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第2章

第119話 通告

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 俺はコイツらの名前すら聞かなかった。
 いや、聞きたくもない。

「お前達に命ずる。奴隷開放を受け入れる事を禁じる。死ぬまで俺の奴隷でいろ」

「そんなー!」とか呻き声が聞こえるが無視だ。

「次に一切の犯罪行為を禁じる。また、女性に対して真に愛を持って以外のセックス及び一切の性行為を禁止する。勿論強姦は論外だが、娼館等で女を買う事も禁じる。DVって分かるな?そういった女性に対しての暴力を禁じる。つまり、結婚した1人にのみ、心から愛している、だいじにしたいと思わなければ2度と女に対して性行為が出来ない」

「せ、せめて娼館だけは・・・」

「駄目だ。諦めろ。お前らの今の飼い主は誰で、犯罪を犯すのか?と言うか、この前ラフト商会の商会主を始め、乗り合い馬車を襲ったのに加担していないか?賊が不自然な現れ方をしているから、お前らのスキルで協力したんじゃないのか?」

「俺達が世話になっているのはリベイラルクって町の領主バインバッハ侯爵だ。今はその領主の弟が王都でやっている商会の・・・汚れ仕事を手伝う事になった。それをしないと俺等は生きる術が無いんだ!。この前は襲撃者を近くに送り込む事だけを指示されていたが、まさか殺しをするとは思わなかったんだ!」
  
「賊が商隊等を襲って殺しをしないとか無いだろうに!」

「そこだけは信じてくれ!追い剥ぎやラフトって奴を脅すのが目的だと思ったんだ!」

「まあいい。それで奴隷を貰うとか言っていたが、どう言う事だ?」

「俺等に性奴隷をあてがって操るつもりだろうさ。俺等も当面はそれで大人しく言う事を聞いてやるつもりだったんだ」

 俺は少し考えた。

「ニーナ、もしもコイツラだけでイデアさんに会おうと思ったら何をすれば可能だ?」

「門番にアタイからの手紙だとして、更にこれを渡せば大丈夫だろう」

 ハンカチを渡してきた。

「これは?」

「師匠から頂いたハンカチだ。アタイの持っている中で師匠に繋がるのはこれくらいだからね」

「よし。お前らは今後その主人とは縁を切れ。取り敢えず隣町にて奴隷を貰った後、王都にいるイデアさんの所に行き、国王陛下の前でその領主の事や、商会の悪事を洗いざらい白状して捕らえるのに協力しろ。それと真面目に冒険者をしろ。スキルは悪事に使わないなら使っても良い。今回貰う奴隷は仲間として大事に扱い、奴隷として扱うなよ。それと逃げたお前達の仲間のクラスメイトの1人に会ったら俺の名代として同じ事を伝えろ。御主人様よりの命令と。分かったか?」

 俺は4人が力無く「はい、分かりました」と返事をした後、ニーナに魔力を分け与えつつ、治療をしてくれた事に感謝した。
 明らかにしんどそうだったから魔力を分けたのだ。

 その後再び次の町に向かい進み出した!と言いたいが捕えた賊にアジトを案内させる事にした。

 街道から外れる事10分と意外と近くに賊のアジトがある事が分かり、元凶とは言わないが当面の脅威を排除すべしとのニーナとエンピアルの意見に従い、賊を討伐する事にした。

 何故かというと、捕えた唯一の賊を尋問すると、どうやら本当にこの5人組(捕らえたのは4人)とは別口だったが、しかし、ターゲットは俺達のようだ。

 正確にはシャルルだった。
 背後関係は複雑そうだ。
 後顧の憂いを絶たなければ不味いが、先ずは目先の脅威から手を付けないとだ。

 美人だから許すが、全く厄介事を持ち込んでと言いたいが、美人を救うのに理由はいらない。コホン。本音が出てしまったが、俺が飛ばした高校生を助けようとしているから、勿論全力でシャルルを守りつつ高校生を助けるさ!

 隣国の王族が通るから、生死不問で捕まえろと頭領から言われていて先日取り逃がしたが、用が済めば必ず国に戻るから、ここで網を貼っていればそのうちに掛かるからと指示されていたと。
 シャルルの名前まで言っていた。

 腑に落ちない。どうやって俺達の馬車にシャルルがいると分かったのか?仕掛けた罠は規模が大きく、一度使うと道が塞がれてしまい、ターゲットが別の道へ迂回したり、引き換えしてしまうから、ターゲットか否かを見極めないといけない。しかし、俺達の馬車にターゲットがいると分かっていたようだから腑に落ちなかった。
 ピンポイントで襲撃をする必要があるが、それを可能にする情報を与えられる力を持った誰かが協力しているとしか思えなかった。

 佐東達5人のスキルを聞いて中身を確認したが、いないやつの事を考えた。

 沢谷 伸智
 野球部だ。
 スキルはこうだ。
【千里眼】
【回避】

 どうも名前なら千里眼が怪しい。
 こいつだけ4人と別行動か?

「おい、領主は逃げた沢谷だけに何か指示をしていたりしないか?」

「そう言えば、時々誰かと会っていたな」

 山神が答えた。

「なぁ、お前の仲間の沢谷に裏切られたか、売られたのとちゃうか?心当たりはないか?」

「そう言えば出発する時、商会主に何か言われてたな。聞いたらお小遣いを渡し忘れたから、手近にいた俺に皆の分をまとめて渡してきたとかあったな」

「言われてみれば心当たりがなくはないが、まさかあいつが俺等を裏切るか?」

 4人ははっきり言っておめでたかった。自分は仲間に裏切られる事は無いと思い込んでいたのであった。
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