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大型新人
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このホストクラブをオープンさせて2年が経ち、私もユズも19歳になっていた。
店は連日大盛況だ。
女性が男性を接待をする、前世のキャバクラのような店はこの世界にも沢山ある。
逆はうちの店が初めてのようだが、意外にも「待ってました!」とばかりに女性達に受け入れられている。
「うんうん、気持ち分かるわ~。女性だって素敵なメンズにチヤホヤされたいよね」
最近はうちを真似た店が出来始めているが、まだまだ負ける気はしない。
こっちには前世のノウハウがあるからね!
そして今日、大型新人が3人も入って来るのだ!朝からワクワクが止まらない!
「楽しみ~」
「え~?僕は面倒な予感しかないけど」
ため息を吐くユズを無視し、これから来る麗しい新人達に何を着せようか、どう躾けようかなんて考えて顔がニマニマしてしまう。
「キモ」
煩いよ、ほっとけ。
ユズが言うように相当面倒な面子だと思うけど、彼等を売れっ子ホストにする為にどう躾けていくかは経営者の手腕に掛かっている。
燃える!
⭐︎
3人の新人を見て、私は目を細めた。
俺様系、美人系、筋肉系。
それぞれタイプは違うが、眩しい程のイケメンなのは間違いない!
しかし…
「早く俺の部屋に案内しろ」
「何ですか、この下品な内装の店は」
「貧弱そうな奴らばかりだな」
口を開けば最悪!
腕を組んで偉そうな態度。
今の自分達の立場を全く理解していない。
彼等は…
俺様系のレオナルドはこの国の第二王子
美人系のフェルナンドは宰相の子息で、侯爵家の嫡男
筋肉系のジェイクは騎士団長の子息で、伯爵家の嫡男
王族や貴族の彼等が、何故こんなホストクラブにいるのか…
皆なら分かるよね?分かっちゃうよね?
そう、学校で1人の女子生徒を取り合い、卒業式で婚約破棄騒動を起こした結果、廃嫡されてしまったの!
つまり、ざまぁされたメンズ達だよ!
漫画や小説じゃあるまいし、そんな馬鹿はいないと思っていたら…
ここにいましたよー!
私とユズは彼等の事を知っている。
私達は学園で彼等の同級生だったから。
もっとも、王族とその側近に近付く事などないし、クラスも違う目立たなかった私達の事など覚えてないだろう。
現に今も気づく気配はない。
身ひとつで追い出された彼等。
私達と似た境遇に少し同情していたが、もう平民なのに弁えず偉そうな彼等の態度に、そんな気持ちは吹き飛んだ。
そもそも彼等の場合、自業自得だからね。
「勘違いしてるみたいね。貴方達は従業員、そして私は経営者。どちらが偉いと思ってるの?」
彼等は悔しそうに私を睨んでくる。
「どうせどこも雇ってくれなかったんでしょ?
想像できるわ~「ここで働いてやってもいい」とか偉そうな態度で商会に押し掛ける貴方達の姿が」
3人は顔を赤くする。
図星だね、分かりやすい。
「自分達で事業を始めるにしても資金が要るから此処へ来たんでしょ?確かに此処は大金を稼げる可能性がある場所よ。
ただし、相手に大金を使わせるからには、自分にはその価値があるという事を示さなければならない!ただお酒を注いでいれば良いという簡単な仕事じゃないわよ!」
この仕事を舐めんじゃないわよ!
ビシビシ行くよ!
⭐︎
教える事全てに彼等は反発した。
「平民の女を「姫」なんて呼べるか!」
「話題を提供する?平民の女が私の話を理解出来るわけないでしょう?」
「女に跪け?ふざけるな!」
口を開けばこいつらー!
さっきから話が進まない。
予想は出来ていたけどイラつく!
そんな私を見てレンは「最初から分かってた事でしょ」と呆れつつも、教育係を変わってくれた。
反発する彼等と格闘すること半月。
彼等に現場に出てもらう事になった。
それは彼等の実力を認めたからではない。
「君達は自分に自信があるようだけど、この店では絶対に売れない。言っても理解出来ないだろうから現実を見てもらおうかな。
実際に接客してもらう」
自分に絶対の自信を持つ彼等は、レンの発言が気に食わないようだ。
不満そうな顔を隠さない。
「この店のホストは全員名前を変えてるけどどうする?変えなくても構わないけど」
私達はアンとユズでやっている。
彼等は少し考えて、
元王子のレオナルドはレオ
元宰相の息子のフェルナンドはフェル
元騎士団長の子息のジェイクはジェイ
にしたようだ。
当然彼等をいきなり現場で自由にさせる事は出来ない。常連の金持ちマダム達に「生意気な新人に現実を見せてあげて下さい」とお願いしてある。
彼女達は喜んで引き受けてくれた。
彼等の美貌にマダム達は色めき立った。
その様子に彼等は「簡単な仕事」と思ったに違いない。
しかし15分もすると席を外される。そして二度と呼ばれる事はない。
そんな事を繰り返すこと一週間。プライドをへし折られた彼等は見事に凹んでいた。
そこにユズが更に追い打ちを掛ける。
「これで自分の実力が良く分かったよね?
それにしても、こんなにお客様から拒否されたホストは見た事ないよ。
この店で君達は、間違いなく底辺だ」
酷い!事実だけど。
「上位の奴等の接客を見てどう思った?
相手の欲しい物を与えるのがこの仕事なんだよ。相手を満足させて初めて対価を得られる。顔だけ良くても一緒にいて楽しくない相手に金は払えない。
此処では要らないプライドは捨てろ。それが出来ないなら辞めろ。お互い時間の無駄になる」
ええっ!勿体無い!
口を出そうとしたがユズに目で止められる。
そんなぁ!本当に辞めちゃったらどうするの⁉︎
店は連日大盛況だ。
女性が男性を接待をする、前世のキャバクラのような店はこの世界にも沢山ある。
逆はうちの店が初めてのようだが、意外にも「待ってました!」とばかりに女性達に受け入れられている。
「うんうん、気持ち分かるわ~。女性だって素敵なメンズにチヤホヤされたいよね」
最近はうちを真似た店が出来始めているが、まだまだ負ける気はしない。
こっちには前世のノウハウがあるからね!
そして今日、大型新人が3人も入って来るのだ!朝からワクワクが止まらない!
「楽しみ~」
「え~?僕は面倒な予感しかないけど」
ため息を吐くユズを無視し、これから来る麗しい新人達に何を着せようか、どう躾けようかなんて考えて顔がニマニマしてしまう。
「キモ」
煩いよ、ほっとけ。
ユズが言うように相当面倒な面子だと思うけど、彼等を売れっ子ホストにする為にどう躾けていくかは経営者の手腕に掛かっている。
燃える!
⭐︎
3人の新人を見て、私は目を細めた。
俺様系、美人系、筋肉系。
それぞれタイプは違うが、眩しい程のイケメンなのは間違いない!
しかし…
「早く俺の部屋に案内しろ」
「何ですか、この下品な内装の店は」
「貧弱そうな奴らばかりだな」
口を開けば最悪!
腕を組んで偉そうな態度。
今の自分達の立場を全く理解していない。
彼等は…
俺様系のレオナルドはこの国の第二王子
美人系のフェルナンドは宰相の子息で、侯爵家の嫡男
筋肉系のジェイクは騎士団長の子息で、伯爵家の嫡男
王族や貴族の彼等が、何故こんなホストクラブにいるのか…
皆なら分かるよね?分かっちゃうよね?
そう、学校で1人の女子生徒を取り合い、卒業式で婚約破棄騒動を起こした結果、廃嫡されてしまったの!
つまり、ざまぁされたメンズ達だよ!
漫画や小説じゃあるまいし、そんな馬鹿はいないと思っていたら…
ここにいましたよー!
私とユズは彼等の事を知っている。
私達は学園で彼等の同級生だったから。
もっとも、王族とその側近に近付く事などないし、クラスも違う目立たなかった私達の事など覚えてないだろう。
現に今も気づく気配はない。
身ひとつで追い出された彼等。
私達と似た境遇に少し同情していたが、もう平民なのに弁えず偉そうな彼等の態度に、そんな気持ちは吹き飛んだ。
そもそも彼等の場合、自業自得だからね。
「勘違いしてるみたいね。貴方達は従業員、そして私は経営者。どちらが偉いと思ってるの?」
彼等は悔しそうに私を睨んでくる。
「どうせどこも雇ってくれなかったんでしょ?
想像できるわ~「ここで働いてやってもいい」とか偉そうな態度で商会に押し掛ける貴方達の姿が」
3人は顔を赤くする。
図星だね、分かりやすい。
「自分達で事業を始めるにしても資金が要るから此処へ来たんでしょ?確かに此処は大金を稼げる可能性がある場所よ。
ただし、相手に大金を使わせるからには、自分にはその価値があるという事を示さなければならない!ただお酒を注いでいれば良いという簡単な仕事じゃないわよ!」
この仕事を舐めんじゃないわよ!
ビシビシ行くよ!
⭐︎
教える事全てに彼等は反発した。
「平民の女を「姫」なんて呼べるか!」
「話題を提供する?平民の女が私の話を理解出来るわけないでしょう?」
「女に跪け?ふざけるな!」
口を開けばこいつらー!
さっきから話が進まない。
予想は出来ていたけどイラつく!
そんな私を見てレンは「最初から分かってた事でしょ」と呆れつつも、教育係を変わってくれた。
反発する彼等と格闘すること半月。
彼等に現場に出てもらう事になった。
それは彼等の実力を認めたからではない。
「君達は自分に自信があるようだけど、この店では絶対に売れない。言っても理解出来ないだろうから現実を見てもらおうかな。
実際に接客してもらう」
自分に絶対の自信を持つ彼等は、レンの発言が気に食わないようだ。
不満そうな顔を隠さない。
「この店のホストは全員名前を変えてるけどどうする?変えなくても構わないけど」
私達はアンとユズでやっている。
彼等は少し考えて、
元王子のレオナルドはレオ
元宰相の息子のフェルナンドはフェル
元騎士団長の子息のジェイクはジェイ
にしたようだ。
当然彼等をいきなり現場で自由にさせる事は出来ない。常連の金持ちマダム達に「生意気な新人に現実を見せてあげて下さい」とお願いしてある。
彼女達は喜んで引き受けてくれた。
彼等の美貌にマダム達は色めき立った。
その様子に彼等は「簡単な仕事」と思ったに違いない。
しかし15分もすると席を外される。そして二度と呼ばれる事はない。
そんな事を繰り返すこと一週間。プライドをへし折られた彼等は見事に凹んでいた。
そこにユズが更に追い打ちを掛ける。
「これで自分の実力が良く分かったよね?
それにしても、こんなにお客様から拒否されたホストは見た事ないよ。
この店で君達は、間違いなく底辺だ」
酷い!事実だけど。
「上位の奴等の接客を見てどう思った?
相手の欲しい物を与えるのがこの仕事なんだよ。相手を満足させて初めて対価を得られる。顔だけ良くても一緒にいて楽しくない相手に金は払えない。
此処では要らないプライドは捨てろ。それが出来ないなら辞めろ。お互い時間の無駄になる」
ええっ!勿体無い!
口を出そうとしたがユズに目で止められる。
そんなぁ!本当に辞めちゃったらどうするの⁉︎
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