドオロチに通用すると言うことなのでは?

 ギルドマスターどころか長いこと生きてきたであろう彼女がそれだけ言うんだ。
 こんなにも心強い後ろ盾は無いだろう。

 なら、ありがたくこのチャンスを掴ませてもらおうじゃないか。

「……分かりました。俺、絶対に彼らと一緒にドレッドオロチを狩って来ますから。その時はお願いしますね」

「ああ、期待しているとも」

 ――こうして、俺は何が何でもドレッドオロチを狩らなければならなくなったのだった。
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