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第90話 ひろし、合流する

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 そのころ、おじいさんたちはシャームに到着していた。

 そしてバリードレへ抜けるために軽トラで西の洞窟へと向かっていた。

 するとシャームの町のほうから一台のバイクのモービルが走ってきて、近くまでやって来た。

 それを見たアカネは思わず声をあげた。

「あの人、笑顔の武闘家だ! おーい! サワディカー!」

 アカネが荷台から笑顔で両手を合わせると、タマシリが気づいて手を合わせて笑顔を返してくれた。

「やっぱりそうだ! おーい!」

 アカネが手をふると、タマシリも笑顔で手を振り返してくれた。

 そのまま軽トラとバイクは一緒に西の洞窟へと進み、タマシリも洞窟の前でバイクから降りた。

 タマシリは笑顔でみんなに挨拶した。

「Hello! コンニチハ!」

「ハロー」
「こんにちは、タマシリさん」
「ハローハロー」
「どうもどうも」
「Hello. Nice to meet you!」

「oh, nice to meet you!」

 すると、アカネが驚いて言った。

「あれ、今誰か英語で返事した!」

「わたしですよアカネさん」

 なんと大熊笹が笑顔で手をあげていた。

「ええ!? 熊じぃ、英語話せるの?」

「いやぁ、世界中で試合してましたからな。少しだけなら」

「すごいじゃん、熊じぃ!」

 するとタマシリがみんなに尋ねた。

「Where are you going?(どこへ行くのですか) ミナサン?」

 それを聞いた大熊笹が英語で答えた。

「We are going to ええと、バリードレ。(わたしたちはバリードレへ行きます)」

「Oh, it's the same destination. (同じ目的地です)  オナジデス!」

 アカネは「?」になると大熊笹に聞いた。

「熊じぃ、なんて言ってるの?」

「このかたもバリードレに行くそうだよ」

 するとアカネは嬉しそうに言った。

「同じなら、一緒に行こうよ! トゥギャザー!」

「Oh, yes! イッショ!」

 こうして、おじいさんたちのメンバーにタマシリが加わった。

 ◆

 おじいさんたちはバリードレへと続く洞窟に到着すると、タマシリを先頭に洞窟の中へ入っていった。

 洞窟の中は一本道が続いていて、その先に少し広くなっているところがあった。

 ウォォオオ!

 すると急に横からたけ2メートル以上はありそうな両手剣のアンデッド騎士が現れた。

「大きいですね」
「うわー、でかいなぁ」
「はっはっは、ドラゴンよりはマシですな」
「あらあら」
「おぉ、これは大きいなぁ」

「No problem! モンダイナイヨ」

 タマシリは笑顔でアンデッド騎士に近づくと騎士はタマシリに両手剣で襲いかかってきた。

 ブンッ!

「あぁぁあああい!!」

 タマシリは大きく踏み込みと、アンデッド騎士のみぞおちに重い前蹴りを食らわせた。

 ドスッ!

 グォォオ!

「あいっ! あぁあいっ! あいっ!」

 ズドッ、ズドッ、ズドッ!!

 そしてローキックの嵐をお見舞いすると、アンデッド騎士はたまらずひざいた。

 グオォォ……

「Good bye.(じゃあね)」

「ぁぁああぁぁあいっ!」

 ドガッ!

 タマシリは後ろ回し蹴りを食らわせると騎士は静かに消滅していった。

「「おおーーー!!!」」

「やはりお強いですね!」
「すげー!」
「Great!」
「あらあら、すごいわ」
「いやぁ、かっこいいなぁ」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 すると洞窟の奥にある岩の扉が開いて、バリードレへの道が開かれた。

 アカネはそれを見ると、飛び跳ねながら洞窟の出口へ走って行った。

「いえーぃ! 一番乗り!!」

 アカネが洞窟から走り出た瞬間、

 ゴゴゴゴゴゴ

 ズガガガガガガガン!

 なんと、近くに雷の最高魔法が落ちてきた。

「うわっ!!」

 アカネはとっさに前回り受身で身をかわすと、目の前では大勢のプレイヤーたちがバトルをしていた。

「え? なにこれ」

 片手剣の騎士と戦っていた魔術武闘家のマサは、アカネたちに気づくと大声で言った。

「きみたち、危ないから洞窟の中に隠れて!」

 するとタマシリが笑顔で声をかけた。

「Oh, hey! It's you! (やぁ! あなたじゃないですか!)」

 それを聞いたマサはタマシリに気づいて嬉しそうに言った。

「おお! ムエタイじゃないか!! ひさしぶり!」

 ガンッ!

 マサは片手剣の騎士をりながら笑顔になると、タマシリに言った。

「よかったら、その……、まじで助けて! ヘルプ、ヘルプ!!」

「Okay!」

 タマシリは走って行くと片手剣の騎士に飛び蹴りを食らわせた。

 ガキン!

 片手剣の騎士は飛び蹴りを盾で受けると、タマシリを押し返して剣を振りかぶった。

 しかし剣よりも早く、タマシリの回し蹴りが片手剣の騎士のヒザを蹴りぬいた。

「あぁぁあああいっ!」

 ゴキッ!

「どりゃやぁぁ!」

 ガンッ!

 そこへマサのローキックが決まると片手剣の騎士はたまらず後へ倒れ込んだ。

「あぶない! 矢がくるよ!!」

 アカネが2人に叫ぶと、奥でオロチの大弓を引いている姿が見えた。

 その瞬間、

 シャァァアアアァァ……、パカンッ!

 カランカランカラン……

 おじいさんの石が放たれる前の矢に命中して、オロチの矢は分解するように地面に落ちた。

「ナイスじいちゃん!!」

 アカネが両手をあげて喜ぶと、オロチの大弓を持ったプレイヤーが大声をあげた。

「やってくれたな、このクソガキたちが!!」

 それを聞いたアカネは笑いながら答えた。

「おいおい、よく見なよ! みんな人生の大先輩だぜ! ガキはあたしくらいなもんだよ」

「「ははははは」」

 おじいさんたちが笑うと、オロチの大弓のプレイヤーはオロチの剣に持ちえて叫んだ。

「おいお前ら! なめてんじゃねーぞ!!」

 オロチの剣のプレイヤーが激昂しながら物凄い勢いで走り込んでくると、大熊笹が笑顔でヒョイと前に出た。

「どけジジィ! ブッころ……」

「はい、よいしょ」

「え?」

 ズバン!!!

「ぐわぁ!」

 オロチの剣のプレイヤーは一瞬で宙に舞うと素早く地面に叩きつけられた。

 シャァァアア……、ガン!

「いって!」

 そこへ、おじいさんの石が当たると哲夫も刀を振り下ろした。

「やぁ!」

 ゴン

「いたっ! なんだ、てめぇら!!」

 オロチの剣のプレイヤーはいかりながら立ち上がろうとすると、今度はアカネが腕を掴んで足を払った。

「ほいっ、と」

 ズザァ

 オロチの剣のプレイヤーは横に転がると、和代が軍神零式を召喚した。

「機械の魔力を手に入れし者よ、我はその力を従わせる者。その激しい力の根源に命を下す。その絶大なる力を今見せよ!」

「ウォォオオオ!!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 地面から軍神零式が現れると、軍神零式はオロチの剣のプレイヤーに斧を振り下ろした。

 ガコン! ガコン!

「うわっ! こいつ!」

 その状況を見ていたタマシリとマサは、少し笑いながら他の敵が助けに入らないように攻撃を続けた。

 オロチの剣のプレイヤーは必死に立ち上がると、剣を振りかぶって哲夫を狙った。

「雑魚どもが! 一撃で仕留めてやる!」

 オロチの剣のプレイヤーは一歩踏み出し……

「はい、よいしょ」

 ズダン!

 しかし大熊笹が足技で転ばせた。

「やぁ!」

 ゴン

 そこへ哲夫が刀を振り下ろし、

 シャァァアア、ゴン!

 おじいさんが石を食らわせ、

「はい、毒の粉と痺れ粉」

 ブワッ

 和代が毒の粉と痺れ粉を投げつけた。

「ぐわっ! なんなんだよ、この謎のコンビネーションは!!」

 オロチの剣のプレイヤーには毒の粉と痺れ粉は効かなかったが、一面に広がった粉で視界を失った。

「ウォォオオオ!!」

 ドガンドガンドガン!!

「うわ、いって!!」

 軍神零式が斧で攻撃すると、

 シャァァアア、ガコン!

 おじいさんの石も飛んできた。

「いって! 何なの? 何が当ってんの!?」

 粉の霧が晴れると、オロチの剣のプレイヤーの前に大熊笹が笑顔で立っていた。

「てめぇ!」

 しかし、オロチの剣のプレイヤーは投げられるかもしれないと一瞬躊躇いっしゅんちゅうちょした。

 その瞬間、

 ドッ! ドッ!

「くっ!」

 オロチの剣のプレイヤーの頭に翠がヘッドショットを2本決めた。

「スキあり!!」

 一瞬にして大熊笹がオロチの剣のプレイヤーのふところへ入ると、美しい一本背負いを決めた。

 ブワァッ!

 ズバン!!!

「ウォォォオオオオ!」

 ドガンドガンドガンドガン!!

 そこへ軍神零式が攻撃をすると、

 ドッ! ドッ! ドッ!

 寸分狂わず、さらに翠の矢が3本ヘッドショットを決めた。

「くそぉ!! てめぇら次会つぎあったら……」

 オロチの剣のプレイヤーはとうとう力尽きると、怒りの形相のまま消滅していった。

「「やったー!」」

 おじいさんたちがオロチの剣のプレイヤーを倒すと、翠たちも残りの4人の騎士を片付けて、戦いが終わった。
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