聖女のおまけ

negi

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7 聖女至上主義者 ⋆

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 それからは午前中は蔵書庫で勉強、午後は斉藤さんと魔法の訓練、夕食後も蔵書庫で勉強という生活になった。本屋に勤めていたくらいだから本を読むことは好きだし、勉強も新しい知識を得られるから嫌いじゃない。それなのに三日目くらいにハイムくんとレヴァンテに根を詰め過ぎだと言われて、夕食後の勉強時間を減らすように進言されてしまった。

 そして魔法の訓練は妖精の加護が本当に素晴らしくて、お手本を見せてもらえれば全ての属性の魔法が問題なく使えた。
中でも鑑定で(極大)だった治癒魔法は直ぐに感覚をつかむことが出来た。
訓練で負傷した兵士の治療をしたのだけれど、治癒魔法は他の水や火を打ち出す魔法と違って、治って欲しいと願うというか祈るという感覚だった。

 これなら斉藤さんの近くで魔法を使っても、どちらがかけたのかわからないだろうから問題なく補佐の役目を果たせそうだ。実際に傷を治した兵士も斉藤さんが癒してくれたと思っていた。

「聖女様、ありがとうございます! 以前よりも体が軽くなりました!」

「いえ、…はい、良かったです…」

喜ぶ兵士に斉藤さんは困った顔で返答している。私の存在を隠すことにまだ納得出来ていないみたいだ。少し沈んだ表情の彼女をファビアン殿下がエスコートして訓練場から出て行った。


私達も訓練場を出て自室に向かっていた。その時は私の前に殿下が手配してくれた二人の護衛と、私の後ろにレヴァンテがついていたと記憶している。

訓練場からの廊下を抜けたところでポン、という小さな音がして白い煙が立ち込めた。視界が奪われて直ぐに口に布をあてられて、薬品の匂いを感じたところで意識を失ってしまった。直前に、レヴァンテが私を呼ぶ声を聞いた…



 意識が戻ると薄暗い部屋の中で床に転がされていた。目の前には三人の男が立っていてその中の一人は殿下が手配した護衛の一人だった。

「目が覚めたか? 盗人野郎。この部屋では魔法は使えないからな」

「貴様のせいで聖女様は苦しんでいる。いったいどうやって加護を横取りした?」

非力な私は魔法が使えなければどうにでも出来ると思われているから拘束されていないのだろう。まだ少しふらつくが何とか立ち上がった。

「横取りしたのではありません。妖精が決めたことですから私には…」

「小賢しい悪知恵を使ってそそのかしたのだろう! 証の指輪を聖女様に返せば命までは取らない。さあ、外して渡せ!」

「あなた達も外そうとしたんですよね? これ、自分でも外せないんです」

「嘘をつくな! …ふん、なら別の方法で外したくなるようにしてやろう」

言われて足を払われてまた床に転がされた。一人が頭上で両手を抑えてもう1人には足に腰を下ろされて身動きが出来ない。残った一人が何やら小さめな瓶を持ってそれを見せながら言った。

「俺たちは優しいからお前も気持ち良くなっていう事を聞くようにしてやろう」

跨っていた男がベストのボタンを外し、その下のシャツを掴んで力任せに左右に開くとボタンが弾け飛んで肌が露わになった。日に焼けていない肌に男たちが興奮しているのを感じる。そしてここにきてはじめて、自分が彼らに性的に見られていることに気付いた。

「こんなに小さいと俺たち三人を相手にしたら壊れてしまうかもな?」

「どうした? 指輪を外す気になったか?」

そう言いながら脇から胸に手を這わせられて嫌悪感で鳥肌が立った。ベストとシャツがひっぱり上げられて脱がされ、上半身が完全に裸にされた。

「やめろ!どうやっても指輪は外せなかった。こんなことは無駄な行為だ」

「その小さな口がおねだりする頃には外れるようになってるかもな」

ブーツが脱がされ下履きにも手をかけられて下着ごと取り払われて、下半身も晒されると男たちの興奮が更に高まったのがわかった。
このままではこの男達ににいいようにされてしまう。逃れようとしてもがく足首を捕まれて広げられてぬるぬるした液体を下半身に垂らされた時、轟音と共に入口の扉が開かれた。

「フジサキ様! っな⁉ 貴様らぁっ許さん‼」

飛び込んできたのはレヴァンテで、室内の状況を見て激高して剣を抜いた。三人も慌てて構えようとしたが間に合うわけも無く、レヴァンテの魔力を纏った剣に吹き飛ばされて次々壁に激突した。

「藤崎さん!無事ですか? あっ!」

「ジュリ! 入っては危険だ。レヴァンテが踏み込んだから大丈夫だ!」

 直ぐにレヴァンテが上着をかけて隠してくれたけど、この部屋で何があったかはわかってしまっただろう。殿下を振り払って来ちゃったんだろうけど、なにもこんな時にバレー部エースの本領を発揮して欲しくなかった。女子高生の彼女に見せて良い物ではない。

「せ、聖女様! 私達はこいつが奪った加護を取り返そうとしたんです」

「そうです! 奪われたせいで苦しんでいたではないですか! だから…」

拘束されながら口々に言い訳をはじめた騎士に斉藤さんの顔が歪む。

「何を言っているの⁉  奪われたんじゃないから! それに藤崎さんがいなかったら私は聖女になれなかったんだよ! ファビアン、こんな風に思っている人って他にもいるの?」

「…ジュリ、それは、」

 聖女至上主義者。
多分この三人はそれなんだと思う。蔵書庫での勉強で知った聖女至上主義者は王族と同じ身分という事にも異を唱えていて、聖女を女神のように讃えている。その聖女の力の一端を私が授かった事が我慢ならないんだろう。

「信じられないっ! 妖精も言ってたじゃない! 加護は二人に授けたって」

「妖精をその男がそそのかしたのです! 全ての加護は聖女様が授かるはずのものだったのに、その男が!」

さらに言い募る男の言葉に斉藤さんがとうとう泣き出してしまった。

「酷い! 藤崎さん何にも悪くない、のに。ひっく、どうして、そんな事になるの? もう、知らない! 藤崎さんを大事にしない国なんて浄化しないから!」

「ジュリ⁉  何を言って…」

「ファビアンも知ってたのに、藤崎さんの護衛あれっぽっちしか増やさなかったし、もうみんな信じられない! 私達の事、何だと思っているの⁉ 勝手に呼んで、でも困ってるって言うから…、なのに、こんな、酷いよ。うぅ~っ」

泣き崩れる斉藤さんに言い訳をしていた男達も大人しくなった。流石に自分たちが彼女を悲しませたことに気付いたみたいだ。

そして私も彼女を傷つけてしまっていたことに今更ながら気付いたのだった。



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