聖女のおまけ

negi

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17 浄化石と魔力付与

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「今回は相手が一枚上手でした。まさか宰相様がご一緒に戻ると思っていませんでしたし、あんなにスムーズに寝室に誘導してしまうなんて…」

 新しい部屋で三人で最初にするのが反省会になってしまった。
部屋に入ってからのやり取りがどういう状況だったのかを、私にもわかるようにハイムくんが説明してくれた。

 まず寝室は最もプライベートな場所なので、本人の了承なく入らないものらしい。
従者や護衛は業務上出入りはするけれど、さっきの状況は公爵が寝室に私を誘ったことにレヴァンテが気付いて威嚇したけど「求婚した私が口説いてて本人も嫌がってないんだから護衛のお前は黙ってろ」という事だったらしい。だからレヴァンテは中に入って来なかったのか。

「私にはどうすることも出来なかったので、レヴァンテ様を呼んでくれたのは良かったです。少しでも嫌だったり身の危険を感じた時は、迷わず護衛を呼んで下さい」

 私が公爵に口説かれていることに気付いていないのはわかったけど、止める訳にもいかずハラハラしていたらしい。

「天蓋の布で見えなくなった時はかなり焦りました。でも呼んでくれたので踏み込むことが出来ました」

 「あ~あれね…凄く自然に目隠しされて驚いたよ。慣れていてスマートだった。皆さん恋愛スキルが高すぎないか? 私には太刀打ちできそうもないよ」

「獣人は比較的晩婚が多いんです。若い時に恋愛を楽しんでからパートナー選びをするので、駆け引きに慣れている人が多いかもしれません。ですから、トモヒロ様を恋愛対象と見る人は求婚してきた人だけではないと思って下さい」

「ハイムくん、追い打ちをかけないで…。レヴァンテ、私の経験値じゃ確実に負けてしまう。助けてくれ」

打ちひしがれて助けを求めたら、嬉しそうに尻尾をぶんぶん振ってレヴァンテが近くに来て膝をついた。

「私が守ります! いつでも呼んでください」

「すっごく頼りにしている。 そうだ、ふたりとも手を出してくれる?」

そう言ったらハイムくんも並んで膝をついて、不思議そうな顔をしてふたり揃って両手を出してきた。私の従者と護衛は素直で可愛いな。そこに小ぶりの浄化石をひとつづつのせた。
 ハイムくんは緑の宝石でレヴァンテは薄青の宝石にした。あまり高価ではないものだけど、どちらもそれぞれの瞳の色に近い物を選んだ。

「日頃の感謝の気持ちだよ。受け取って」

「まさか、宝石ですか? こんな高価な物…」

「宝石だけど、そこまで高価な物じゃないから、受け取って欲しいな」

 恐縮するハイムくんの隣でレヴァンテは胸の前で握りしめて「一生大事にします」と言っている。もちろん尻尾はブンブンだ。その声を聞いて躊躇っていたハイムくんも嬉しそうにお礼を言って受け取ってくれた。

「その石、私が浄化の魔力を付与した浄化石って言うものなんだ。黒霧を寄せ付けないからなるべく身に着けていて欲しい」

「「 …はい?」」

二人が浄化石を凝視して固まっている。あ、そうか、まだ情報解禁前だった。まあこのふたりなら大丈夫だろう。

「今日の話し合いで作れることがわかったものなんだけど、最初に作ったものはふたりにあげたくて私が引き取って来たんだ」

固まっていたふたりが同時に顔をあげる。先に復活したのはハイムくんだった。

「ちょっと待って下さい! え? 黒霧を寄せ付けないって…そんなとんでもない物を作ったんですか⁉ しかもそれを日頃の感謝で従者に渡しちゃ駄目でしょっ!」

おお、ハイムくんの素が出ている。そんなに驚かなくても大丈夫だよ。これからたくさん作るから。

「トモヒロ様、貴方と言う人はどれだけ私を喜ばせたいんですか…」

レヴァンテの握りしめた拳が小刻みに震えている。喜んでくれて何よりだ。

 それから浄化石と魔力付与について話合いで決まった事をふたりに報告した。浄化石の事も驚いていたけど、ハイムくんは魔力付与の方が気になるらしい。 

「私にも出来るでしょうか? 水属性(中)と火属性(小)を持っています」

「出来ると思うよ。今はシリング公爵が主体になって法務省と魔法省が検証することになっているから、結果が纏まったら試してみるといいよ」

「はい。出来るようになれば冒険者じゃなくても魔石が手に入るんですね 。魔物狩りが出来ない人には朗報だと思います」

 シリング公爵が言っていた「新たな産業」というのはこのことを指していたのか。
魔力さえあれば老若男女問わず魔石が作れるようになれば、魔道具ももっと普及していくだろう。公爵には頑張ってもらわなければ…。

そして今後の私のスケジュールに浄化石作りの時間が追加された。量産するぞ!


 それからは部屋に届けられる色々な宝石や石で暇を見ては浄化石を作った。手のひらに握って魔力を移せばいいだけなので、教会やギルドへの移動中にも出来る。魔力付与が終わると石が一瞬光るので分かりやすい。私は浄化が(中)なので大きな石には付与出来ないから数で頑張るしかない。

 浄化以外の魔力付与も魔法省が中心になって動き出した。
色々と試した結果、属性によって付与できる石が違うことが判明した。そして、赤色系は火で青色系は水と言うように、色で向いている属性が判断できる事が分かった。検証がある程度済んだら講習会を開いて魔力付与も広めていくらしい。ただ、魔力付与した宝石は魔道具に使うと魔物から出た魔石と同じ様に割れてしまう。間違っても家宝の宝石とかに付与することが無い様にしないといけない。魔道具の燃料として考えるなら、手軽に手に入る石で付与が出来るものを探す方が良いだろう。

 浄化魔法は色に関係なく付与できる石ならどれでも出来たけど、治癒魔法の付与はどの石にも全く出来なかった。そのうち出来る石が見つかるかもしれないし地道に試していこう。


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