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第71話 ひろし、調べる
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おじいさんは一度VRグラスを外して現実世界に戻り、テーブルの上にある公式ガイドブックを開いた。
そして、バリードレのページを開き、行き方を調べてみた。
ーーーーーーーーーー
バリードレへは船でシャームへ行き、そこから西の洞窟を抜けると辿り着きます。
しかし、初回は洞窟の奥に門番が待ち構えている。しっかり準備をして挑もう。
ーーーーーーーーーー
「そうか……。ではまずシャームへ行くために、お二人にもメインクエストを進めて頂かないと」
そして、おじいさんは数分ほど考え込んだ。
「しかし、メインクエストも簡単ではないからなぁ……。どうしたものか……」
その時、おじいさんはふと思い出した。
「そうだ、昨日ドラゴンを倒して1000ポイント貰っていたな。それまで貰っていたポイントと合わせて攻撃力に使えば……」
おじいさんは急いでVRグラスをかけてゲームの世界に戻った。
そして時計台の前に出現すると、視界の左上のSPボタンを押して小窓を開いた。
[残り 1003p(98%換算済)][変換する]
物理攻撃力 2249
魔法攻撃力 なし
物理防御力 150(厚手のジャージ■)
魔法防御力 0
素早さ 0
器用さ 0
おじいさんは躊躇することなく攻撃力に変換した。
[残り 0p]
物理攻撃力 3252
魔法攻撃力 なし
物理防御力 150(厚手のジャージ■)
魔法防御力 0
素早さ 0
器用さ 0
「これで最初のドラゴンに挑戦してみよう……。出来るだけ早く進めて差し上げたいからなぁ」
おじいさんは時計台の時間を見ると、まだ午前10時半頃だった。
おじいさんは、急いで哲夫と和代の家へ行き、インターホンを押した。
ピンポーン
『はい』
「あ、ひろしです」
『あらまぁ、どうぞ!』
「はい」
すると、和代が玄関を開けてくれて、おじいさんは中へ入った。
おじいさんは居間へ通してもらうと、哲夫と和代に話した。
「バリードレへの行き方がわかりました」
「おお」「まぁ」
「ただ、船に乗らなくてはならないようで……。ですからメインクエストを進める必要があるんです」
それを聞いた哲夫が答えた。
「メインクエストの話は美咲ちゃんから聞いていました。我々も船に乗れると便利ですので是非やりたいのです」
和代も頷いた。
すると、おじいさんは二人にメインクエストの説明を始めた。
「ええと、最初のメインクエストはドラゴンを倒すのですが、もしかしたらですが、早く倒せるかもしれません」
「おお」「まぁ」
「もし倒せなくても、NP……?、えぇと騎士さんが助けてくれるようですし、宜しければ、今から行きませんか?」
「「ええ!?」」
驚く哲夫と和代に、おじいさんは1つだけ忠告をした。
「ただ、敵に倒されてしまうと、とても痛いようなのです。それでも宜しければ」
すると哲夫が立ち上がった。
「痛いのくらい、なんでもありません。なぁ和代」
「ええ、早く翠ちゃんに会いたいわ」
それを聞いたおじいさんは、少し涙を浮かべながら言った。
「お二人とも、お孫さんを大切に想っていらっしゃるんですね。では行きましょう。わたしがご案内しますから」
「「ありがとうございます」」
「では、まずピンデチの入り口へ参りましょう」
「「はい」」
◆
おじいさんは最初のクエストを思い出して2人をピンデチの入り口へ連れて行くと、震えて怖がるNPCの老人を見つけた。
おじいさんたちが老人に近づくと、老人が話し始めた。
「あれは一体なんだったのだろうか。わしが洞窟の前を通ると聞いたことも無いような恐ろしい声が……」
こうしてメインクエストが開始して、おじいさんたちはドラゴンの居る洞窟へと向かった。
しばらく歩いて洞窟に到着すると、なんと老齢のプレイヤーが3人が居た。
それを見たおじいさんは、同世代のプレイヤーに嬉しくなって話しかけた。
「おはようございます。メインクエストですか?」
すると3人は振り返って挨拶を返した。
「「おはようございます!」」
その姿を見た和代は、バスの運転手だった大槻が居る事に気づいて挨拶をした。
「あらまぁ、バスの運転手さん! 昨日は本当に助かりました」
「あ、これはこれは!」
大槻も驚きながら頭を下げると、その様子を見ていた山口がおじいさんたちに自己紹介を始めた。
「我々3人は元自衛官で試験的にバスの運転手としてこのゲームに参加させていただいております」
すると山口は敬礼して続けた。
「私は山口と申します。こちらは大槻、そしてこちらは木下です」
「大槻です。宜しくお願いします」
「木下です。宜しくお願いします」
元自衛官の3人は敬礼を下げて深々と頭を下げると、おじいさんたちも頭を下げて自己紹介をした。
「はじめまして、ひろしです」
「あ、哲夫です。宜しくお願いします」
「妻の和代です。お願い致します」
お互いに自己紹介を済ませると、山口がおじいさんたちに尋ねた。
「我々はメインクエストを進めようと早朝から洞窟内を調査をしているのですが、ひろしさんたちもメインクエストでしょうか」
「はい、そうなんです。お邪魔じゃなければ、ご一緒させていただいても宜しいでしょうか」
「それは、こちらとしても心強い。ぜひ、一緒に攻略しましょう!」
こうして、おじいさんたちと元自衛官たちは一緒に洞窟の中へ入っていった。
哲夫と和代は、おじいさんと元自衛官たちに防御強化薬と攻撃強化薬、そして全回復薬を10個ずつ送った。
元自衛官の山口がそれに気づくと、2人にお礼した。
「これは素晴らしい! ありがとうございます!」
すると哲夫が笑顔で答えた。
「まだまだありますから、必要なときは言ってください」
みんなは哲夫と和代に深々と頭を下げると、薬を飲み干して自分を強化し、洞窟の奥へと進んでいった。
◆
おじいさんたちは慎重に洞窟を進んでいくと、待ち構えていたアンデッドモンスターが襲いかかってきた。
その瞬間、山口は大声をあげた。
「弓用意! 撃て!」
すると、元自衛官の3人は一斉に射撃をした。
ズドドド!
「撃て!」
ズドドド!
正確に放たれた矢は次々とにアンデッドモンスターに当たり、どんどん消滅していった。
おじいさんもポケットから石を取り出して、アンデッドモンスターに投げつけた。
シャァァアア………、パン!
石は物凄い勢いでアンデッドモンスターの腹に風穴を開けると、一瞬で消滅していった。
「あぁ、さすがに強くなっていますね」
おじいさんたちはその後も攻撃を繰り返し、協力してアンデッドモンスターたちを倒すと、元自衛官の山口がみんなを案内した。
「こちらです!」
それを聞いたおじいさんたちは山口たちに続いた。
おじいさんはスイスイ進んでゆく山口たちについて行きながら、少し不思議に思って山口に尋ねた。
「山口さん、洞窟の構造を分かっていらしゃいますね」
「はい。比較的簡単な造りでしたので、攻略のために地図を作成しておりました」
山口はそう言うと、おじいさんたちに地図を見せてくれた。
「おぉ、これは素晴らしい!」
「いえいえ、我々はこのような作業に慣れておりますので」
山口は少し笑顔になりながらしばらく洞窟を進むと、ある地点で急に立ち止まった。
「構造から考えると、この先の部屋が行き止まりのはずです」
すると、おじいさんはこの場所に見覚えがあったので山口に言った。
「ああ、知っています。おそらく、この奥の部屋の中にはドラゴンが居ます」
「なんと! ここが決戦の地ですか」
「はい。わたしが前に来たときは強い方が助けてくれたのですが、ドラゴンを倒せば即座にクリアです」
「なるほど。では気を引き締めて参りましょう」
山口は壁に隠れながら静かに奥を覗き込み、ドラゴンが待ち受けている事を確認すると、振り返ってみんなに尋ねた。
「我々は弓で攻撃します。みなさんはどのような攻撃ができますか?」
おじいさんはポケットの石を見せて答えた。
「わたしは石を投げつけます。いくぶん攻撃力には自信があります」
和代は哲夫と目を合わせると山口に言った。
「わたしたちは、毒の粉と痺れ粉を持っています」
それを聞いた山口は、みんなに作戦を提案した。
「では、まず我々が切り込み、弓でドラゴンを翻弄します。そこへ皆さんの攻撃をお願いいたします」
「「はい」」
「では、我々は先に参ります! 大槻、木下、行くぞ! 突撃ー!!」
「「はいっ!!」」
山口の合図で、元自衛官たちはドラゴンの周りへ散っていった。
そして、バリードレのページを開き、行き方を調べてみた。
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バリードレへは船でシャームへ行き、そこから西の洞窟を抜けると辿り着きます。
しかし、初回は洞窟の奥に門番が待ち構えている。しっかり準備をして挑もう。
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「そうか……。ではまずシャームへ行くために、お二人にもメインクエストを進めて頂かないと」
そして、おじいさんは数分ほど考え込んだ。
「しかし、メインクエストも簡単ではないからなぁ……。どうしたものか……」
その時、おじいさんはふと思い出した。
「そうだ、昨日ドラゴンを倒して1000ポイント貰っていたな。それまで貰っていたポイントと合わせて攻撃力に使えば……」
おじいさんは急いでVRグラスをかけてゲームの世界に戻った。
そして時計台の前に出現すると、視界の左上のSPボタンを押して小窓を開いた。
[残り 1003p(98%換算済)][変換する]
物理攻撃力 2249
魔法攻撃力 なし
物理防御力 150(厚手のジャージ■)
魔法防御力 0
素早さ 0
器用さ 0
おじいさんは躊躇することなく攻撃力に変換した。
[残り 0p]
物理攻撃力 3252
魔法攻撃力 なし
物理防御力 150(厚手のジャージ■)
魔法防御力 0
素早さ 0
器用さ 0
「これで最初のドラゴンに挑戦してみよう……。出来るだけ早く進めて差し上げたいからなぁ」
おじいさんは時計台の時間を見ると、まだ午前10時半頃だった。
おじいさんは、急いで哲夫と和代の家へ行き、インターホンを押した。
ピンポーン
『はい』
「あ、ひろしです」
『あらまぁ、どうぞ!』
「はい」
すると、和代が玄関を開けてくれて、おじいさんは中へ入った。
おじいさんは居間へ通してもらうと、哲夫と和代に話した。
「バリードレへの行き方がわかりました」
「おお」「まぁ」
「ただ、船に乗らなくてはならないようで……。ですからメインクエストを進める必要があるんです」
それを聞いた哲夫が答えた。
「メインクエストの話は美咲ちゃんから聞いていました。我々も船に乗れると便利ですので是非やりたいのです」
和代も頷いた。
すると、おじいさんは二人にメインクエストの説明を始めた。
「ええと、最初のメインクエストはドラゴンを倒すのですが、もしかしたらですが、早く倒せるかもしれません」
「おお」「まぁ」
「もし倒せなくても、NP……?、えぇと騎士さんが助けてくれるようですし、宜しければ、今から行きませんか?」
「「ええ!?」」
驚く哲夫と和代に、おじいさんは1つだけ忠告をした。
「ただ、敵に倒されてしまうと、とても痛いようなのです。それでも宜しければ」
すると哲夫が立ち上がった。
「痛いのくらい、なんでもありません。なぁ和代」
「ええ、早く翠ちゃんに会いたいわ」
それを聞いたおじいさんは、少し涙を浮かべながら言った。
「お二人とも、お孫さんを大切に想っていらっしゃるんですね。では行きましょう。わたしがご案内しますから」
「「ありがとうございます」」
「では、まずピンデチの入り口へ参りましょう」
「「はい」」
◆
おじいさんは最初のクエストを思い出して2人をピンデチの入り口へ連れて行くと、震えて怖がるNPCの老人を見つけた。
おじいさんたちが老人に近づくと、老人が話し始めた。
「あれは一体なんだったのだろうか。わしが洞窟の前を通ると聞いたことも無いような恐ろしい声が……」
こうしてメインクエストが開始して、おじいさんたちはドラゴンの居る洞窟へと向かった。
しばらく歩いて洞窟に到着すると、なんと老齢のプレイヤーが3人が居た。
それを見たおじいさんは、同世代のプレイヤーに嬉しくなって話しかけた。
「おはようございます。メインクエストですか?」
すると3人は振り返って挨拶を返した。
「「おはようございます!」」
その姿を見た和代は、バスの運転手だった大槻が居る事に気づいて挨拶をした。
「あらまぁ、バスの運転手さん! 昨日は本当に助かりました」
「あ、これはこれは!」
大槻も驚きながら頭を下げると、その様子を見ていた山口がおじいさんたちに自己紹介を始めた。
「我々3人は元自衛官で試験的にバスの運転手としてこのゲームに参加させていただいております」
すると山口は敬礼して続けた。
「私は山口と申します。こちらは大槻、そしてこちらは木下です」
「大槻です。宜しくお願いします」
「木下です。宜しくお願いします」
元自衛官の3人は敬礼を下げて深々と頭を下げると、おじいさんたちも頭を下げて自己紹介をした。
「はじめまして、ひろしです」
「あ、哲夫です。宜しくお願いします」
「妻の和代です。お願い致します」
お互いに自己紹介を済ませると、山口がおじいさんたちに尋ねた。
「我々はメインクエストを進めようと早朝から洞窟内を調査をしているのですが、ひろしさんたちもメインクエストでしょうか」
「はい、そうなんです。お邪魔じゃなければ、ご一緒させていただいても宜しいでしょうか」
「それは、こちらとしても心強い。ぜひ、一緒に攻略しましょう!」
こうして、おじいさんたちと元自衛官たちは一緒に洞窟の中へ入っていった。
哲夫と和代は、おじいさんと元自衛官たちに防御強化薬と攻撃強化薬、そして全回復薬を10個ずつ送った。
元自衛官の山口がそれに気づくと、2人にお礼した。
「これは素晴らしい! ありがとうございます!」
すると哲夫が笑顔で答えた。
「まだまだありますから、必要なときは言ってください」
みんなは哲夫と和代に深々と頭を下げると、薬を飲み干して自分を強化し、洞窟の奥へと進んでいった。
◆
おじいさんたちは慎重に洞窟を進んでいくと、待ち構えていたアンデッドモンスターが襲いかかってきた。
その瞬間、山口は大声をあげた。
「弓用意! 撃て!」
すると、元自衛官の3人は一斉に射撃をした。
ズドドド!
「撃て!」
ズドドド!
正確に放たれた矢は次々とにアンデッドモンスターに当たり、どんどん消滅していった。
おじいさんもポケットから石を取り出して、アンデッドモンスターに投げつけた。
シャァァアア………、パン!
石は物凄い勢いでアンデッドモンスターの腹に風穴を開けると、一瞬で消滅していった。
「あぁ、さすがに強くなっていますね」
おじいさんたちはその後も攻撃を繰り返し、協力してアンデッドモンスターたちを倒すと、元自衛官の山口がみんなを案内した。
「こちらです!」
それを聞いたおじいさんたちは山口たちに続いた。
おじいさんはスイスイ進んでゆく山口たちについて行きながら、少し不思議に思って山口に尋ねた。
「山口さん、洞窟の構造を分かっていらしゃいますね」
「はい。比較的簡単な造りでしたので、攻略のために地図を作成しておりました」
山口はそう言うと、おじいさんたちに地図を見せてくれた。
「おぉ、これは素晴らしい!」
「いえいえ、我々はこのような作業に慣れておりますので」
山口は少し笑顔になりながらしばらく洞窟を進むと、ある地点で急に立ち止まった。
「構造から考えると、この先の部屋が行き止まりのはずです」
すると、おじいさんはこの場所に見覚えがあったので山口に言った。
「ああ、知っています。おそらく、この奥の部屋の中にはドラゴンが居ます」
「なんと! ここが決戦の地ですか」
「はい。わたしが前に来たときは強い方が助けてくれたのですが、ドラゴンを倒せば即座にクリアです」
「なるほど。では気を引き締めて参りましょう」
山口は壁に隠れながら静かに奥を覗き込み、ドラゴンが待ち受けている事を確認すると、振り返ってみんなに尋ねた。
「我々は弓で攻撃します。みなさんはどのような攻撃ができますか?」
おじいさんはポケットの石を見せて答えた。
「わたしは石を投げつけます。いくぶん攻撃力には自信があります」
和代は哲夫と目を合わせると山口に言った。
「わたしたちは、毒の粉と痺れ粉を持っています」
それを聞いた山口は、みんなに作戦を提案した。
「では、まず我々が切り込み、弓でドラゴンを翻弄します。そこへ皆さんの攻撃をお願いいたします」
「「はい」」
「では、我々は先に参ります! 大槻、木下、行くぞ! 突撃ー!!」
「「はいっ!!」」
山口の合図で、元自衛官たちはドラゴンの周りへ散っていった。
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