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白の脅威
第52話 ようこ、お友達が増える
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その頃、おばあさんはマユたちと一緒にお店番をしていた。
するとそこへ、美咲が哲夫を連れてやってきた。
みんなは笑顔で手を振り合うと哲夫が頭を下げて挨拶をした。
「みなさん、初めまして。翼与哲夫です。よろしくお願いします」
みんなも頭を下げると挨拶を返した。
「よろしくお願いします。マユです」
「メイです。よろしくお願いします」
「わたしナミ。ぉねがいします」
「洋子です。いつもスーパーでお世話になっています。すみませんが、よろしくお願いします」
哲夫はそれを聞くと嬉しそうにして、また頭を下げた。
すると美咲がナミのところへ行って、少し申し訳無さそうしながら話した。
「ナミさん、ごめん。せっかくもらったワンピース、データが復旧したら無くなったんだ。可愛かったのに」
「まって」
ナミはアイテム欄を調べると昨日のワンピースを見つけた。
「アイテム欄に戻ってた。着る?」
ナミはまた同じワンピースとスニーカーを出現させた。
「うん、着る! わたし女の子っぽい服買ったことなくて。あのワンピース可愛いかったから」
「ぅん、にぁってた。ぉくるね」
美咲はナミからワンピースを受け取ると、すぐに装備した。
美咲たちが話している横で、おばあさんは哲夫に経営の質問をしていた。
「翼与さん。お店の商品がすぐに品切れになってしまって、商品が追いつかないんです。何か良いアイディはありませんか?」
「なるほど。ですが売り切れるなんて素晴らしいお店ですね!」
それを聞くとみんな笑顔で喜んだ。
すると今度は哲夫がおばあさんに尋ねた。
「仕入れる品物が足りないのでしょうか?」
「はい、そうなんです。人が足りなくて。特に材料の薬草が足りないんです」
「なるほど。商品と売れ筋を教えてもらえませんか?」
哲夫はお店の中を見て回り、商品の価格を見ると暗算で何かを計算し始めた。
そして商品の作り方や売れ筋を聞くと少し考え込んだ。
ー 1時間後 ー
お店の前には大きな看板が出された。
ーーーーーーーーーーーーー
無くなり次第終了!
限定イベント開催!
薬草5個で、
防御強化薬を1個プレゼント!
薬草10個で、
攻撃強化薬を1個プレゼント!
ーーーーーーーーーーーーー
するとすぐに人だかりができた。
「え、マジで!? 攻撃強化薬を薬草と交換だって!」
「薬草なんてすぐ集まるじゃん。ちょっと森いってくるわ」
「え、防御強化薬ほしい。森に行こうよ!」
看板を見た人たちは次々と薬草を集めに森へと走っていった。
ー 約30分後 ー
「あ、すみません! ちょっとまってくださいね!」
「あ、はい、交換ですね。こちらです!」
「待ってくださいね、はい、攻撃強化薬です」
店は交換希望者でごった返した。
すると哲夫が店の外へ出てきて看板を片付けながら大きな声で言った。
「大変申し訳ありませんが、商品が無くなりますので、こちらに並んでいる方まででお願いします!」
そして深々と頭を下げると、薬草を持ってきたが交換できなかった人たち全員に回復薬を無料で渡しながら案内した。
「またイベントを開催いたしますので、ぜひまたお越しくださいませ! よろしくお願いいたします!」
結局、一瞬にして薬草が500個以上集まった。
マユは驚いて哲夫に言った。
「哲夫さん、凄すぎです。これでしばらく在庫大丈夫かも」
「いえいえ、このお店の売れ筋は防御と攻撃の強化薬ですから人が集まりましたね。あとはキノコです」
「たしかに。キノコも在庫少ないかも」
するとメイが言った。
「あたし店番するから、マユとナミで溶岩地帯に行ったら良さそうじゃない?」
それを聞いたおばあさんはみんなに言った。
「それは良い考えね。じゃあ、わたしは森へ行こうかしら」
哲夫はみんなの会話を聞くと笑顔で提案した。
「よかったら、お店番を私にやらせてくれませんか」
「ええ、良いんですか?」
「はい、美咲ちゃんと一緒にお店番していますので、メイさんもキノコを集めに行ってきてください」
「本当? だと助かる!」
こうして、哲夫と美咲はお店番、おばあさんは森へ、そしてマユとメイとナミはレググリへと向かった。
店に残った哲夫はカウンターに座ると美咲に尋ねた。
「美咲ちゃん。この世界で商売していない人たちは、お金をどうやって稼ぐんだい?」
「基本的には賞金クエストでモンスター倒すんだ。あとはモンスターの素材を売るとか。あとはガチャのハズレを売るとか」
「基本はモンスターを倒さないといけないのかな」
「そうだね。でもゲームを進めないと賞金や素材集めは出来ないから、ゲーム始めたばかりの人たちは、いつもお金がないって」
「そうか……。もし岩キノコを1つ10プクナで買い取るって言ったら、どうかなぁ」
「え、10個で100プクナになるんでしょ。ピンデチなら絶対やる人いるよ」
「よし、じゃあ次のイベントはそれで行こう。ははは。なんだか楽しくなってきちゃったなぁ」
すると美咲は一冊の本を出現させて哲夫に手渡した。
「これ、このゲームの世界のガイドブック。役に立つ?」
「あぁ、とても助かるよ。ありがとう」
その時、美咲の視界に設定しておいたアラームが表示された。
「あ。そろそろ、おばあちゃんが日本舞踊の教室から帰ってくる。ちょっとマンションに行ってくるね」
「ああ、わかった」
美咲はVRグラスを外してログアウトした。
哲夫が1時間くらい本を読みながら店番をしていると、森に行っていたおばあさんが帰って来た。
「戻りました~」
「洋子さん、おかえりなさい。どうでしたか?」
「超回復キノコと赤薬草、どちらも30個以上見つかりましたよ」
「素晴らしいですね!」
「いえいえ、鼻を頼りに探しているだけですよ。うふふ」
おばあさんがテーブルに超回復キノコと赤薬草を置くと、美咲が和代を連れて店に戻ってきた。
「おじいちゃん、おばあちゃん連れて来たよ」
「和代、おかえりなさい。あ、洋子さん、うちの家内の和代です」
哲夫がおばあさんに妻の和代を紹介すると、和代は頭を下げておばあさんに挨拶をした。
「はじめまして。和代です」
「はじめまして、洋子と申します。宜しくお願いします」
二人はお互いに頭を下げた。すると和代が呟いた。
「あら、このキノコかしら。なんだか独特な匂いがしますね。少し青臭い匂いも……」
「え、この匂い分かります?」
「ええ、何と言うか独特な」
「すごいわ! 和代さんキノコが探せるかもしれない」
「ええと、キノコですか?」
「ええ!」
おばあさんは、嬉しそうに答えた。
ー 現実世界 株式会社イグラア 社長室 ー
社長がノートパソコンで作業をしていると、突然、内線が鳴った。
プルルル……
ガチャッ
「わたしだ」
『営業部の山下です。横浜の介護付きマンションの管理会社から問い合わせが来ているのですが、少しご相談させて頂いてもよろしいでしょうか』
「介護付きマンションから? 内容は」
『寝たきりや動けない方々にVRゲームの世界で楽しんでもらえないかとの問い合わせでして』
「なんと! それはとても良い案ではないか!」
『はい。それと、同じマンションのプレイヤーの方からもメッセージを頂いていて、マンションの方々に協力してもらえないかと……』
「おお、なんと素晴らしいことだ! 我が社のゲームが社会貢献できる時が来たではないか。そのマンションの連絡先を教えてくれ。わたしが直接電話しよう!」
『え、あ、はい。電話番号は……』
社長は内線を切って直接マンションの管理会社に電話をかけると、とても嬉しそうに話し込んだ。
するとそこへ、美咲が哲夫を連れてやってきた。
みんなは笑顔で手を振り合うと哲夫が頭を下げて挨拶をした。
「みなさん、初めまして。翼与哲夫です。よろしくお願いします」
みんなも頭を下げると挨拶を返した。
「よろしくお願いします。マユです」
「メイです。よろしくお願いします」
「わたしナミ。ぉねがいします」
「洋子です。いつもスーパーでお世話になっています。すみませんが、よろしくお願いします」
哲夫はそれを聞くと嬉しそうにして、また頭を下げた。
すると美咲がナミのところへ行って、少し申し訳無さそうしながら話した。
「ナミさん、ごめん。せっかくもらったワンピース、データが復旧したら無くなったんだ。可愛かったのに」
「まって」
ナミはアイテム欄を調べると昨日のワンピースを見つけた。
「アイテム欄に戻ってた。着る?」
ナミはまた同じワンピースとスニーカーを出現させた。
「うん、着る! わたし女の子っぽい服買ったことなくて。あのワンピース可愛いかったから」
「ぅん、にぁってた。ぉくるね」
美咲はナミからワンピースを受け取ると、すぐに装備した。
美咲たちが話している横で、おばあさんは哲夫に経営の質問をしていた。
「翼与さん。お店の商品がすぐに品切れになってしまって、商品が追いつかないんです。何か良いアイディはありませんか?」
「なるほど。ですが売り切れるなんて素晴らしいお店ですね!」
それを聞くとみんな笑顔で喜んだ。
すると今度は哲夫がおばあさんに尋ねた。
「仕入れる品物が足りないのでしょうか?」
「はい、そうなんです。人が足りなくて。特に材料の薬草が足りないんです」
「なるほど。商品と売れ筋を教えてもらえませんか?」
哲夫はお店の中を見て回り、商品の価格を見ると暗算で何かを計算し始めた。
そして商品の作り方や売れ筋を聞くと少し考え込んだ。
ー 1時間後 ー
お店の前には大きな看板が出された。
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無くなり次第終了!
限定イベント開催!
薬草5個で、
防御強化薬を1個プレゼント!
薬草10個で、
攻撃強化薬を1個プレゼント!
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するとすぐに人だかりができた。
「え、マジで!? 攻撃強化薬を薬草と交換だって!」
「薬草なんてすぐ集まるじゃん。ちょっと森いってくるわ」
「え、防御強化薬ほしい。森に行こうよ!」
看板を見た人たちは次々と薬草を集めに森へと走っていった。
ー 約30分後 ー
「あ、すみません! ちょっとまってくださいね!」
「あ、はい、交換ですね。こちらです!」
「待ってくださいね、はい、攻撃強化薬です」
店は交換希望者でごった返した。
すると哲夫が店の外へ出てきて看板を片付けながら大きな声で言った。
「大変申し訳ありませんが、商品が無くなりますので、こちらに並んでいる方まででお願いします!」
そして深々と頭を下げると、薬草を持ってきたが交換できなかった人たち全員に回復薬を無料で渡しながら案内した。
「またイベントを開催いたしますので、ぜひまたお越しくださいませ! よろしくお願いいたします!」
結局、一瞬にして薬草が500個以上集まった。
マユは驚いて哲夫に言った。
「哲夫さん、凄すぎです。これでしばらく在庫大丈夫かも」
「いえいえ、このお店の売れ筋は防御と攻撃の強化薬ですから人が集まりましたね。あとはキノコです」
「たしかに。キノコも在庫少ないかも」
するとメイが言った。
「あたし店番するから、マユとナミで溶岩地帯に行ったら良さそうじゃない?」
それを聞いたおばあさんはみんなに言った。
「それは良い考えね。じゃあ、わたしは森へ行こうかしら」
哲夫はみんなの会話を聞くと笑顔で提案した。
「よかったら、お店番を私にやらせてくれませんか」
「ええ、良いんですか?」
「はい、美咲ちゃんと一緒にお店番していますので、メイさんもキノコを集めに行ってきてください」
「本当? だと助かる!」
こうして、哲夫と美咲はお店番、おばあさんは森へ、そしてマユとメイとナミはレググリへと向かった。
店に残った哲夫はカウンターに座ると美咲に尋ねた。
「美咲ちゃん。この世界で商売していない人たちは、お金をどうやって稼ぐんだい?」
「基本的には賞金クエストでモンスター倒すんだ。あとはモンスターの素材を売るとか。あとはガチャのハズレを売るとか」
「基本はモンスターを倒さないといけないのかな」
「そうだね。でもゲームを進めないと賞金や素材集めは出来ないから、ゲーム始めたばかりの人たちは、いつもお金がないって」
「そうか……。もし岩キノコを1つ10プクナで買い取るって言ったら、どうかなぁ」
「え、10個で100プクナになるんでしょ。ピンデチなら絶対やる人いるよ」
「よし、じゃあ次のイベントはそれで行こう。ははは。なんだか楽しくなってきちゃったなぁ」
すると美咲は一冊の本を出現させて哲夫に手渡した。
「これ、このゲームの世界のガイドブック。役に立つ?」
「あぁ、とても助かるよ。ありがとう」
その時、美咲の視界に設定しておいたアラームが表示された。
「あ。そろそろ、おばあちゃんが日本舞踊の教室から帰ってくる。ちょっとマンションに行ってくるね」
「ああ、わかった」
美咲はVRグラスを外してログアウトした。
哲夫が1時間くらい本を読みながら店番をしていると、森に行っていたおばあさんが帰って来た。
「戻りました~」
「洋子さん、おかえりなさい。どうでしたか?」
「超回復キノコと赤薬草、どちらも30個以上見つかりましたよ」
「素晴らしいですね!」
「いえいえ、鼻を頼りに探しているだけですよ。うふふ」
おばあさんがテーブルに超回復キノコと赤薬草を置くと、美咲が和代を連れて店に戻ってきた。
「おじいちゃん、おばあちゃん連れて来たよ」
「和代、おかえりなさい。あ、洋子さん、うちの家内の和代です」
哲夫がおばあさんに妻の和代を紹介すると、和代は頭を下げておばあさんに挨拶をした。
「はじめまして。和代です」
「はじめまして、洋子と申します。宜しくお願いします」
二人はお互いに頭を下げた。すると和代が呟いた。
「あら、このキノコかしら。なんだか独特な匂いがしますね。少し青臭い匂いも……」
「え、この匂い分かります?」
「ええ、何と言うか独特な」
「すごいわ! 和代さんキノコが探せるかもしれない」
「ええと、キノコですか?」
「ええ!」
おばあさんは、嬉しそうに答えた。
ー 現実世界 株式会社イグラア 社長室 ー
社長がノートパソコンで作業をしていると、突然、内線が鳴った。
プルルル……
ガチャッ
「わたしだ」
『営業部の山下です。横浜の介護付きマンションの管理会社から問い合わせが来ているのですが、少しご相談させて頂いてもよろしいでしょうか』
「介護付きマンションから? 内容は」
『寝たきりや動けない方々にVRゲームの世界で楽しんでもらえないかとの問い合わせでして』
「なんと! それはとても良い案ではないか!」
『はい。それと、同じマンションのプレイヤーの方からもメッセージを頂いていて、マンションの方々に協力してもらえないかと……』
「おお、なんと素晴らしいことだ! 我が社のゲームが社会貢献できる時が来たではないか。そのマンションの連絡先を教えてくれ。わたしが直接電話しよう!」
『え、あ、はい。電話番号は……』
社長は内線を切って直接マンションの管理会社に電話をかけると、とても嬉しそうに話し込んだ。
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