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第1章

第41話 ミスリル装備

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 オークとの遭遇はオークマジシャン達のみで、村に戻り村長のところに向かった。集落を潰した旨と、その魔石を見せて依頼票にサインを貰い終了だ。もしもまだ集落が有りそうな場合は、町に緊急依頼を要請しなければならないとした。その場合の依頼料は町持ちになるから、速やかに救助を求めるようにと伝えた。

 まだ馬車は村に残っていて、帰りも馬車だ。ギルマスが夕方までは待つように御者に伝えていたのだ。

 帰りの馬車の中でドロップの配分になったが、すっかり忘れていた事がある。ギルマスとアイハとの取り分の話だ。

 今更だなと思いつつふと思ったのだ。

「悪い、ドロップの配分について決めていなかったけど、武器は使いたい人がいればその人が受け取る。又は俺が必要と判断した人に渡す。もしも適任者がいなければ売る。魔石も手元に置いておきたい理由がなければ売って、それらのお金を人数割で良いよね?」

「あっ!ボクはいらないよ。既にトニー君からはお金に変えられない加護を貰ったからね。これで追加を貰ったらバチが当たるよ!」

「わわ、わ、私もです」

「ギルマスは立場が有るから分かったけど、アイハは駄目だよ。矢で何匹か倒しているだろうに」

「そ、そういう事なら頂きますけど、レイラさんはそれで良いの?」
 
「トニーが決めたのならそれで良いのよ。尤も私はそんな無粋なものは要らないの。トニーの子を身籠ればそれだけで良いの。ねえトニー、私の配分は子宝で良いのよ!」

「それはレイラが剣姫になってからね」

 トニーはアイハとギルマスに目配せをした。

「レイラ君、そういう話はふたりきりの時にしようね!」

 レイラは真っ赤になる。

「ご、ごめんなさい。私ってはしたないわね」

 それからはモジモジして大人しくなった。

 解呪について考えた。今この場でやるか?と。闇を10迄強引に上げたので、呪術スキルの最大レベルになる解呪があるのを確認したのだ。レイラの状態が宜しくない。

 ただ、ゲームで使った奴の話も聞こえてこないし、使う場面が想像つかなかった謎スキルだったのだ。

 何が起こるか分からない。なので問題なさそうなアイハの方を先に解呪する事にした。

「えっと、先ずはアイハの方を解呪するよ。レイラはまあ後でもいいかな。アイハのはどちらかが死ねば共倒れだからね」

「あ、あのう?」

「大丈夫!任せて!」

「あ、はい…」

 そうじゃないのとアイハは思うが、ギルマスがそっと肩に手をやり、首を振る。ギルマスはなんとなく分かったようだ。

「失礼するよ」

 トニーはアイハの髪を掻き分け、額を顕にし、己の額を当てる。スキルのヘルプに額と額が触れていなければならないと有ったからだ。

 アイハは真っ赤である。近い!近い!唇が触れそうよ!こんな他の人がいる前で私のファーストキスがされるの?と目を瞑った。満更ではなかった。

 しかしその時は来なかった。
 残念な事にトニーの額も離れていった。

 そして己の頭の中に声が聞こえた。

「上位スキルにて結ばれていた契約が破棄なされた」

 それが真実だと理解出来た。

「よし、契約は無事に破棄出来たね。次にアイテムだけど、バーサーカーが落とした剣だけど、これミスリルのロングソードだな。貰っても良い?」

 3人が頷く。

「それと弓が出たんだよな。ミスリルの弓か。何故かバーサーカーがドロップしたんだよ。はい」

 えっ?とアイハが唸る

「どうした?今のより軽いし、威力、命中率共上だよ。手に取ってみなよ」

「アイハさんに似合うよ!これで3人共ミスリル装備ね!」

「え、ええええ!こ、これ売れば10年位遊んで暮らす事が出来る金額なんですよ!?」

「さっき言ったよね?装着出来る者が優先って」

「じゃあ、い、頂きます。って、す、凄い!ひえぇー」

「なるべく売らずにいてくれると有り難いかな。それと教えたように、2人共ストレージに貴重品を入れておけば盗まれる事も無いから、アイハは普段はストレージに入れておこうな」

「そういえばマジシャンも何かドロップしたんだよね?ドロップ率高くないニャン?」

「ああ、それね。俺達の運が高いからですよ。それもあり真っ先に運を上げるんですよ。出現率は幸運値に比例し、ドロップするアイテムのランクは強運値に左右され、今の俺達だと、その魔物がドロップする可能性が有る中での最大ランクの物が出るんですよ。えっと、ミスリルのシミターって、ギルマスが使っている魔鋼鉄より格段に良いですから、どうぞ」

 レイラが回収していた剣を確認したトニーがギルマスに渡した。

「本当に良いのかい?アイハ君じゃないけど、かなりの金額になるよ?」

「ギルドマスターなんだから、それくらいの武器を持っていた方が舐められないっすよ!ただでさえ幼く見えるんだから、丁度良いっすよ?」

「うん。ありがとうね」

 帰りの馬車は皆己の新しい相棒を愛でていたのもあり、あっという間に町に戻ったのであった。


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